世の中には様々な職業がありますが、接客業に就いている人の割合は意外と多いです。
デパートやアパレルショップの店員さんなどはもちろんのこと、コンビニやスーパーの店員さんも接客業です。
また今は、病院の受付や福祉関係の職業に就いている人も、接客業だと考えられています。
このように、どんな職業についていても「接客」というものが、とても大切になってきています。
しかし、接客ほど奥の深いものはありません。
接客は、あなたの取る態度ひとつでお客様の満足度が変わり、それに比例して売り上げも変わってくるものだからです。
ですから、どんな職業に就いているとしても、ぜひ身につけておきたい技術が接客なのではないでしょうか。
そこでここでは、お客様の心理的な満足度をあげる接客のコツについてお伝えしていきます。
第一印象で差を付ける!
そもそも「接客」とは、どのようなものなのでしょうか?
接客の意味を国語辞典などで調べてみると「客をもてなすこと」と記されています。
そう、接客とは自分自身がそのお店の顔として行うコミュニケーションなのです。
お客様が心地良いと感じるおもてなしを行うことが接客だというのであれば、まずはあなたを見て、お客様が不愉快になるようであってはいけません。
そのためには、第一印象で差が付けられるように、身だしなみや姿勢、表情などに気を付ける必要があります。
心理学にも、こうした第一印象に関係のある「ハロー効果」という考え方があります。
ハロー効果とは、初対面で得た印象がその後の印象にも大きく関係するという心理の働きのことです。
このハロー効果によれば、お客様に対してあなたの第一印象が好印象であれば、その後の印象も良くなるということになるのです。
ですから、まずは第一印象で他の人と差を付けておくことが、接客のコツの一つです。
誰から見ても好印象を与えられるような身だしなみで、接客に臨みましょう。
お客様との距離間
心理学には、人と人との間の距離間でその人たちの親密度が分かる心理的な距離間というものがあります。
これを心理学用語で「パーソナルスペース」といいます。
パーソナルスペースは、自分を中心として他人に侵されたくない空間のことなので、この距離間を知っておくことが接客のコツにつながります。
知らない人や警戒している人との間の距離間は、だいたい120センチほどの距離間だと言われています。
接客をする立場であるあなたとお客様との間の関係は、お金のやり取りをする関係なので、お客様としてはあなたに対して警戒心を持っていて当然。
最初からあまりに近付き過ぎると、お客様に不快な思いをさせてしまいます。
最初は、パーソナルスペースを保って接客をするようにしましょう。
お客様と顔見知りになってきたら、徐々に距離間を近付けていくと、さらに効果的です。
その際は、同性・異性を問わず不快な気持ちにさせない距離間だと言われている60センチの距離間で接客しましょう。
お客様の話に耳を傾ける
お客様との距離間を理解できたら、いよいよお客様と直接コミュニケーションを取ります。
接客をする時に「どんなことを話したらよいのか」と悩む人も多いのでしょうが、接客は「話す」ことよりも「聞く」ことの方が大切です。
ここでは、心理カウンセリングの技法である「傾聴」を活用して、お客様の話に耳を傾けるのが接客のコツになります。
人間は、多くの人が話を聞くよりも自ら話したいという心理を持っています。お客様も、当然その心理を持っています。
ですから、お客様があなたに話しかけてきたら、その話に耳を傾けるように心がけましょう。
その話の中からお客様が求めるニーズがつかめることもあるのです。
真摯な気持ちで、お客様の話を聞いてみてくださいね。
お客様の気持ちを受け止める
お客様の話をしっかりと聞いたら、次に必要な接客のコツはその話を「受け止める」ということです。
いくら話に耳を傾けていても、返事が曖昧だったりすると、お客様は「話を聞いていない」と感じて不快な気持ちになるでしょう。
ですから、話を聞いたら相手に共感して受け止めてあげる必要があるのです。
そういった一連の流れを、心理カウンセリングの技法で「共感」そして「受容」と言います。
この技法を実践するには、あなたがお客様の気持ちに共感して受け止めているように感じてもらえるような態度を取るのが大切です。
そのためには、相手の目を見て話を聞き、話の内容に合わせて丁寧な受け答えをするようにしましょう。
そうすることで、お客様の満足度を上げることができるのです。
お客様の悩みからニーズを引き出す
心理カウンセリングの技法を活用してお客様と信頼関係を築くことができたら、さらにお客様の満足度をあげる接客のコツを伝授しましょう。
お客様と話をすると、今お客様が抱えている悩みが分かることがあります。
その悩みこそがお客様が今求めている「ニーズ」なのです。
ですから、ただ売りたいものをアピールするのではなく、お客様にとっての悩みを解決するものであったり、要望を満たすものを提供できるようにしましょう。
そうすることで、お客様の心理的満足度があがり、ますますコミュニケーションを深めていくことができます。
こうしたことも、接客のコツとして覚えておくと良いでしょう。
認めやすい提案を提示する
お客様としっかりコミュニケーションが取れて悩みやニーズが分かったら、それを活用して自分が売りたいものを勧めることもできます。
そのために役立つ心理学を用いた接客のコツをお伝えしておきましょう。
その方法とは「ローボールテクニック」と呼ばれる心理操作術を使った接客です。
ローボールとは「相手が受け取りやすいボール」という意味。
つまり、この心理操作術は、相手が受け取りやすい…すなわち認めやすい提案を提示して、それを承諾したら、次の提案をしていくというものです。
人間の心理には「返報性」という働きがあります。
これは、何かしてもらったら、それに対するお返しをしなくてはならないと思う心理です。
ローボールテクニックは、この返報性を上手に活用した心理操作術なのです。
ですから、この心理操作術を使えば、お客様のニーズに応える提案を行い、それに承諾してくれたら、さらに自分が売りたいものを勧めるということが可能になります。
お客様の満足度も下げることなく、自分が売りたいものを勧めることができる、この接客のコツをぜひ活用してみてくださいね。
特別感を強調する
さらにお客様の満足度を上げる接客のコツをお伝えしておきましょう。
その方法は「ハード・トゥー・ゲット」と呼ばれる心理操作術です。
これは、人間が持っている自己重要感という心理を刺激して、相手の好意や信頼を得るための心理操作術。
つまり、この方法により、お客様だけが「特別」だということを強調して、あなたを信頼してもらうことができるのです。
お客様と店員であるあなたの間に信頼や好意が生まれれば、商品を勧めることも容易になります。
そのためには、お客様に「自分だけが特別扱いなんだ」と思わせる接客も、時には必要なのかも知れませんね。
まとめ
お客様の心理的な満足度をあげる接客のコツをお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
お客様の心理的な満足度を上げるためには、まずお客様との間に信頼関係を築いていくことが大切です。
そのためには、ここでお伝えしたような心理学を参考にしていくと、スムーズに信頼を勝ち取ることができるのではないでしょうか。
そして、信頼を基にした接客は、お互いにとってストレスを感じない、とても気持ちの良いコミュニケーションの場となります。
あなたもぜひ、こちらを参考にした接客を実践してみてくださいね。