以前よりはずっと離婚しやすくなったといわれても、結婚も離婚も一大事に変わりありません。
人生に関するイベントの中でも結婚はタイミングと勢いがなくてはできないと言われ、離婚は体力がなければできないともいわれています。
離婚は結婚生活の失敗と考えてしまうあまり、離婚を考えること自体に否定的になってしまう方もいますが、離婚はよりよい人生のための選択肢の一つでしかないことを忘れてはいけません。
『一人になる時間』と『誰かといる時間』をつくる
一人になる、または話し相手がいることで解決することがあります。
とかく、離婚という一大事になると複雑な感情と感傷によって踏ん切りがつかなくなり、逃げ出したい一心で離婚届に判を押してしまいます。
結婚は添い遂げることを誓うものなら、離婚はそれを解消するものになります。ましてや、その原因が価値観の違いなら修正できるものではないことが多いのです。目先だけの些細な価値観の違いではないことを確認する必要があります。
まず、夫は一人になる時間を作ること、妻は誰かといる時間を作ります。
離婚を考える時、もしくは離婚準備の時、男性は一人になる時間を欲しがります。一人になることで自分の中の感情を整理できるのです。反対に、女性は誰かに相談にのってもらう、話を聞いてもらうことで感情を整理できるといわれています。
離婚をすることが目的なのか離婚をしてまでやりたいことがあるのかを考える
『価値観の違いで離婚』という話をよく耳にしますが、長年の積み重ねでこれが理由だとはっきり言い切れない場合、価値観の違いを理由にすることがあります。
結婚前でも結婚後でも離婚後でも、他人は他人です。生まれも育ちも違う二人が一緒になるのですから、価値観など最初から違いますし、違っていることは当然のことです。それを『価値観の違いで離婚』となると、『じゃあ、これまではどうしていたの?』ということになります。
離婚したい、とにかく離れたい、家を出たい、その一心で別居や実家に帰ることを飛ばして離婚を突きつけるケースも多々あります。
離婚は考えている以上に大きな作業です。結婚以上に経験する機会が少ないはずです。離婚の先の何を求めて離婚をするのか、離婚そのものが目的になっていないかを見直す時間が必要です。
子供に関しての約束事を考える
結婚は夫婦になる二人の問題であっても、子供ができてから離婚となると別物になります。離婚の理由が価値観の違いであっても子供のことについては、同じ方向を向いて考えなければなりません。
夫婦の価値観の違いや性格の不一致は、子供にとっては何の理由にもなりません。子供にとっては父親と母親であり、夫婦ではないからです。夫婦の事情をどうやって子供に伝えるか、そして子供にとって父親と母親であることをどこまで約束できるか、夫婦としての最後の共同作業になります。
お金に関しての約束事を考える
夫婦で築き上げてきた財産であればなおさらのこと、お金に関しての話し合いはこじれやすいものです。慰謝料を請求しないケースが増えているのは、金銭問題をこじれさせないための対策や、親権と引き替えに慰謝料を請求しないことが条件になるケースが増えているからです。
会社員の夫と離婚する際、年金を受給する権利は妻にもあり、たとえ離婚でもめたとしても、妻が家庭裁判所に申し立てれば50%の権利を得ることができます。
これは、公務員にも同様に適用されることで、夫が保険料を支払っていたとしても妻にも同様に権利があります。そのため、現在の住居などの不動産、車や地金などの動産、預貯金、その他の貯蓄や投資資産についても夫婦で厳密に話し合わなければなりません。
当然、お金のことはもめやすく、あとからトラブルになることが多々ありますから、信用のおける第三者に介入してもらう方がよいでしょう。離婚分野に強い弁護士に依頼することも念頭に入れる必要があります。
相手との価値観の違いを感じる一番の理由はお金です。最後までこじれて執着するのは愛情や繋がりではなくお金であることが多いですから、必ず第三者に入ってもらいましょう。
互いの人生に与える影響を考える
夫婦でも他人、とは言いますが、それでも夫婦として生活してきた日々が取り消されるわけではありません。互いの人生に介入した事実と記憶は残ります。離婚をすればどちらかが旧姓に戻りますし、新居に移らなければなりません。家族・親類や職場、友人にも伝えなければなりません。
離婚をして法的にも他人になったとはいえ、離婚後も何かと結婚していたことの影響は出てきます。一人になって、最初のうちは清々したと思うでしょうが、次第に一人の時間ができたことで、それまで気づかなかった小さな価値観の違いを見直すことになるでしょう。
最初から無理だったのではなく、次第に価値観にズレが生じてきたものの、互いに穴埋めをしなかったことで、いつの間にか大きな溝になってしまった……。価値観の違いを埋めなかったのは双方が選んだことです。離婚をする前に、相手を罵(ののし)るのではなく互いに何を影響しあい、何を得たのかを少しだけ考えてみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後に、人生に関する名言を添えておきます。
フランスの劇作家アルマン・サラクルーの言葉
『結婚は判断力の欠如、離婚は忍耐力の欠如、再婚は記憶力の欠如である』
これには亜流で『独身は決断力の欠如』というものもあります。それならやはり独身の方がいい、早く離婚をして楽になりたいと思っている方もいるでしょう。
円満な離婚などないといいますが、少しでも穏やかに、これからも続く人生を意義あるものにするために前進するべきです。