親にとって、子供はいつまでも子供。
とは言うものの、あまりに子離れできない親といるのも、辛いものがありますよね?
実は、子離れできない親には、心理的な要因があります。
今回は、子離れできない原因となる親の心理パターンと、子離れしてもらう方法をお伝えします。
子供にべったり「依存」する親
「今日は何するの?」
「どこ行くの?」
「誰と?」
根掘り葉掘り、なんでも聞きたがる。
特に反対してくるわけではないけれど、なんでも子供のことを知っておかないと気がすまない…そんな親は、「依存」タイプの子離れできない親です。
依存タイプの親は、精神的な自立ができていません。
依存型の親は、自分の価値を見失っています。
これまで、子供が全てで、そこに捧げてきていたので、子供がいなくなってしまっては、自分の価値がなくなると考えているのです。
ですから、子離れしてもらうには、子育て以外で、自分の価値を感じてもらうサポートをすることです。
親に対する感謝を示し、能力面で優れたところを褒めましょう。
親を褒めることは難しいかもしれませんが、それだけ、あなたの親は「あなたがすべて」の生活をこれまでしてきたということです。
仕事を辞めたかもしれませんし、お金をあなたにつぎこみ、やりたいことを我慢し、時間を削り、あなたのために使ってきました。
それは、あなたにとっては重いことかもしれませんが、それであなたが育ってきたのも事実。
それに対しては、素直に感謝を述べることです。
「立派に子育てをすることができたんだから、他のこともできるはずだ」
依存型の親にとっては、それを糧に外界と繋がりを取り戻すことが、子離れする最善の方法です。
依存型の親は、子供に嫌われたくない人が多いので、干渉はしてきても反対したりということは少なく、援助もしてくれます。
それゆえ、子供の側が甘えてしまいやすいことも特徴ですので、あなた自身がしっかり自立することも大切です。
子供に言うことを聞かせたい「支配」したがる親
「そんなことできっこないでしょ」
「それは無理だから辞めなさい」
「あなたにはそれは向いてない」
など、仕事にまで口出ししてくる親。そんな親は、「支配」タイプの子離れできない親です。
子供をコントロールしておきたいので、子供の弱点をたくみにつき、自信を持たせないようにします。
人は、相手が「自分より弱い」と感じると、コントロールしたくなるもの。
あなた自身が、毅然とした態度で接することが大切です。
「そうやって言われると、私は自信をなくしてしまう」と、ハッキリ伝えましょう。
それが難しいならば、あなたが自信を持てる何かを持ち、親に否定されても毅然と言い返せるようになるまで、いったん物理的に距離を置くことが最善です。
常に上から目線で「絶対服従」させる親
「ああしなさい」
「こうしなさい」
「それは間違っている」
「私の言うとおりにしなさい」
など、子供に言うことを聞かせようとしてくる親は、前提として「親が上、子供が下」と考えている服従型のタイプの子離れできない親です。
服従型の親にとって、こどもは自己顕示欲を満たすための存在ですから、なかなか子離れできません。
反抗すると、突然「勘当だ! 」と言いだしたり、「生意気だ! 」と怒鳴り散らすこともあります。
ただ、もし子供が社会的地位の高い職業についたり、目に見える成果を出したりすると、コロッと態度を変えたりします。
服従型の親に子離れしてもらうには、距離を置くか、「あなたを服従させることはできない」と親が思えるように、あなた自身が成長するしかありません。
もしかしたら、あなたの中にも、親に認められたいという気持ちがあって、これまでは親の言う通りにしてきたのかもしれません。
しかし、それは無理やりやらされていることなので、なかなか結果が出ません。
服従型の親に育てられた子供は、親の言う通りにしてきたため、失敗しても「親のせいだ」と考えてしまい、自己責任という考えを持っていないケースがあります。
親に対抗するのではなく、親に認められたいがために今まで行動し続けてこなかったか、振り返ってみましょう。
そして、これからは親ではなく、自分の考えと責任で行動するようにしましょう。
親のいうことは「その通りだね」と表面的に流しておけば良いのです。
心配性で過保護な親
子供を心配するがあまり、過保護になってしまう親は、子供が失敗しないように、なんでもやってあげようとする傾向があります。
一方の子供は、失敗や苦労から学ぶチャンスを失っているので、完璧主義であったり、失敗を恐れて挑戦ができないようになる可能性があります。
もしあなたの親が過保護タイプの子離れできない親ならば、子離れしてもらうには、あなた自身が積極的に様々なことに挑戦し、失敗から学ぶ姿勢を親に見せてあげることです。
親が干渉してきたとしても、「失敗してもいいから、これがやりたいんだ」と伝えましょう。
傷つくのを恐れているのは親であって、あなた自身ではありません。
自分の理想を押し付けてくる親
「こうであるべき」と子供に押し付けてくるタイプの子離れできない親です。
自分が過去に敗れた夢を子供に叶えさせようとしたり、親の理想通りの人間に子供を育てることが「正しい子育て」だと勘違いしています。
そのため、過干渉になってしまうのです。
子離れしてもらうには、子供には子供の人生があるということ、親の人生をやり直すために生きているのではないということを理解してもらう必要があります。
そのためには、親にとっての理想の人間と、自分にとっての理想の人間をハッキリ分けておく必要があります。
あなた自身の考えを見つめなおし、親ではなく自分の「理想」をまとめておきましょう。
そして、親の言っていることがそれにそぐわなければ、「私はこういう考えで、それがいいと思っている」とハッキリ伝えましょう。
なかなか難しいことかもしれませんが、少しずつ「自分と子供は違う価値観の人間である」と理解してもらうには、時間も必要です。
友達みたいに仲良くしたい親
「子供と友達みたいに仲が良い」親子のかたちが、テレビなどで紹介されたこともあって、あたかも理想的であるかのように広がったことがありました。
自然とそうなっているのなら良いのですが、本当は子供がそれを望んでいないのにも関わらず、親が子供に「友達のような関係」を強要すると、「子離れできていない」親になります。
子供が自分にとっての一番の親友であり、「なんでも自分が一番分かっている」存在でありたいために、子供に隠し事を許さなかったり、ありとあらゆることに口出ししてきたりします。
また、常に自分の味方でいるように、配偶者の悪口を吹き込んだり、自分の愚痴を聞かせたり、子供に自分の「ご機嫌取り」をさせることもあります。
このタイプの親に子離れしてもらうには、あなた自身の力で、親とは異なる世界を自分で作っていくしかありません。
あなたが新しいことを始めたり、新しい友人をつくることも、自分が紹介したものや見つけてきたものなら理解を示しますが、全く自分のあずかり知らぬ世界に飛び込もうとした時は、嫌悪感を示すでしょう。
そんなとき、親・家族という存在(安心感)があるからこそ、自分が新しい世界に飛び込んでいけるんだ、ということを伝えておけば、親の心が和らぎます。
私を見て!自己愛が強すぎる親
自分が大好きで、「子育てを頑張っている私」が好きな子離れできない親のタイプです。
依存タイプの親と似ていますが、依存タイプの親は自己価値が低く、子供を失うことで自分の価値が低くなると考えているので、子供に嫌われることを恐れ、子供に合わせます。
いっぽう、自己愛タイプの親は、子育てを通じて頑張っている自分が大好きです。
子供に嫌われることは怖くないので、自己中心的にふるまったり、自分を認めてくれない相手に対して攻撃的になります。
親自身がまだ子供なので、親ではなく「子供を相手にしている」と思った方が、あなたの精神的には楽になるでしょう。
あまり相手にしないことが得策です。
まとめ
子離れできない親の心理に共通しているのは、「自分は何か欠けている」と思い、子供でそれを埋めようとしていることです。
自分は親の欠けたピースを埋めるための道具ではない、ということを毅然とした態度で示す必要がありますし、それができないなら、いったん物理的に距離を置くことも必要です。
それに罪悪感を感じる必要はありません。
ただ、時間とお金を全くかけずに、子供を育てられた親はいません。
あなたがこうして育っているということは、親は必ずあなたのために何かを犠牲にしています。
そのことに関して、素直にあなたが感謝できるようになると、親の「何かが欠けている」という気持ちが、わずかではありますが、解消されることも知っておいてください。