あなたは「ホメオスタシス」という言葉を耳にしたことがありますか?
ホメオスタシスとは、私たちの身体を外的変化に関わらず一定に保とうとする働きのことで「生体恒常性」と呼ばれています。
ホメオスタシスの働きは、私たちにとってとても重要な働きです。
この働きが崩れてしまうと、心身のバランスが崩れてしまったり、対人関係にさえ影響を及ぼしてしまうというのです。
しかし、ホメオスタシスがきちんと維持され安定していれば、心身ともに安定し、ダイエットなども上手くいくと言われています。
そんなホメオスタシスとは、一体どのようなメカニズムなのでしょうか?
そこでここでは、ホメオスタシスのメカニズムや心身に関わる働きなどについてお伝えしていきます。
この機会に、あなた自身の身体の中のメカニズムをしっかり理解してみてくださいね。
ホメオスタシスのメカニズム
まず知っておきたいのは、ホメオスタシスのメカニズムですよね?
ホメオスタシスとは、私たちの身体の中でどのような役割を果たしているのでしょうか。
先程も少し述べましたが、ホメオスタシスとは「生体恒常性」という意味の言葉です。
私たちの身体は、毎日の生活の中で様々な変化にさらされています。
気温や湿度などの外的変化はもちろん、環境や対人関係などによるストレスなどの内的変化も私たちの身体に大きな影響を及ぼします。
そうした様々な変化に関わらず、私たちの身体は体内の状態を一定に保とうとします。
この性質が「ホメオスタシス」と呼ばれる生体維持のメカニズムです。
このような生体恒常性、すなわちホメオスタシスのための体内調節は、様々な器官で行われています。
気温や体温の変化に応じて体内の温度や血流量、血液成分を一定に保とうとする働きはもちろんのこと、内的ストレスで生じたダメージを修復しようとする働きも、ホメオスタシスによるものです。
ホメオスタシスとは、このように様々な形で私たちの身体を守り、維持するためのメカニズムを駆使しているのです。
ホメオスタシスの働き
では具体的に、ホメオスタシスがどのような場面で、どのような働きをしているのかについてお伝えしていきましょう。
ホメオスタシスとは、先程も述べたように、気温や湿度が変化しても私たちの体温などを一定に保つ働きをしています。
例えば、夏の暑い日に汗をかくことで熱を逃がして体温を下げる・・・という働きはホメオスタシスによるものです。
また、熱中症にならないように水分補給が必要な時に、のどの渇きを感じる・・・という働きも、実はホメオスタシスによるものです。
このようなホメオスタシスの働きは、私たちの心理にも大きく関わっています。
私たちが毎日の生活で感じるストレスは、健康を維持するためには良くないものです。
こうしたストレスにさらされ続けると、心だけではなく身体にも大きな影響を及ぼしてきます。
血圧が低下したり、ホルモンバランスが崩れてしまうこともあるのです。
そうした時に働いてくれるのも、ホメオスタシスです。
ホメオスタシスが正常に働くことで、ホルモンバランスが整い、全身の機能が正常に保たれます。
ホメオスタシスは、私たちが毎日の生活を心身ともに健康な状態で過ごすために、かせない働きをしているのです。
機能不全になったら?
では、そんなホメオスタシスが万一、機能不全になってしまったら・・・私たちの身体はどうなってしまうのでしょうか?
実は、ホメオスタシスは、極度のストレスにさらされ続けると、機能不全に陥ってしまうことがあります。
そうなると、私たちの身体は正常な状態を維持できなくなってしまい、身体の様々な器官で異常を起こしてしまうのです。
そうした機能不全の代表的な症状が「自律神経失調症」という症状です。
ホメオスタシスが機能不全になった時に、一番にダメージを受けるのは、自律神経だと言われています。
自律神経とは、自分の意思とは関係なく身体の機能をコントロールしている神経のことで、交感神経と副交感神経という二つの神経によって成り立っています。
この二つの神経は「活動」と「休息」という正反対の働きをしており、この二つの神経がバランス良く働いていることで健康的な生活が送れるのです。
しかし、ホメオスタシスが機能不全になってしまうと、この自律神経のバランスを維持することができず、崩れてしまいます。
そうなると、めまいや動悸・息切れ、頭痛などの身体的症状に加えて、不安感や圧迫感などの心理的症状が現れてきます。
ホメオスタシスが機能不全に陥らないようにすることは、大切です。
ホメオスタシスと心理学の関係
ここまで述べてきた内容を見てみると、ホメオスタシスの働きのカギを握っているのは外的要因よりも内的要因であることがわかってきました。
実際、ホメオスタシスは身体機能を維持するためだけではなく、心の安定を維持するためにも働きます。
私たち人間の心も、身体と同じように突然の変化を嫌う傾向にあります。
自分が想定していたことと違うことが起こると、人は不安感を抱きますが、そうした時に心を守ろうとする働きこそ「心のホメオスタシス」です。
この働きは、心理学の中にも様々な形で登場します。
例えば、心理学の世界には「一貫性の原理」という考え方がありますが、これは心のホメオスタシスによるものだと言われています。
一貫性の原理とは、人が一度決めたことを無意識のうちにやり通そうとする心理のことです。
このように、私たちは一貫性の原理によって、無意識のうちに心のホメオスタシスを働かせて、自分の心を守ろうとしているのです。
同調効果と潜在意識の関係
ここまでの内容で、ホメオスタシスとは、身体だけでなく心に対しても安定を維持するために働いくものだということがわかっていただけたことでしょう。
そんなホメオスタシスですが、実は対人関係においても、私たちを助ける役割を果たしてくれているのです。
対人関係において、ホメオスタシスは他者と同調する効果を持っており、その影響が実際に良好な対人関係を助けてくれると考えられています。
ホメオスタシスの同調とは、一体どういう働きなのでしょうか?
ホメオスタシスの働きにより、私たちは心身の生体リズムが維持されているのですが、そのリズムが一致する相手が存在しています。
それこそが、ホメオスタシスが同調した状態です。
ホメオスタシスが同調していると、話すタイミングや動作、呼吸などまでが一致します。
このようなホメオスタシスの同調を上手に活用することで、対人関係を良好にすることができるのです。
では、このようなホメオスタシスの同調を効果的に作り出すには、どうすればよいのでしょうか?
その時こそ、心理学の出番です。
相手の潜在意識に働きかけていくことで、徐々にホメオスタシスの同調を作り出すことができると言われています。
手軽な方法としては「単純接触効果」という心理操作を活用する方法があります。
これは、くり返し接触することで相手の好感度が高まる心理操作術ですが、これが潜在意識への働きかけとしてとても有効です。
さり気なく同じことを繰り返すことで、潜在意識により強く印象が刻まれていきます。
そうすることで、ホメオスタシスの同調を作り出し、良好な対人関係を作ることができるのです。
対人関係で悩んでいる人は、ぜひ試してみてくださいね。
ホメオスタシスとフィードバック機構
このように、様々な形で私たちの生活を支えているホメオスタシスですが、万一ホメオスタシスが機能不全になったら・・・と心配になる人もいるのではないでしょうか?
もちろん、機能不全になったら先程お伝えしたような心身の不調は避けられません。
ですが、そう簡単に機能不全にならないように、ホメオスタシスにはフィードバック機能もあります。
このフィードバック機能には、プラスのフィードバック機能とマイナスのフィードバック機能があります。
プラスのフィードバック機能とは、心身に変化が起こった時に、ホルモンなどの作用をさらに強めて、機能を維持しようとする働きのことを言います。
また、マイナスのフィードバック機能とは、神経やホルモンの働きを抑えることで、元の状態に戻そうとする働きのことを言います。
こうしたフィードバック機能が、ホメオスタシスの働きを支えているのですね。
ホメオスタシスとダイエット
最後に、女性が一番気になるダイエットとホメオスタシスの関係をお伝えしておきましょう。
ダイエットをしたことがある人は、誰もが必ず「停滞期」というものに陥ります。
実は、ダイエットの停滞期もホメオスタシスの働きによるものなのです。
ホメオスタシスは、身体を元の状態に保とうとする働きをします。
そのため、ダイエットにより、突然摂取カロリーが減ったり、体重が減ったりすると、身体が飢餓状態に陥っていると勘違いしてしまうのです。
ホメオスタシスとは、そうした状態から身体を守ろうとするものなので、なかなか体重が減らない停滞期が訪れてしまうのです。
では、そんな停滞期を脱してダイエットを成功させるには、どうすれば良いのでしょうか?
停滞期が訪れてしまったら、まず少しだけ食事を元に戻しましょう。
その際、極端なカロリーオフよりも、バランスの良い食事にするように心がけてみてください。
そうすることで、リバウンドせずに停滞期を脱していくことができます。
まとめ
ホメオスタシスとは、私たちの心身の健康を維持するために欠かせないものです。
そのため、ホメオスタシスの働きを理解しておくことは、様々な場面で役立つのです。
ホメオスタシスは、私たちが意識しなくても、毎日の生活でしっかり働いて私たちの心身を支えてくれています。
ですから、不摂生な生活をしたり、ストレスを抱えたまま過ごしたりして、ホメオスタシスの機能を低下させるようなことは控えましょう。
あなたも今日から、ホメオスタシスが正常に働く生活を送っていきましょう。