「ついつい大きいことを言っちゃったな」
「負けるのが悔しくて、つい大げさに言っちゃった・・・」
そんな経験ありませんか?
実際よりも威勢のいいことを言って、空威張りすることを「虚勢を張る」と言います。
いい格好をしたい気持ちは誰にでもあるものですが、それが行き過ぎてしまうと、周りの人に嫌な思いをさせることになってしまうのでよくありません。
虚勢を張る人は、「あんなこと言わなければよかった・・・」と後悔することがよくありますが、後悔するのがわかっているのにどうして人は虚勢を張ってしまうのでしょうか?
今回は、虚勢を張る人の心理、虚勢を張る意味についてお伝えします。
自信がない人ほど大きく虚勢を張る? 虚勢を張る心理と意味
虚勢を張る言動には、意味があります。
私たちは心の奥深くに、コンプレックスや自信のなさを隠し持っています。
そのコンプレックスや自信のなさが大きければ大きい人ほど、それを隠そうと、より大きな虚勢を張ってしまいます。
つまり、虚勢を張ってばかりいる人ほど、自分に自信がない人なのです。
このような人たちは、以下の心理から虚勢を張ることが多いと言われています。
1.自信がないくせに相手より上の立場に立ちたい気持ちが強い
虚勢を張る人は、自分の容姿や学歴、生い立ちなどに強いコンプレックスを抱えています。
たとえば、誰からも愛されるような美人を「すっぴんだったら私の方が美人! 」「あんな子、大したことないわよ! 」などとおとしめて、自分を「評価する立場」に上げて相手より優位な立場に立とうとします。
本当は自分よりも美しい相手に憧れているくせに、その気持ちを認められないのです。
自分に自信がないことを隠そうとして、相手をおとしめたいというネガティブな心理があらわれるのですね。
2.プライドや負けん気がネガティブな方向に向かってしまう
「馬鹿にされたくない」「負けたくない」というプライドや負けん気は、誰にでもあるものです。
そのプライドや負けん気をエネルギーにして、自分を高めるためにポジティブな方向に持っていければいいのですが、先にお伝えした通り、コンプレックスや自分に自信がない人は、そのエネルギーがネガティブな方向に向かってしまいます。
虚勢を張って相手より上の立場に自分を置くことで、自分のマイナス部分を隠す意味で、つい虚勢を張ってしまうのでしょう。
3.中高年にありがち「昔の自分に戻りたい」
「俺の若いころはなぁ・・・」「昔はよく◯◯したもんだぞ! 」自分の若いころの栄光や努力を大げさにデフォルメして威張る、中高年によくありがちな虚勢の張り方です。
昔の自分を傘に虚勢を張る心理には、「昔のバリバリ仕事をして活躍していたころの自分に戻って、部下たちのようにまたバリバリ仕事がしたい」「会社から必要とされたい」という気持ちが働いています。
中高年になると、思うように体や頭が働かなかったり、パソコンや最先端のOA機器についていけずに取り残された気持ちになってしまいます。
寂しい気持ちを埋めるために、バリバリ働いていた若いころの自分を思い出して、大げさに言いふらしたくなるのです。
虚勢をプラスに変える! 虚勢を張って自分を高めよう
虚勢を張るのはネガティブな心理からとお伝えしましたが、実は虚勢を張ることは、悪いことばかりではありません。
あちこちいろいろな場所で虚勢を張って自分を大きく見せてしまうことをポジティブな方向に利用して、自分のプラスにすることもできるんです。
1.虚勢を張って、自分を追い込む!
虚勢を張って理想の自分を語って自分を追い込んだり、実際より大きな自分をあちこちに見せて自分を追い込んだりして、後戻りできないプレッシャーを自分に与えます。
「私はこんなにすごいんですよ」とあちこちに虚勢を張って言いふらしてしまえば、もう引っ込みはつかないですよね?
虚勢を張るときには、「こういう自分になりたい」という姿を語ってしまうもの。
言いふらしてしまったら「こうなりたい私」になるしかないのです。
そうやって自分を追い込んで、努力せざるを得ない状況を作ってしまうのです。
2.口に出しているうちに行動が伴ってくる
虚勢を張るときには「なりたい自分」を語ってしまうもの、とお伝えしましたが、なりたい自分を思い浮かべて常に口にすることで、自分に対する「セルフイメージ」を上げることができます。
「考えていることは口に出るようになり、口に出すことは行動になる」
と言われる通り、なりたい自分のように振る舞い、なりたい自分のイメージで語っていれば、いつしか「なりたい自分」になることもできます。
このように、つい虚勢を張ってしまう癖を利用して、自分を追い込んで努力することも、セルフイメージを上げるきっかけにすることもできます。
虚勢をプラスに変えるためには、虚勢を張る自分の心理をネガティブな方向にもっていかないことがポイントです。
そして、人を傷つけるような虚勢は張らないこと。
相手を見下したり、バカにして自分を優位に立たせようとすると、どうがんばってもポジティブな方向に向かいません。
周りから嫌われてしまうことにもなりかねませんので気をつけましょう。
あなたの周りにもいる!? 虚勢を張る人への対応
ネガティブな虚勢を張ってばかりで、周囲の人を傷つけたり、嫌な気持ちにさせる人も中にはいます。
そんなとき、なるべく人間関係に響かない形でやめさせたいと思いますよね?
虚勢を張る人は、虚勢を張っていることが周りにはバレていないと思っています。
そこに気づいてもらうために具体的にどうしたらいいか、対処法を覚えておきましょう。
1.言いたいだけ言わせて、放っておく
虚勢を張る人は、相手に「すごいですね! 」「さすがです! 」とほめてもらいたくて、空威張りをして大げさなことを言います。
そこで、虚勢を張った話をしてきたら、いっさいほめずに聞き流してみましょう。
無視をするのではなく、「へぇ~」「そうですか」と、平坦な口調でリアクションしてください。
期待している返事がもらえないとわかれば、虚勢を張った話をすることもなくなるでしょう。
2.逆にほめちぎって恥ずかしい思いをさせる
虚勢を張る人は、自分をほめてもらいたいとは思いますが、その根底にはコンプレックスや自信のなさがあります。
そこで、虚勢を張った話をしてきたら、周囲に聞こえるようにかなりオーバーに
「わぁ~! ◯◯さんてすごいんですねぇ~! 」
「ねぇみんな、◯◯さんて△△△なんだって! すごいよね! 」
と、ほめてほめてほめちぎって、その人を目立たせます。
たとえば、自分が得意ではない分野で、大勢の前で発言しなければならなくなったとき、あなたならどんな気持ちになりますか?
自信のなさから、不安で恥ずかしくなってしまいますよね。
虚勢を張る人は、「虚勢を張る=ほめられる」という条件のもと、虚勢を張ります。
「虚勢を張る=恥ずかしいこと」という認識を持てば、虚勢を張ることはしなくなるのです。
ちょっといじわるな方法かもしれませんが、ネガティブな虚勢を張り続けることは、本人にとってもマイナスなことなので、知ってもらった方がいいでしょう。
3.はっきりキッパリと、正当な指摘をする
とくにひどい虚勢を張る人には、お灸をすえるつもりで、多少厳しく指摘してもいいでしょう。
自分でハッキリ言える立場であればいいですが、自分で言うのが難しい場合は、その人の上司に相談してみましょう。
そのとき、虚勢を張る人の悪口や陰口にならないように気をつけてください。
「周りの雰囲気も悪いし、みんなが嫌な気持ちになっているので、なんとか抑えるように注意して欲しい」
というように、その人の虚勢を張る話し方のせいで周囲の雰囲気が悪くなっている、ということを伝えてください。
場の雰囲気が悪くなると、職場であればモチベーションが下がって生産性が下がってしまいがちです。
先にお伝えした通り、虚勢を張る本人のためにも、ひどい場合はきちんと向き合って解決してもらった方がいいでしょう。
まとめ
虚勢を張る人も、実はそこまで悪い人ではありません。
誰だって、負けん気からついつい大げさに誇張して話してしまうことがあります。
笑って過ごしてあげられる虚勢もあります。
しかし、それが誰かを傷つけたり、迷惑になっている場合は、お伝えした対処法で改善してもらうようにしましょう。