新しい年度が始まり、昇進・昇格してチームのリーダーになられた方も多いのではないでしょうか?
部下をまとめ上げ、上司からも厳しい目で見られるチームリーダーは、とても大変なお仕事です。
まとめなければならない部下にも、さまざまなタイプや能力の格差があるでしょう。
できる部下、まだまだもう少しな部下、コミュニケーションがうまくいっていない部下、マイペースすぎる部下など、それそれ個性があります。
そんな部下たちをうまくまとめ上げるためにはどうしたらいいのか・・・
その答えが、今回紹介する「PM理論」と「SL理論」です。
ぜひ、究極のリーダーシップを手に入れてください!
PM理論におけるリーダータイプ
PM理論とは、日本の社会心理学者である三隅 二不二(みすみ じふじ)により提唱された、リーダーシップにおける理論です。
リーダーシップは「目的達成能力(Performance)」と「集団維持能力(Maintenance)」で構成されているとし、目的達成能力(P)と集団をまとめる能力(M)の大きさによって、リーダーシップタイプを大きく4つに分類してあらわしたものです。
PerformanceタイプとMaintenanceタイプ
目的達成能力(P)とは、たとえばチームにおいてかかげた売り上げ目標を達成するためにはどうしたらいいかなど、チームを引っ張っていく能力のことです。
目標達成を重視するタイプのリーダーは、大文字のPであらわします。
逆に、目的達成能力の低いリーダーは、小文字のpであらわします。
集団をまとめる能力(M)とは、たとえばチームの団結力をアップさせるために食事会や飲み会を開いて親睦を深めたり、部下の悩みを聞き、相談にのり、よくアドバイスをしてサポートする能力のことです。
集団のまとまりを重視するタイプのリーダーは、大文字のMであらわします。
逆に、チームをうまくまとめられないリーダーは、小文字のmであらわします。
あなたはどのリーダータイプ?
1.PM型リーダータイプ
目標達成能力も集団をまとめる能力も高い、理想的なリーダータイプです。
チームの人間関係や個人の悩み相談にも気を遣ってチーム全体の雰囲気を大切にし、目標を達成に導くことができる誰もが憧れ、好かれるスーパーリーダーですね。
2.Pm型リーダータイプ
目標達成を重視するあまり、チームの人間関係や雰囲気に気を配ることができなくなっているリーダータイプです。
目標を達成する能力は高いので評価はされますが、人間関係やチームの雰囲気に気を配ることができないので、チームからの人望はゼロと言えるでしょう。
3.pM型リーダータイプ
チームの人間関係や雰囲気を大切にすることはできますが、目標を達成することができないリーダータイプです。
人望は厚いけれど、仕事ではなかなか評価されないタイプのリーダーです。
ただし、チームの雰囲気はいいので、このタイプのリーダーも好かれるリーダータイプです。
4.pm型リーダータイプ
目標達成能力も集団をまとめる能力も低い、最もダメなリーダータイプです。
どうしてこの人がリーダーに選ばれたんだろう・・・と首をかしげたくなるような、リーダーとはとても呼べないタイプのリーダーです。
あなたは、この4タイプのうち、どのタイプに当てはまりますか?
自身が思うあなたのリーダータイプと、部下が思うあなたのリーダーは一致しているでしょうか?
ちょっと勇気がいることかもしれませんが、自分を知るいいきっかけになりますので、ぜひ信頼できる部下に評価を聞いみてください。
SL理論におけるリーダーシップスタイル
SL理論とは、アメリカのP.ハーシィとK.H.ブランチャードによって提唱された、部下のスキルレベルによって有効なリーダーシップスタイルが違うという理論のことです。
SLは、Situational Leadershipの略になります。
部下のスキルレベルに合わせて、仕事の任せ方、人間関係の築き方を変化させ、部下を一人前に導いていくリーダーシップスタイルです。
指導する部下を大きく4タイプに分類して指導方法を変えていきます。
あなたの部下はどのタイプ?
SL理論において重要なのは、部下のスキルレベルや人間関係の築き方、コミュニケーション力を十分に把握して4つの分類に当てはめることです。
部下のスキルレベルの判断を誤ると、その部下に対して間違ったリーダーシップをとってしまい、うまく指導することができません。
4つのタイプのそれに自分の部下が当てはまり、どのようなリーダーシップを取るべきかをしっかり把握しましょう。
第1レベル 部下のスキルレベルが低めの場合「教示的リーダーシップスタイル」
新入社員やまったく新しい業務に取り組もうとしてる部下は、初心者特有の熱意とやる気と気力に満ち溢れています。
このような、まだまだスキルレベルが十分ではない新人部下に対しては、「教示的リーダーシップ」を取ります。
教示的リーダーシップスタイルにおいては、淡々と作業をこなし、その達成度を重視していきます。
事細かく具体的に指示を出し、作業の進み具合もチェックし、よく目をかけてサポートしてあげることで、部下は着実に作業を覚えてスキルアップすることができます。
第2レベル 部下のスキルレベルが多少上がってきた場合「説得的リーダーシップスタイル」
数年経ち、部下のスキルがレベルアップして業務にも慣れてきた段階です。
この段階では、人間関係も重視した「説得的リーダーシップスタイル」を取ります。
第1段階では仕事をきっちりと覚えさせ、この第2段階では部下とのコミュニケーションも密接にしていきます。
部下の話をじっくりと聞いたり、逆に自分の仕事に対する思いを話したりすることで、第1レベルで学んだ業務に部下なりの考えや思い入れを加えることができるようになります。
第3レベル 第2段階よりもさらにスキルレベルが上がってきた場合「参加的リーダーシップスタイル」
この段階での部下のスキルレベルは、何も指導しなくても自分で考え仕事を処理できるようになっているはずです。
いちいち仕事の進みぐらいを上司がチェックしなくても、何なくこなせているでしょう。
部下のそのまた部下も増えて、その部下たちとのコミュニケーションも積極的にとれるようになっているでしょうか。
この段階では、上司は部下の意見を採用したり、ワンステージ上の会議に参加させるなどして、部下の「上司に頼りにされ認められたい」という承認欲求を満たして、モチベーションを上げさせることが重要となってきます。
第4レベル 部下が自立した場合「任意的リーダーシップスタイル」
すっかり自立した部下に対しては、とくに指導することは何もないでしょう。
自分の部下にも、第1~第3段階のようなリーダーシップスタイルをとることができるようになっており、業務においても人間関係においても、うまく進めることができているはずです。
この段階の部下には、ある程度の話し合いのみ行い、あとはすべて任せるようにします。
すると、部下は仕事を任された責任感をしっかりと持ち、頼りにされることでさらに承認欲求が増し、仕事により高いモチベーションをもつことができるようになります。
そのように仕事をこなしていくうちに、自分に自信を持ち、さらにスキルレベルを上げていくでしょう。
このようなリーダーがいることで、チームの士気も上がって雰囲気も良くなり、さらに業績が上がるという素晴らしい仕組みが出来上がります。
PM理論・PL論を極めて、究極のリーダーになろう!
PM理論とSL理論を理解し部下の育成に活かすことで、部下の育成のみならず、部下の部下の教育にまで良い影響を与えることができます。
理想のリーダーになるためには、今の自分がPM理論におけるどのタイプのリーダーなのかを知り、自分の理想のリーダー像と照らし合わせて誤差を埋めていきます。
目標達成能力が低ければ、目標を達成するためにはどう動いたらいいかを考えて実行するようにしてください。
集団維持能力が低ければ、部下たちとのコミュニケーションをもっと図るようにしてください。
そして、PM能力を磨くと同時に、部下それぞれのスキルレベルを適切に認識し、レベルに合わせたSL理論に沿った指導をしていきましょう。
まとめ
今回は、究極のリーダーシップを手に入れることができる、PM理論とSL理論についてお伝えしました。
「理論」というと、一見、難しいように聞こえますが、今回のポイントはたった2つです。
- 自分がどういうリーダーなのかを知り、理想のリーダーと比べて足りない部分を埋める
- 部下のスキルレベルや考えをきちんと把握する
きっとあなたも素敵なリーダーになれるはずです。ぜひ今から、この理論を実行してみてくださいね。