日本人の二人に一人ががんになる時代。
30代であっても、がんにかかる方は増えています。
あなたの友人や知人、そして同僚の方で、がんにかかった方もおられると思います。
がんと聞くと、あなた自身は何を感じますか?
多分、相手にどう話かけていいか、相手との接し方に戸惑いを感じてしまうのではないかと思います。
どうすれば、がん患者さんに負担をかけないで上手に付き合えるのか、今回は、その接し方について、ご説明します。
言いふらさない
がん患者さんは、がんにかかったことで、他人からの憐み(あわれみ)や戸惑い、その視線や態度で傷つくことが多いようです。
それは、「がん=死」のイメージが根強くあるため、その病名を知ったことで、相手が死を連想するためだとも言われています。
死は、忌み嫌われるイメージがあるため、その死を連想するものを嫌がる人がいるのです。
そのため、がん患者さんは、周囲の人の態度の変化で、「負の社会的烙印を押された」と、感じることも多いのです。
あなたは、そんなつもりではなくても、あなたが誰かに、友人や知人ががんにかかったことを話したとします。
すると、あなたが話した相手の態度が変わってしまい、その相手を通して、がんにかかった方を傷つけてしまう可能性もあります。
まだ、がん患者さんへの社会的イメージは、“治る病気”ではありません。
がん患者さんに負担をかけないためには、あなたは他の人に、がんにかかった人の話をしないことが大切です。その態度が、がん患者さんの信頼を増すことになります。
今までと同じに接する
がん患者さんの心理の一つに、自分と健康な相手との間に見えないベールがかかったような隔絶感を持つことがあげられます。
健康な周囲の人達と、がんにかかった自分は同じではないと、がん患者さん自身が感じてしまうのです。それだけ、がんという病気の持つ「負のイメージ」が強いともいえます。
あなたが、がん患者さんと上手く接したいと感じるなら、今まで通りの接し方を続けて下さい。
これこそが、相手を特別扱しない、負担をかけない接し方になります。
あなたが持つがんのイメージを変える
あなたはがんにどのようなイメージを抱いていますか?
テレビや映画では、主人公ががんで死ぬことが多かったり、抗がん剤治療をオーバーに描いていたりすることがあります。
また、あなたの身内の方が、がんで亡くなっている場合には、その印象に引きずられてしまい、がんにかかった相手の方の状態を正確にとらえることができにくくなります。
現在は、早期がんであれば、90%以上の方が完治するがん腫もあります。また、抗がん剤治療でも、病気の種類によって副作用も違います。
まずは、あなた自身が持つがんのイメージを、きちんと認識し、もし、偏っていると感じたのなら、正確な情報を得ていく必要があるかも知れません。
がんセンターなどは、がん患者やその家族・友人などに対して、無料で情報提供や相談に応じてくれるがん相談支援センターが設置されています。
あなた自身が、がんや治療などの正しい情報や、がん患者さんとの接し方を知りたいと感じた時は、がん相談支援センターなどを利用するのも良い方法の一つです。
できない部分をフォローする
がん患者さんは、自分が家族や同僚に負担をかけていることを心苦しく感じ、無理をして体調を壊してしまう場合が多いのも特徴です。
それは、病気に負けたくない、頑張りたいという気持ちが強いためだとも考えられています。
しかし、乳がん治療後で、患側(かんそく)の手が上がらなかったり、胃がんの手術後で、食事後に気分が悪くなったりと、自分ではどうにもならない体の変化はあるのです。
がん患者さんが負担を感じない接し方としては、できないこと、しんどいことを、さりげなくカバーすることが良いでしょう。
頑張っている気持ちが折れないように、さりげなく、声をかけたり、手を差し伸べたりすることを心掛けて下さい。
食べられない食物を確認して、食事に誘う
がんの手術や抗がん剤の影響で、食形態が変わったり、味覚が変化してしまったりすることがあります。
でも、がん患者さんは、そのことで気を使わせることを嫌がる傾向があります。
ですが、友人や同僚であるがん患者さんにも、一緒に食事を楽しんだり、その雰囲気を味わったりしてもらいたいですよね?
そんな時は、幹事役のふりをして、食べられるもの、楽しめるものを相手に確認しましょう。
相手が負担にならないように、みんなが一緒に楽しみたいと思っていることを伝えます。
この接し方は、がん患者さんだけでなく、食事制限がある人や、アレルギー食材がある人を誘う時にも良い方法です。
誘われた相手も、自分を尊重してくれていると感じるため、関係性が良くなります。
辛い気持ちを受け止める
がん患者さんは、がんの告知を受けたり、治療で辛い思いをしたりして、精一杯我慢をしている状況なことが多いものです。
そのため、あなたが何気なくかけた一言で、目を潤ませることがあるかも知れません。
そんな時は、理由をきかず、相手が落ち着くまで傍にいる接し方をおすすめします。
がん体験者の辛さは、体験者同士でないと分かり合えない部分が多いと言われています。
そのため、安易に「わかるよ」という言葉を使うことは避けましょう。
ただ、傍にいることが、最大の心の支えであり、癒しになることを覚えていてください。
時間を共有する
あなたとがん患者さんとの関係が、どの程度親しいのかにもよりますが、病気になった後も、それまでと同様に、一緒にいる時間を持つことが相手にとって負担がかからない接し方です。
一緒にいるということは、時間の長さではなく、一緒にいる時の心地良さや思いやりを伝え合うことを意味します。
がんという病気になったとしても、変わらないあなたの思いが、未来が不確かな状態にいるがん患者さんにとって、信じられる確かなものになるのです。
がんが治って普通に生活できるようになったとしても、不幸にもがんで命を落とすことになったとしても、あなたの変わらない接し方や共有した時間の重みは、がん患者さんにとって、何にも変えられない宝物になります。
まとめ
いかがでしたか?
がんにかかることは、死を連想させます。その不安と恐怖と戦っているのは、がん患者さん自身です。
今は、治るがんも多くあります。けれど、がん治療の辛さや、再発の不安がゼロになるわけではありません。
あなたは、必要以上に気を遣ったり、腫物に障ったりするように接するのではなく、相手ががんにかかったことで、不自由になった部分をカバーし、思いやる気持ちを持って接することが、がん患者となった相手に負担をかけない接し方になります。