不快な耳鳴り。この耳鳴りの音は、大きく2種類に分けられます。ジーッというような低音で聞こえるものとキーン! という高音で聞こえるもの。
低音で聞こえる耳鳴りは、せみの鳴くような耳鳴りで、静かな場所や就寝時に気になることが多く、老化に伴う機能性の減退による虚証の耳鳴りと言われています。特に高齢者に多くみられるようです。
ここでは、キーン!という高音で聞こえる耳鳴りについて考えてみましょう。
この耳鳴りの原因は、大きく3つに分けられます。1つは、筋骨格系の緊張や歪み。もう1つは、心理的ストレスからの影響。そして最後に病理の影響。
ここでは、不快な耳鳴りの原因別、3つの解決策をご紹介したいと思います。
筋骨格系の緊張や歪みが原因の場合:自分の生活習慣の中で、身体を歪めたり、緊張させたりする「癖」や「習慣」を見直す
まず、骨格の歪みや筋肉の過緊張は、生活習慣の中で、何かがストレスとなり起こってくる、ということを理解しなければなりません。
簡単に言うと、肩こり・頭痛・腰痛・背部痛などが想像しやすいかもしれません。
これらは、長時間同じ姿勢でパソコンをしていたり、悪い姿勢でテレビをみたり、そういった日常生活の中での癖が原因となり起こって来ます。
また、片側だけで食事を噛むことによる顎の歪みや、ぐっと歯を食いしばる癖、などでも頭が緊張して頭痛の原因となったりします。
骨盤はどうでしょうか?
骨盤も片足重心で立ったり、脚を組んだり、ということを積み重ねていくと歪みが出てきます。身体の土台のバランスが崩れるとその上にある背骨のバランスは悪くなり、腰痛や背部痛が起こりますし、そのバランスが悪い背骨を支えようと、筋肉も過緊張を起こして来ます。
そんな風に身体が緊張すれば、当然血流が悪く、体温も下がりますから、脳へ酸素も上手く運ばれないでしょう。身体は全部繋がっています。どこかが歪んだり緊張したりすれば、必ず全体的に悪循環に陥り、耳鳴りが出てきたりするのです。
解決策は、自分の生活習慣の中で、身体を歪めたり、緊張させたりする「癖」や「習慣」を見直すこと。
いくら長時間のパソコンが身体に悪いからと言って、まさか仕事を辞めるわけにはいきません。ただし、足を組むことは止めれます。まずは、自分の癖や習慣を知り、改善できるところはしていきましょう。
また、自分の「癖」や「習慣」を見直したら、今度は、運動やストレッチで筋骨格系の緊張や歪みを改善していきましょう。これが耳鳴り改善への解決策となります。
心理的ストレスが要因の場合:ストレスに有効な自律神経を整える呼吸法(腹式呼吸)を行う
聞きたくない、考えたくない、関わりたくない、といった心理は、実は耳に大きく影響すると言います。
耳には、自分の意識の焦点に合わせて、必要なものだけを取り入れる能力があるそうです。どんなに騒がしい環境でも、目の前の人との会話が行える、といったことを考えるとわかりやすいかもしれません。
雑音と人の声、または、必要とする情報の音を、脳機能によって種分けする能力があるのです。
しかし、日常生活の中での会話や対応にストレスを感じ続けると「自己防衛」として、聞き分けるよりシャットダウンして余り情報が入ってこないようにしよう、という機能を働かせることがあるようです。
キーン!という耳鳴りが聞こえて来た場合、こういった状態がピークに達しているということが考えられます。
現代社会はストレス社会と言われています。ストレスを感じていない人などいないでしょう。このストレスをどう上手く回避できるか、解消できるか、が耳鳴りの解決策となってきます。
ここでご紹介する解決策は、ストレスに有効な自律神経を整える呼吸法(腹式呼吸)を行うこと。
まず、自律神経からお話ししていきましょう。
自律神経とは、自分でコントロールできない神経のことで、呼吸や腸の蠕動運動などを司っています。交感神経(緊張・活動している状態)と副交感神経(緩和・休んでいる状態)とに分かれていますが、この2つがバランスよく切り替わっている状態が、「自立神経が整っており健康である」状態と言えます。
ストレスがたまり、交感神経優位で緊張状態にあると、呼吸も浅くなります。
私たちは、普段「無意識」に呼吸をしています。ただし、その呼吸の速さや回数を「意識的」にコントロールすることは可能です。この無意識に行っている呼吸を、腹式呼吸で意識的なコントロール下に置くことで、自律神経の交感神経と副交感神経のバランスをとることが可能になるのです。
息を吐く際には、副交感神経が優位に働きます。つまり、吐く息に意識を置いた呼吸法を行うと、副交感神経の働きを高めることができるので、リラックスできるのです。
腹式呼吸のやり方は、鼻で息を吸いながらお腹をふくらませ、吐く息でお腹をへこませます。腹圧をかける為、普段行う胸式呼吸よりゆったりとした呼吸になります。
また、横隔膜が上下に動きますが、この横隔膜に自律神経が密集しているので、吐く息を意識的にゆっくりすればするほど、自律神経を刺激し、副交感神経が優位になりリラックスしていきます。
こうして、ストレスから解放する時間をとることで、心理的ストレス要因の耳鳴りは解決していくことでしょう。
病理の影響による場合:病院へ行く
上記2つを実践してみても、全く耳鳴りが良くならない場合は、病理が影響して耳鳴りが起こっている可能性も考えられます。
突発性難聴・メニエール病、他にも脳の病気から耳鳴りが起こることも考えられます。
まずは診断を受けに行きましょう。もし病理的要因なのであれば、その病気が治れば耳鳴りも収まるはずです。
まとめ
いかがでしたか?
耳鳴りは不快ですが、気にし過ぎてもまたそれが原因で耳鳴りが続いてしまうことがあります。早急に、身体・心を見つめなおし、それでもおかしい、というのであれば、放っておかずに診察してもらいましょう。