会社や学校などに行くと、自分が望まなくても人前で話をしなくてはならない時があります。
企画のプレゼンや発表など、人前で話すことが苦手な人にとっては、不安と緊張で心が押しつぶされてしまうような気持ちになります。
緊張があまりに強すぎてうまく話せず、不本意な結果に終わってしまった経験のある人は、きっと多いはずです。
そうした経験のある人は、「人前で緊張しない方法」を知りたくて仕方がないはず。
そこで今回は、人前に出ても緊張せずにいられる方法をできるだけたくさんお伝えしていきます。
あわせて、緊張のメカニズムや原因などをきちんと理解しておくと、緊張しない方法を試した時に予想以上の効果を発揮してくれることでしょう。
人前で緊張しない方法
人前で緊張してしまう人の多くが「上手に話をしなくてはならない」と思う傾向にあります。
この気持ちがプレッシャーとなり、人前に出るだけで緊張してしまうようになるのです。
人前に出る時には、できるだけプレッシャーを感じないようにすると緊張せずにいられるようになります。
それでは、具体的な人前で緊張しない方法をみていきましょう。
本番前の事前準備
1.十分に事前準備をしておく
人前に出て話すことが前もってわかっている場合には、事前準備を十分にします。
思いつく限りの事前準備をすれば、本番を迎えたとき、不安や緊張が解消されるだけでなく、自信をもつこともできます。
たとえば、プレゼンであれば、プレゼンのリハーサルはもちろん、その時に想定される質問への回答はしっかり準備しなくてはなりません。
あなたが不安を感じてしまうすべてのことに対して、できうるかぎりの事前準備をし、緊張の材料となるものはできるだけ減らしておくということが大切です。
2.イメージトレーニングをする
事前準備の中にぜひ取り入れてほしいのが「イメージトレーニング」です。
発表に成功した良いイメージを、徹底的に自分の脳に刷り込んでいきます。
イメージトレーニングをしっかりしておくと、本番で成功する良いイメージができあがるので、実際の本番でもイメージ通り実践しやすくなります。
3.場慣れしておく
人前で話をするような場所というのは、日常生活ではあまり行かないような大きなステージだったり、広い会場だったりします。
そういう場所で迎える本番は、緊張を誘うものです。
ですから、慣れない場所というだけで緊張しないように、その場所を下見して「場慣れ」しておくようにしましょう。
可能であれば、本番の会場に立って、リハーサルをしておくとより効果的です。
4.気持ちを整える
人前で話すような場面というのは、何も発表やプレゼンのように自分の意見を披露するような場面だけではありません。
就職や進学のための面接なども、問われたことに対して自分の意見を的確に述べなくてはならない、とても緊張する場面ではないでしょうか。
こういった時は、事前準備として「気持ちをしっかりと整えておく」ことが大切です。
たとえば、面接の場合、自分ばかり話をしないといけないと思うとより緊張してしまうので、少し気持ちを切り替えて「面接官の話を聞きに行く」という気持ちでいるとよいでしょう。
また、あなたが主に話をしなくてはならない発表の場でも、完璧に全て話そうとせず、「要点だけ」伝えることを目標にすればよいのです。
いずれにしても、人前で話すからといって気負うことなく、気持ちを楽にするように整えていきましょう。
5.ルーティンを決める
ルーティンとは、「毎回の決まりごと」「儀式」という意味の言葉です。
極度の緊張に襲われることが多いプロのアスリートや音楽家などは、その人だけのオリジナルのルーティンを行うことが多いと言われています。
ルーティンを行うことで、自分自身に対して「いつもと同じ」という意識を植え付け、平常心と集中力を保たせることができるのです。
たとえば、大きな試合の前に必ず勝負ネイルをしてから臨むなど、あなたも自分を保つためのルーティンを作ってみましょう。
自分の気持ちが落ち着き、平常心で本番に臨むことができるはずです。
6.本番が終わった後に「楽しみ」となる予定を作る
事前準備をしても、やはり本番のことを考えると、緊張して憂うつな気持ちになるものです。
そんな時には、本番が終わった後に何かしら「楽しみ」となる予定を入れるようにしてください。
たとえば、あなたの好きな異性と会う約束をしたり、映画やコンサートの予定などを入れておくのもよいでしょう。
このような楽しみがあれば、本番を迎える時にも「終わったら○○(楽しいこと)ができる! 」と思い、憂うつな気持ちを回避することができます。
「こんな単純なことで? 」と思われるかもしれませんが、こうした方法が意外に一番効果があったりするものです。
7.サポーターを探す
本番を迎える前に、あなたを応援してくれるサポーターを探しておくことは、事前準備の中でも、とくに大切です。
想像してみてください。
あなたが人前で緊張しながら話をする時に、誰も聞いていない・・・なんて状況になったらどうでしょうか。
「私の話は面白くないのでは・・・」と感じて不安になり、焦りが生まれて、より一層緊張します。
また、一度でもそうした経験をしてしまうと、次の機会もまた同じことになるのではないかと不安になり、トラウマとなってしまいます。
そうした事態を防ぐ存在こそ「サポーター」です。
あなたの話を聞いてくれるサポーターがいれば、その人に向かって話をすればよいのです。
そうすれば、不安や焦りを持たずに、人前で話をすることができます。
家族や友人など、気心の知れた相手に「サポーター」になってもらえるよう、事前に忘れず頼んでおきましょう。
本番直前
1.根拠のない自信をもつ
本番直前には、不安や焦りといったマイナスの感情をできるだけ持たないようにすることが大切です。
あなたがあなた自身に自己暗示をかけて、自信をもって本番に挑む必要があります。
その自信の根拠は、今までしっかり行ってきた事前準備ですが・・・そもそも自信を持つのに「根拠」など必要ありません。
いわゆる「根拠のない自信」をもつことが、人前に出るにあたって強い力を発揮してくれます。
大きく深呼吸して「私はできる」と言い聞かせてみてください。
そうして自己暗示をかけるだけで、本当に「できる」ようになっていきます。
2.自分を追い詰めるような考え方を止める
また、本番に臨むにあたっての考え方も重要です。
「失敗をしたら大変なことになるのでは? 」
「みんなが見ているし、失敗したら笑われるかも・・・」
などと思うと、誰もが不安を感じてしまうものですが、周囲の人はそこまであなたの失敗をチェックしていませんし、たとえ失敗しても大したことは起こりません。
自分自身を追い詰めるような考え方は、より一層不安をあおり、緊張してしまうのでNGです。
気持ちを楽にして「失敗しても大丈夫だし、誰も私に注目していない」くらいの気持ちでいるのがよいでしょう。
また、緊張している状態を意識し過ぎて「緊張してきた、まずい」と思うことも、自分自身を追い詰めてしまいます。
緊張を味方につけて「緊張してきたからなんだよ? 」と開き直るくらいの方が、本番をうまく終えることができます。
3.身体の力を抜く
本番直前になると、より一層緊張が強まり、身体にも力が入ってしまいがち。
「力を抜こう! 」と意識するだけでも、緊張を遠ざけることができると言われています。
身体と心には密接な関係があり、身体に力が入っていると、心にもその影響が及びます。
反対に、身体の力を抜いてリラックスした状態になると、心もリラックスします。
緊張から強張った身体の力を抜くのには、以下の方法が効果的です。
3-1.深呼吸をする
人間の自律神経には、緊張を司る交感神経とリラックスを司る副交感神経があり、この2つは互いに拮抗した関係にあります。
腹式呼吸で行うゆっくりとした深呼吸には副交感神経を活性化させる働きがあるので、心身をリラックスさせるのに効果的です。
本番直前にはゆっくりとした深呼吸をして、心身をリラックス状態に導いてあげましょう。
3-2.軽いストレッチをする
深呼吸をしたら、軽いストレッチで身体の緊張をほぐしていきます。
身体が強張った状態で心の緊張をほぐそうとしても、なかなかうまくいきません。まずは身体の緊張を解くことからはじめます。
とくに、肩まわりや首に力が入ってしまいがちです。軽く動かして緊張をほぐしていきましょう。
3-3.姿勢を良くする
ある心理学の実験によると、人間は背筋を伸ばして姿勢を良くするだけで「自己肯定感が増す」そうです。
人間の脳には、身体の状態から自分の心理状態を判断する働きがあるため、背筋を伸ばして胸をはっているだけで「自信がある」と錯覚するのだとか。
本番直前には、きちんと背筋を伸ばして姿勢を良くしましょう。
3-4.笑顔を作る「表情筋トレーニング」
「笑顔」にも、自律神経の副交感神経を優位にして、人をリラックスさせる効果があると言われています。
また、笑顔を作ることで快感を司る脳内物質「ドーパミン」の分泌が促されるため、自然と楽しい気持ちになり、緊張もほぐれます。
本番直前には、できるだけ「笑顔」を作る練習をやっておきましょう。
自然な笑顔を作るポイントは、目元を下げて口角をあげること。
この2つのポイントさえ押さえておけば、たとえ作り笑いであっても効果があると言われています。
そこでオススメしたいのが「表情筋トレーニング」です。
顔の表情を作る「表情筋」をしっかり動かして、笑顔を作りやすくするトレーニングです。
トレーニングの方法は自己流でも構いませんが、とにかく顔の筋肉をできるだけ激しく動かしていきましょう。
口を大きく開いて目を見開いたり、反対に口を思い切りすぼめて目もぎゅっと閉じるなど、表情筋をしっかりとほぐすように動かします。
その後、鏡の前で笑顔を作ってみてください。きっと素敵な笑顔が作れているはずです。
3-5.香りを活用する
アロマオイルを使って「嗅覚」からのアプローチで緊張をゆるめる方法です。
嗅覚の刺激は他の感覚と違って、唯一、脳に直接伝わる感覚ですから、本番直前のような時間がない時でも効果があります。
天然の植物から抽出されたアロマエッセンシャルオイルの中には、精神に作用して気持ちを静めたり、緊張を緩和する働きのあるものがいくつかあります。
そうした香りを活用して、人前に出る緊張をゆるめていきましょう。
とくに、不安や緊張で落ち着かない時には「オレンジスイート」や「ラベンダー」の香りがオススメです。
また、アロマオイルを使わなくても、「この香りを嗅ぐと落ち着く」と思えるような香りがあれば、心理的な条件づけの効果により、緊張を緩和してくれます。
3-6.ツボ押しをする
人間の身体にはたくさんのツボがあり、それを押したり揉んだりすることで心身の不調を緩和する効果があります。
「ツボ押し」の中には、不安を解消して緊張を緩める働きのあるものがあります。
オススメのツボは、人差し指の骨と親指の骨の合流地点にある「合谷」というツボです。
このツボは、神経過敏や不安解消に効果があると言われていますので、本番直前の緊張が高い時にぜひ押してみてください。
3-7.何か軽く食べておく
「食べる」ということは、実は自律神経の副交感神経を優位にする最も簡単な方法です。
野生動物が安全な状況下でしか食事をしないのと同じ原理で、人間も何かを食べている時は「安全」だと脳が判断するため、気持ちが落ち着きます。
つまり、軽く何かを食べるだけでも、緊張緩和に効果があるということです。
緊張が強過ぎて何も食べられないような時には、口にあめ玉を含んでおくだけでもリラックス効果を得られます。
3-8.安心を与える「引き込み現象」
人前に出る直前というのは、事前準備の時以上に緊張が強い状態です。
そのような時には、心拍数も早くなり、脳波も乱れます。
そうした状態を解消してくれる方法のひとつに「引き込み現象」と呼ばれるものがあります。
引き込み現象は、人間が外部から安定したリズムを与えられると、自分のリズムと外部のリズムの共存ができないため、安定したリズムの方に引き込まれる、というものです。
たとえば、赤ちゃんの背中をトントンと軽くたたいてあげると、安心して眠ってしまう、この現象が「引き込み現象」です。
本番直前に緊張が強い時には、指先で自分の身体の一部を「トントン・・・」と一定のゆっくりとしたリズムでたたきましょう。
それを繰り返すことで、脳内物質「セロトニン」の分泌が促され、気持ちを静めることができます。
4.サイキングアップ
ここまでお伝えした方法で緊張をゆるめたら、あとはいよいよ本番に向かう準備に入ります。
自分の気持ちを本番に向かって高め、集中させていき、緊張とリラックスのバランスが取れた状態にしていきます。
この方法を「サイキングアップ」と呼びます。
サイキングアップの方法は人によって様々ですが、一般的には好きな音楽を聴いて自分の世界に入り、集中する方法が多いようです。
本番中
1.ゆっくり話してゆっくり動く
「いざ本番! 」という場面に直面すると、その状況から早く逃れたいという心理が働いてしまうため、無意識の内に動作や口調が早くなってしまいます。
しかし、早口で話を進めてしまうと、普段ならしなくていいようでも失敗をしてしまうものです。
大切な本番の時ほど、できるだけゆっくりと話し、またゆっくりと動くことを心がけておきましょう。
意識してゆっくりと動くと緊張がほぐれる効果があると言われています。
また、意識してゆっくりと話していると、聴いている相手にはあなたの緊張が伝わらないメリットもあります。
緊張している時ほど、ゆっくりとした話し方で余裕を出したいものですね。
2.うまく話そうとしない
緊張を強くする原因の多くが「うまくできなかったらどうしよう・・・」という不安だと言われています。
良い結果を残さなくてはならないというプレッシャーが緊張を引き出してしまっているのです。
ですから、あまりうまく話そうとしないこと。
たとえ上手ではなくても、心を込めて丁寧に話をすれば、聞いている人たちを感動させることができます。
話のうまさよりも、人々に自分の思いを伝えることが大切です。
3.今までの努力を思い出す
あなたは本番を迎えるまでにしっかり実践してきたはずです。
ここに至るまでにどれだけ頑張ってきたのか・・・そうしたことを思い出せば、不安からくる緊張を解くことができます。
「今までの努力の成果を出す」という気持ちで本番に臨むと、思ったよりも緊張しないで済みます。
4.緊張を解くために全く別のことを考える
今までの努力を思い返しても緊張が取れない時には、反対に全く別のことを考えるのも良い方法です。
「人前に出る」ということばかり考えていると、ついつい緊張が高まってしまいがちです。
ですから、逆に全く別のことを考えて、緊張していることを忘れましょう。
「今度の休日は何をしようか? 」
「この本番が終わったら何を食べに行こうか? 」
など、全く関係のない別のことを考えてみてください。
そうすれば、心の中にある不安な気持ちを忘れることができるため、効果的に緊張を解くことができるでしょう。
5.指先や手を温める
緊張が強くなると身体に力が入るため、血行が悪くなり、体温が下がります。
すると、指先や手が冷たくなり、ますます緊張を感じてしまいます。
それを解消するには、冷えた指先や手を温めます。
指先や手を温めて、物理的に「温かさ」を感じるようにすることで、自律神経の交感神経を緩めて、少しリラックスすることができます。
6.最初と最後の5分だけ集中する
実際に人前に出て話をする時には、最初と最後の5分が勝負です。
話のスタートである「つかみ」の5分と、話をまとめる「クロージング」の5分がしっかりしていれば、途中がうまくいかなくても何とかまとめることができます。
とくに「つかみ」で相手の注意を惹きつけることができれば、大抵の人はそのまま話を聞き続けてくれるものです。
ですから、本番で不安にならないように「つかみ」のネタをたくさん準備しておくとよいでしょう。
最初と最後の5分だけ集中して失敗をしないように心がけておけば「大丈夫」です。
今後の「緊張回避」につなげるために
いくら緊張しない方法を試していっても、人前に出る経験を避けていては成長しません。
一度でもよいので、人前に出ることでの「成功体験」を味わい、その経験を積み重ねていってほしいものです。
成功体験を作るためには、紹介した方法があなたを助けてくれるでしょう。
緊張を恐れずにまずは一歩を踏み出していき、今後の「緊張回避」へとつなげていきましょう。
緊張のメカニズム
緊張やあがり症などと呼ばれる症状の原因やメカニズムを理解して実践していくと、さらに高い効果が期待できます。
緊張やあがり症は、正しい理解と効果的な対処法で必ず改善することができます。
そこでここでは「緊張」がなぜ起こるのか、そのメカニズムをひも解いていきます。
なぜ「緊張」するの?
そもそも、私たち人間はなぜ緊張するのか、それは動物としての「防衛本能」から起こるものだと考えられています。
野生動物の場合で考えてみると、周囲に敵がいる環境の場合、「襲われるかもしれない」という心理が働きます。
その時に「目が合った生き物」がいれば、自分が襲われる可能性が高まるので、自分自身を守るために身体の機能を高めます。それが人間の場合は、自律神経の働きに影響します。
人間にも、動物としての防衛本能が残っているため、人から見られていると感じた時には、自律神経の交感神経を優位にして緊張を高めます。
交感神経が優位な時には、活動的に行動することができるからです。
交感神経が優位になると、脳内物質「ノルアドレナリン」の分泌が活発化します。
ノルアドレナリンの分泌が活発になると、不安や恐怖を感じる心理が生まれるとともに、動悸が激しくなったり、汗が出て手足が震えるなどの身体的な症状があらわれます。
こうしたメカニズムを持っているため、私たち人間は大なり小なり「人前に出ると緊張する」という心理を持っています。
つまり、緊張やあがり症といった症状は、人間の本能なのです。
ですから、緊張やあがり症を緩和や改善することはできますが、全く「緊張しない」状態にすることはできません。
しかし、緊張やあがり症は、防衛本能の発動レベルを上げて緊張せずに振る舞えるようになるトレーニングを積むことで、改善することができます。
先ほどご紹介した「緊張しない方法」は、防衛本能をできるだけ発動させずにうまく振る舞えるようにするためのものです。
ここであらためてお伝えした緊張のメカニズムを念頭に置いて、しっかり取り組んでみてください。
もしかして病気のせいかも
いくら緊張しない方法を試しても改善しない場合や、緊張やあがり症の症状が日常生活に支障をきたすような状態にある場合には、心の病気を抱えている可能性があります。
「社会不安障害(SAD)」という病気を抱えている場合には、どんなに自分で努力しても緊張状態が解消することは難しいかも知れません。
社会不安障害(SAD)の症状には色々ありますが、簡単にいうと「周囲からの評価に敏感で、人前に出ることを必要以上に心配して恐怖を感じ、日常生活に支障をきたす状態」になります。
この社会不安障害(SAD)と普通の「あがり症」との一番の違いは、日常生活に支障が出ているかということと、緊張という言葉で片づけられないほどの強い身体症状が出ているかどうかというところです。
また、緊張するかもしれないと思われる場面に遭遇するだけで、身体症状などがあらわれるのも「社会不安障害」の特徴です。
もし気になる人がいたら、こちらの無料サイトで診断してみてください。
実際に「社会不安障害」だと診断された場合には、どういった治療が行われるのでしょうか?
治療は主に、不安を抑えるための薬物療法と、不安が起こるメカニズムを自ら学んで不安を引き起こす誤った認知パターンを修正する認知療法の2つになります。
自分自身が「社会不安障害」なのでは? と思う人は、専門医を受診してみるとよいでしょう。
人前で緊張せずにいるには?
緊張やあがり症といった症状があらわれる原因やメカニズムを理解することができたでしょうか?
そこをきちんと理解することができれば、あとは「緊張しない方法」を実践して自分自身をトレーニングしていくだけです。
緊張しない方法を実践していく上で重要になる考え方や、トレーニングを積んで少し人前に出ることに慣れてきた時に役立つプラスアルファの実践法をお伝えします。
人前で緊張しないための5つの考え方
1.緊張するのは「当たり前のこと」だと考える
緊張のメカニズムの項でもお伝えしたように、人間が緊張するのは無意識的に働く防衛本能によるもので、誰もが持っている「当たり前のこと」なのです。
ですから、緊張するのは自分だけにとくに起こる症状ではなく、誰もがもつ「当たり前の出来事」なんだと自覚しましょう。
緊張は無意識のうちに表れる反応なので「緊張しない方が難しい」と割り切ることが大切です。
むしろ、適度な緊張には人前に出るパフォーマンスを引き上げる効果もあると言われています。
2.「ありのままの姿」を見せればいいと考える
人がより一層緊張を強めてしまうきっかけの多くが「周囲に対して良く見せよう」と考えてしまった時です。
緊張しやすい人というのは、周囲からの評価を必要以上に気にしてしまう傾向があります。
ですから、自分を良く見せようと思えば思うほど、不安になり、緊張を煽ってしまうのです。
周囲の人たちは、あなたが思っているほどあなたのことを気にしていません。
緊張して自分が失敗している姿を思い浮かべるのではなく、あなたらしいありのままの姿で人前に出ている姿をイメージするようにしましょう。
3.聴衆を「大勢」と捉えずに「個人の集合」に過ぎないと考える
人前に出た時に緊張する要因のひとつは、目の前にいる「大勢」の人の存在ではないでしょうか。
大勢の人がいると思うから、より不安になり緊張してしまいます。
あなたの話を聞いているのは、「大勢」ではなく「個人の集合」にすぎないのだと考えましょう。
人前に出て話すという行為そのものは、大勢に対しても個人に対しても変わりません。
大勢の人がいることで緊張してしまうのであれば、その中のひとりに対して話しかけているんだというイメージを持ちましょう。それだけで、きっと気持ちが楽になるはずです。
4.聴衆は自分の「味方」であると考える
大勢の人の前に立つと、必ず一度は「アウェー感」を感じます。
目の前の人の中に自分の味方はなく、自分の立っている場所が「アウェー」だと思うからより緊張してしまうのです。
そうした事態を避けるために、聴衆の中には自分の味方が必ずいるんだと考えるようにしましょう。
あなたの話をうなずきながら聞いている人を見ると、安心感が生まれて緊張が解けていきます。
本番の瞬間にそんな余裕は持てない・・・と思う人は、事前準備の方法にあった「サポーターを探す」とよいでしょう。
5.緊張を忘れるくらいに集中する
緊張しないようにする方法をここまでしっかり考えてきたのですから、あとは緊張している暇が無いくらいに集中してしまえばよいのです。
何といっても、緊張するということはそれだけ心に余裕があるということ。
そうした緊張を忘れるくらいに集中すれば、緊張から不安を増長させることなどありません。
適度な緊張感があることで、予想以上にパフォーマンスがでることもあります。
緊張しないようにするよりも、集中することに意識を持っていくようにしましょう。
人前で話すことに慣れてきたらチャレンジしよう!
人前に出ることに、ある程度慣れてきた人へ向けてのアドバイスです。
緊張を乗り越えて人前に出ることに慣れてきたら、ぜひチャレンジしてみてください。
話をわかりやすくしてみよう!
人前に出てもあまり緊張を感じなくなってきたら、話の内容をわかりやすくすることにチャレンジしてみましょう。
まずテーマをひとつに絞り、話の構成を考えていきます。
あなたが一番伝えたいことをテーマにして、「起承転結」を意識しながら話の内容をまとめていきます。
さらにわかりやすくするポイントとしては、話の中で「5W1H」を意識すること。
「5W1H」は、英語の「When・Where・What・Who・Why」と「How」のことで、この6つの要素を取り入れて話をまとめると、わかりやすくなります。
その中でも、とくに重要なのが「When」。
話の中に日時を入れていくと、話を聞く人はイメージがしやすくなります。
また、伝わりにくい内容に関しては、事前に資料を準備しておくとよいでしょう。
緊張して話の内容が飛んでしまっても、資料があれば安心です。
好感度を上げよう!
せっかく人前で自分の話を聞いてもらうのであれば、好感を持ってもらえた方が話が伝わります。
ですから、好感度を上げて話の印象もアップさせていきましょう。
まず、気をつけていかなくてはならないのが「表情」です。
緊張しない方法にもあったように、やはり「笑顔」は意識して人前に出るようにしましょう。
かといって、真面目な話の時に、あまりにもへらへらしていては説得力に欠けてしまいます。
ですから、話の内容に合った表情を作って話を進めていくとよいでしょう。
また、「ゆっくり話す」と緊張しないとお伝えしましたが、話の説得力をアップさせる効果もあります。
話をする時には「間」を意識して話すと、聞く人にも伝わりやすくなります。
ますます好感度を上げて、どんどん人前に出ていきましょう!
まとめ
このように、人前で緊張しないようになる方法や緊張のメカニズムなどについてお伝えしてきましたが、本当の意味で「人前に出ても緊張しないようになる」には時間がかかります。
しかし、「緊張」に対する考え方を切り替えていくことで、気持ちをリラックスさせることができるようになっていくでしょう。
色々な対処法をお伝えしていますが、やはり一番大切なのは「緊張して当たり前」だという気持ちで、しっかりと事前準備をすることです。
あなたらしさを忘れず、勇気を出して人前に出ていきましょう。