バントワゴン効果という言葉をご存知ですか?
バントワゴン効果のバンドワゴンとは、行列の先頭をいく楽隊車(がくたいしゃ)を意味します。楽隊車が賑やか(にぎやか)に演奏し、後ろに多くの人たちがついていっているのを見ると、ついていくと何か楽しいことがありそうな印象がします。
バントワゴン効果とは、多くの人々に支持されているものは良い物だと思われる効果のことを言います。
みんなに支持されているものを知りたいという好奇心、知らなければ周囲から疎外されてしまうかもしれないという恐怖感をかきたてて、商品の購入意欲を煽る(あおる)というのは、マーケッティングの手段としてきわめて有効です。
今回の記事においては、バントワゴン効果を使って売上げをあげる実用例を紹介いたします。
店に客が入っているところを窓から見せる
他に客が誰ひとりも入っていない店というのは、それを見た人たちの心に、「この店は流行っていないということは、扱っている商品そのものが悪いのではないか」という憶測を生みやすいものです。
ですから、飲食店等においては、客が入っているところを店外の通りから見せるように、客をまず窓側に案内するのがセオリーです。また、コンビニエンスストアにおいても雑誌を立ち読みする客が店外から見えるように、雑誌コーナーを窓側に配置します。
店に客がしっかり入っているところを窓から店外の通行人々に見せるというのは、バントワゴン効果を生じさせます。
商品に情報交換の要素を組み込む
子どもたちのおもちゃで、妖怪ウォッチ、ポケモン、謎解き型のRPGなどは、子どもたち同士で情報交換や協力がないとなかなか前に進みにくいようにつくられています。
客同士の情報交換が活発になるようにつくられた商品というのは、客同士のコミュニケーションを促進するだけでなく、それを持っていないひとに強烈な疎外感を生じさせます。
つまり、客同士のコミュニケーションを活性化する仕組みをうまく商品の中に組み込むことができれば、大きなバントワゴン効果を生むことができるのです。
テーブルの数を調整して行列をつくる
飲食店において、店の中で注文を受けてから待たせるよりも、注文がスムーズに応じられる程度の数にしぼって、店の外に待たせる方が客の不満が少ないということは、よく知られています。
この飲食店でテーブルの数をしぼるということは、店外に行列をうむことにもつながります。店外の行列を見た他のひとたちが「あの店は流行しているんだ」という興味を持つきっかけになり、バントワゴン効果を生じさせます。
サクラを使う
サクラとは、公演主催者や販売店に雇われて客の中に紛れ込み、特定の場面や公演全体を盛り上げたり、商品の売れ行きが良い雰囲気を作り出したりする者を指す隠語で、当て字で偽客とも書きます。
行列にバントワゴン効果があることが明確であり、店の側がサクラを雇って店外に行列をつくるというのは昔からある手段です。
近年においては、インターネット上の人気店紹介サイトや匿名掲示板などにステルスマーケティングの一例としてのサクラを用いた書き込みが行われたりしています。
有名人・マスメディアを使う
「テレビにも報道された店」「有名人の○○さんも激賞」といったことを広告に載せたり、店外の通りに堂々と看板に謳(うた)っていたりする店があります。
流行の発生を説明する学説に「感染説」というものがあり、ファッションリーダーと目される個人や集団から、あたかも病気が感染して行くように、流行が広がっていくというケースが多く見られます。
ツテを探して有名人やマスメディアに働きかけて、自分の店のことを取り上げてもらうことで、バントワゴン効果を狙うことができます。個人商店でもそれを精力的に実践している例が見られます。
人々から支持されているように見えるキャッチコピーを使う
キャッチコピーで「この春に絶対に流行します」といった未来の話をしたり、「密かに人気」「まだ知らないひとは遅れている」といった立証不能なかたちの人気を謳ったりすることによっても、バントワゴン効果を狙うことが可能です。
たとえば、「コーヒー豆の世界で、ブルーマウンテンは有名人ですが、トラジャは名人です」といったキャッチコピーは、トラジャという銘柄も多数の人々から支持されているように感じさせます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
バントワゴンの実用例として、多くの人々が参考にできそうなものを6つ選んで、紹介いたしました。
多くの人に支持されているものを知りたいという好奇心、知らなければ周囲から疎外されてしまうかもしれないという恐怖感を煽りたてることがバントワゴン効果を生み出す鍵なのです。
今回の記事をあなたのお店の経営に参考にしていただければ幸いです。