プラシーボ効果のプラシーボ(Placebo)の語源は、ラテン語の「I shallplease」(私は喜ばせるでしょう。)に由来しているそうです。
通常、プラシーボとして、医学の世界では、乳糖や澱粉、生理食塩水が使われます。「これは痛みによく効くよ。」といわれて、乳糖を飲んで、痛みがなくなったり、逆に吐き気がでたりすることがあります。
プラシーボ効果は、本来に作用が考えられないものによりもたらされる反応や効果のことをいいます。
かかるプラシーボ効果の日常場面における活用方法を紹介いたします。
子どもの勉強の成績をあげる
プラシーボ効果の主要な原因のひとつとして暗示効果が考えられています。偽の薬であっても、効くという暗示にかかった患者の身体に反応が現れます。
ところで、近時においては、スマート・ドラッグと呼ばれる薬物が存在します。本来は、認知症の患者の方に処方される薬物です。脳のニューロンを活性化する神経伝達物質のもとになる化合物を補充したり、ストレスを減らしたり、中枢神経を刺激したりします。
それらの薬物は健常人が服用しても効果があります。コリン系などを過剰摂取すると、副作用もあるのですが、神経伝達物質を最適なレベルに保つことで、一般人の限界を超えるほどに頭の回転の速さ・スタミナ・記憶力が向上します。
こういう説明を先にしておいて、子どもに無害な小麦粉などを服用させると、それを信じ込んだ子どもにはプラシーボ効果が発生し、実際に頭の回転の速さ・スタミナ・記憶力が向上します。
嫌いな相手を呪う
本来に何の効果のないはずのプラシーボでも、患者に投与すると、患者が悪い副作用の存在を信じている場合、その副作用が発生することがあります。
つまり、プラシーボ効果は、良い方向にも悪い方向にも使うことができます。いわゆる呪いの効果も、プラシーボ効果によって相当な部分を説明することができます。
自分が呪われているという話を信じこむことによって、「これから体調を崩すことになるはずだ」という思い込みが生じ、それが現実の肉体にも変調を生じさせるのです。
禁煙・禁酒・ダイエットをする
プラシーボ効果の主要な原因のひとつとして古典的条件づけの効果も考えられています。
古典的条件づけとは、生理的反応を引き起こさないような刺激(中性刺激)を与えた後に、生理的反応を引き起こすような刺激(無条件刺激)を加え続けると、そのうち中性刺激だけで生理的反応が生じるようになるという現象を指します。
たとえば、禁煙でしたら、煙草を吸う前に、うるさく吠える自分の飼い犬を30分ほど抱っこするといったような日常で必要となる動作を中性刺激として組み込むのです。
それを繰り返している間に、脳内で条件づけがなされれば、犬を抱き上げるだけで煙草を吸った感覚が脳内で再現されるようになるので、結果的に禁煙することができるようになります。
中性刺激によって自分の体内の感覚を条件づけするといった方法は、禁酒や過食の治療にも応用ができます。
他人のやる気を引きだす
実際に成功報酬を与える準備や用意はなくても、相手をやる気にさせるというのも立派なプラシーボ効果の利用方法です。
達成困難な目標を与えておいて、その8割でも相手が達成をしてくれれば儲けものということは世の中に確かに存在します。
心理学を学ぶ女子学生が頭に悪の男子中学生の家庭教師をしたとき、「難関の○○高校に合格したら、おっぱい触らせてあげる」と言ったら、本当に合格してしまったという話もあります(もちろん成功報酬は与えなかったそうです)。
自分が前向きな気持ちになる
何か困ったことが起きたり、辛い気分になったりはたときは、「ラッキー」と自分に向かって大声で叫ぶといいといいでしょう。
他人からではなくても、「ラッキー」と自分自身で言い聞かせることによっても暗示効果は生じます(自己暗示)。また、「ラッキー」と言うことと幸せの感覚が条件付けされていれば、その時の感覚が脳の中でよみがえり、気分が落ち着きます。
気分ちが落ち着けば、「ラッキーと口で言っている」と「実際に幸運と感じていない」という認知的不協和を解消するべく、あなたの脳は現在の状況の優位な点を探し出す方向で機能しはじめるはずです。
その結果として、前向きな気持ちになれます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
プラシーボ効果について、他人からの暗示によるものと自己暗示によるもの、その理由について暗示効果の観点から説明しやすいものと条件付け効果の観点から説明しやすいもの、プラス効果のものとマイナス効果のものといった分類区別を意識しつつ、日常に応用できそうなものを例として取り上げました。
今回の記事を契機に、あなたの日常においてもプラシーボ効果の活用をご検討いただければ幸いです。