一目惚れに理由はないとも言われていますが、近年、脳科学が急速に発達したおかげで、その科学的メカニズムが、かなりの程度まで解明されてきています。
人間は、いったい、どんなメカニズムで一目惚れをするのでしょうか?
今回は、近年、解明されている一目惚れのメカニズムについて、お伝えします。
恋愛ホルモン・PEA (フェニール・エチル・アミン)
様々な研究により、人は恋に落ちている時は脳内に、PEA (フェニール・エチル・アミン)というホルモンが大量に分泌されるということがわかっています。
感覚を麻痺させられた状況における昂揚感
人間は、不安や緊張から精神が不安定になった時、脳内でこのPEAの濃度を上げて、不安感や緊張感を緩和します。
PEAには麻酔効果があるため、平常心が乱れた時、この麻酔作用で不安定になった心を麻痺させるのです。
しかも、この時、PEAの作用で、興奮系ホルモンのドーパミンが大量に誘発されます。
ドーパミンは、人を興奮させ、覚醒させることから、アッパー系とも呼ばれていますが、その効果も加わります。
つまり、不安や緊張に反応する感覚を麻痺させられた状況で感じる昂揚感を、脳が『恋』だと認識するようになるのです。
これが、科学的に言う『一目惚れ』なのです。
PEAを発生させる種類の不安と緊張
では、PEAを発生させる不安や緊張とは、具体的にどんなモノなのでしょうか?
PEAは、一般に、主に以下の3つのモノに対して発生すると言われています。
- 新しくて魅力的なモノ
- もう少しで手に入りそうなモノ
- 自分から遠ざかっていこうとするモノ
手に入れたいけれども、手に入れられるかどうかわからない場合に、発生すると見て良いでしょう。
余談ですが、PEAは、チョコレートやココア、チーズなどに含まれています。
ブラックチョコレートを口の中で溶かすと、キスよりも高い快感をおぼえるというデータもあるくらいです。
一目惚れで相手のことを魅力的に感じるパターン
PEAが発生する3パターンの内、一目惚れに関係するのは、当然①です。
一目惚れなのですから、新しいのは当然なので、どうして、相手の事を魅力的に思ってしまうのかということが問題になります。
最近の研究によると、一目惚れは
- 自分とよく似たタイプと出会う
- 自分が以前から思い描いていた理想のタイプと出会う
- 自分とまったく違う遺伝子の持ち主と出会う
といった3つのパターンに大別されると言われています。
親近感と安心感を理由にした一目惚れ
まず、(1)と(2)については、あなたがよく理解できている対象から選ぶパターンになるので、そこには、親近感と安心感があります。
自分でよく知っていて、かつ、、手に入れたいと思う理由の例としては、
「自分を理解してくれる」
「好きな異性のアイドルとそっくり」
などがあります。
親近感と安心感を与えてくれる相手に対しての恋心が高まる理由がわかったでしょう。
遺伝子の命令としての一目惚れ
幅広い遺伝子の交換は、種が存続するためには必須であり、(3)のタイプの一目惚れを遺伝子の命令として説明される人もいます。
人間は、どうやって相手との遺伝子との違いを判別するかと言うと、それは「香り」だそうです。
そのため、香水の類によって、(3)のパターンで、一目惚れが起きてしまうケースもあるくらいです。
PEA 4年周期説
PEAは、抗鬱剤としても使われるほど強い脳内麻薬として知られています。
つまり、PEAが分泌され続けるのは、脳にとって異常なことです。
PEAが大量に分泌されると、脳の一部が破壊され、正しい判断ができなくなり、禁断症状がでてきます。
自然な状態では、PEAは、同じ相手に対して分泌される期間が決まっており、人類学者 ヘレン・フィッシャー教授によると「同じ相手に対しては3~4年で完全に分泌されなくなる」そうです。
PEAが分泌されなくなった後は?
それでは、一目惚れした相手と3,4年お付き合いした後は、いったいどうなるのでしょうか?
PEAが分泌されなくなったから恋愛が終わるというわけでは、当然ありません。
実は、長く付き合うに連れて脳内から分泌されるホルモンが、βエンドルフィンという物質に切り替わります。
つまり、PEAによる刺激的な昂揚感ではなく、βエンドルフィンによる安心感や満たされた感覚に変わっていくのです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
一目惚れとは、PEAとドーパミンの作用によって、不安や緊張に反応する感覚を麻痺させられた状況で起こる昂揚感であるという話でした。
ロマンチックな印象の一目惚れも、科学的な視点で見直すと、こんなにも知的なメカニズムをもっていた事に気づき、驚いたのではないでしょうか?
もしもあなたが一目惚れをしたというのならば、せっかくの機会なので、色々と視点を変えて楽しんでみましょう。