大切な友人が「人を信じられない」と嘆き落ちこむ姿を見るのはつらいものですよね?
何とか手助けしてあげたいと思うこともあるでしょう。
ですが、いくらあなたの動機が純粋なものだとしても、人の心に介入するのはとても難しいものです。
下手をしたら、彼女との信頼関係を崩してしまうことにもなりかねません。
そこで今回は、人を信じられない彼女の力になりたいと願う優しいあなたに、ぜひ覚えておいていただきたいポイントをお伝えします。
あなた自身の認識を確認しておく
そもそも「人を信じられない」とは、どういうことを指して言っているのでしょうか?
・心を開いて接することができる人がいないということ?
・期待して、裏切られるのが怖いということ?
・友好的な態度の裏で何を考えているかわからないということ?
どのような状態をもって「人を信じられない」と思うかには個人差があります。
また「人を信じられない」という事実に対して、割り切って生きている人もいれば、うまく対応して乗り切る人もいます。反対に、相手の言動によって受けるかもしれないダメージにおびえ、できる限り回避しようと生きるゆえに、人間関係に疲れ果ててしまう人もいます。
あなたが「人を信じられない」と嘆く人の力になりたいと思うなら、まずはあなた自身が「人を信じること」「人を信じられないこと」についてどう思っているのかをしっかり把握しておきましょう。
この認識を確立させておかないと、あなたの不用意な言動がかえって相手を追い詰めることになりかねません。そして、相手との認識のずれが原因で、あなたた自身が苦しむことだってありえます。
人の心に寄り添うというのは、簡単なようで難しいものです。
これが、準備段階だと思ってくださいね。
すべては「受容」から始まる
人間誰でも、否定や批判を受け入れるには、ある程度の心の余裕が必要です。
ですが、「人を信じられない」と嘆く人に、正論や精神論はかえって追い詰める原因となりかねません。もしかしたら、今までだってどこかで正論を耳にするたびに、人知れず苦しみ、1人悩んできたかもしれません。
せめて、あなたは彼女を否定せずにいてあげてください。
まずは、彼女の言い分や心の澱(おり)に耳を傾けてあげてください。彼女が何も語りたがらないなら、そっとそばにいてあげるだけで十分です。
素直になれなくても、最初は反発しても、あなたの真心は彼女の潜在意識には届きます。
あなたは味方でいてくれるかもしれないという気持ちになってもらうことが、彼女の心を溶かすカギになります。
「共感」は相手の心を解きほぐす
当然ながら、人は自分の意見に共感してもらえると安心感を抱きます。
傷ついた人なら、なおさら「共感してもらえる」、「自分を理解してくれる(理解しようとしてくれる)」あたたかさは身に沁みるものです。
人を信じられない彼女を支えたいと思うなら、彼女の考え方や胸のうちに触れたときに理解を示してあげるようにしましょう。
といっても、ただやみくもに同調すれば良いというものではありません。
軽く簡単に受け止められていると思われてしまいますし、「自分の深刻さをわかろうとしてくれない」「この人は調子がいいだけだ」と相手の信頼を失ってしまいます。
大切なのは、安易にわかったふりをするのではなく、理解しようと努めることなのです。
もっとも、しょせんは別の人間同士。100%わかりあえるはずはありません。
でも、それでいいのです。
人を信じられない感覚自体をあなたが理解できなくても、それで苦しんでいるのだろうと彼女の気持ちをくみ、なにか力になりたいと真摯に考える。
その姿勢が十分救いになるのです。
「傾聴」は、相手の心を救う基本中の基本
もしも彼女があなたに心の内を話してくれたら、ぜひ真剣に聞いてあげてください。
あなたも経験があるかもしれませんが、「自分の気持ちを他人に話す」のは、実はとても勇気がいることです。まして、人を信じられないと殻にこもっている彼女があなたという他人に気持ちを打ち明けるというのは、彼女が自分の苦しみを克服しようとしている、その貴重な一歩でもあるのです。
だって、「人を信じられない」人間が、あなたという人を信じようとしているのですから。その重みにどうか思いを馳せてあげてください。
また、無理に何かを言おうとしなくて良いです。アドバイスをしてあげなくちゃと焦ることもありません。わからない部分はわからないと伝えても大丈夫です。
ですが、「あなたの苦しみを本当に理解することはできなくても、あなたの苦しみを少しでも和らげてあげたい」という気持ちは、言葉と態度で示していきましょう。
ちなみに、どうしても時間が取れないときは「今は無理だけど、いつなら話を聞けるよ」というのを、ちゃんと伝えてあげるようにしましょう。余計な不安を抱かせない配慮です。
短気は損気。長期戦を覚悟する
人を信じられなくなるまで傷ついた彼女に限らず、トラウマや苦しんだ経験などは一朝一夕で解決できるものではありません。
人間は完全に回復するまでの間に、調子の良い時期と悪い時期を交互に繰り返す傾向があります。人は、この振れ幅に苦しみながら、心も体も回復に向かうものなのです。この流れがあることを、ぜひ覚えておきましょう。
彼女自身もあなたと接することで「もう大丈夫かも」と明るくなるときもあれば、人を信じられないと苦しんだ時期のフラッシュバックやうつ状態に襲われて一気に気持ちが沈むこむときもあるでしょう。時には、八つ当たりされることがあるかもしれません。
そんなとき、この傾向を知っていれば「今は過渡期なんだな」と冷静に対処することができるはずです。
相手の心に踏み込むつもりなら、あなた自身が振り回されてはいけません。
何より大事なのは、「あなた自身を守ること」
さて、あなたが人を信じられないと傷ついている彼女を本気で救いたいと思うなら、「絶対に、あなたがつぶれてはいけません。」
心理カウンセリングなどで注意しなくてはいけない点としてあげられているものの中に「相手に深入りしすぎないこと」があります。
相手を受容し、共感しているうちに、知らず知らず思い入れが強くなってしまうケースが多いのです。
また、相手側も「自分を受け入れてくれる=心地よい」という認識が確定したとき、人によってはあなたに依存したり、束縛したりしようとしてくる場合があります。
いくら大事な関係だとしても、距離が近くなりすぎれば主観が入り込むため、客観的な判断ができなくなってしまいます。
さらに、相手からの依存や束縛などがあなた自身の心に負担をもたらす可能性も考えられないことではありません。
やがて顔も見たくなくなる、というのも実際によく聞く話です。
そうなると、あなた自身が傷つくのはもちろん、せっかく「人を信じられない」ところから「あなたという人を信じてみよう」とステップアップした彼女の心をも突き落とすことになってしまいます。
本当は、人を信じられなくたっていい
向かい合う時間が長くなり、あの手この手を尽くしても、人の心はそう簡単には変わらないものです。
もしかしたら、あなたも、手ごたえのなさに自信を無くし「自分のやっていることは無駄なのではないだろうか」と感じる時が来るかもしれません。もしくは、彼女の言動から「人を信じられないと言いながら、本当は自分を変える気がないのではないか」と思うこともあるかもしれません。
身もふたもないことを言いますが、あなたがするべきは「人を信じられるようにさせる」のではなく「彼女の気持ちを軽くしてあげる」ことです。
つまり、最終的に彼女が人を信じられないままだとしても、彼女が「それも私の生き方の1つ」ととらえて前向きに(ある意味開き直って)生きていけるなら、それが真のゴールなのです。
ゆえに、あなたが躍起になって更生させようとする必要はありません。
できる範囲の手助けで十分です。気負わずゆったりと寄り添ってあげてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
さて、傷ついた人の心に関わるということは、けして簡単ではありません。
どれだけたくさん聞き心地がよい言葉を言われても、たった1つの態度にはかないません。
あなたが本気で「人を信じられない彼女」を救いたいと思うなら、どうか言葉だけではなく行動でも示してあげてください。
あなたが実践する「有言実行」は、少しずつでも、人を信じられない彼女の心を必ず溶かしていってくれるはずです。