人は好きになれる相手を選ぶことはできません。無理とわかっていても相手のことを好きになってしまうことがあります。
また、うまく順調に交際しているはずだと思っていても、いつのまにか相手の心が離れていることもあります。
恋をし続けるかぎり、誰も失恋の危険を避けることはできないのです。
今回の記事においては、失恋してしまった時に立ち直るための心理学の観点から有効な方法を紹介します。
軽い運動をする
失恋時に、すべてのことが現実感のないことのように感じられ、ものをまともに考えることができなくなることがあるのは、認知力を司る脳の海馬がストレスで委縮した状態になるからです。
筑波大学大学院人間総合科学研究科・征矢英昭教授の研究によると、海馬の認知力の向上のためには、心拍数でいうと1分間90~100ぐらい、スローペースで歩く軽い運動(ジョギング)が効果的だそうです。
なお、運動の強度をあげていくと、海馬よりも計画力・判断力に関係する背外側前頭前野(46野)を刺激することになります。
失恋のショックからどう立ち直ればよいのかを考えるにあたって、まず、自分の置かれている状況を冷静に認識する認知力が必要になります。判断力が必要になるのは、その後のことです。
失恋テーマの名曲を聴く
音楽も海馬を刺激して認知力を高めると言われます。
また、音楽の中でも、特に失恋テーマの名曲を聴けば、その曲に感動することで海馬が刺激されるとともに、『そういう曲がヒットするということは、それだけ世間に失恋経験をしている人が多いのだ』ということにも思いが至るはずです。
自分ひとりが失恋しているのではなくて、大勢の人たちが失恋の悲しみを乗り越えてきたのだと考えれば、『自分だって乗り越えることができるはずだ』と自己効力感が高まり、失恋の哀しみから立ち直れるチャンスが生まれます。
友人に話を聞いてもらう
失恋直後に思考が混乱して、1人でなかなか自分の置かれている状況を認識できなくても、友人に話を聞いてもらうことで──口に出して言語化する機会を得ることによって──、少しずつ認識が進んでいくということはあります。
次に、自分とは違う角度からの目線をもっている友人の意見は、ブレインストーミングの効果をもたらし、現状の認識のために役に立ちます。
また、単純に、誰かが近くにいてくれるということは、失恋の衝撃による孤独な感覚を幾分か和らげてくれるものです。
さらに、友人からの『きっと立ち直れるはずだよ』という励ましの言葉は、あなたの自己効力感を高めてくれるでしょう。
恋愛市場での自分の価値を確認する
失恋の衝撃の中でもっとも精神的にきついのは、自尊心の喪失です。
自分が失恋した理由を『自分は他人から愛されるだけの価値はないからだ』と思い込んでしまって、自殺するような人も存在しています。
そういう危機を一番に手っ取り早く防止するためには、異性を相手にして自分の恋愛市場における価値を確認することなのです。
昔から『失恋から立ち直るためには新しい恋をしよう』というのは、それなりに理由があることなのです。
恋愛以外のことに自分の価値を見出す
失恋直後の精神状態がやわな時期に、新しい恋をしようとすると、異性の良し悪しを判断する鑑識眼が相当に曇っていることもあるので、とんでもない相手を捕まえてしまう危険もあります。
そこで、失恋によって傷ついた自尊心を回復するためには、恋愛と無関係な分野の仕事・学業・スポーツ・趣味といったものに打ち込んで、自分の価値を見出すといった方法も考えましょう。
雑念を振り払って恋愛以外のことに打ち込んでいれば、その間に経過する時間が失恋の辛い記憶を忘れさせてくれるということもあります。
失恋した相手のメールアドレスを削除する
あなたが失恋相手はあなたのことについて『恋愛する価値がない』という否定的な評価をくだしています。その人のことを考えるたびに、自己評価・自尊心の低下がもたらされる危険があることを否めません。
社会生活において必要な健全な範囲での自尊心の回復のためには、失恋相手のメールアドレスを削除したり、失恋相手のことを連想させる思い出の品々を処分してしまったりするということも必要となることがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
失恋の事実をきちんと受け入れ、その痛みを乗り越えるというのは、相手のことが好きだった度合いが強ければ強いほど難しいものです。
もしもの場合、今回の記事が少しでもあなたのお役に立ってくれるようなことがあればと願っております。