昔から、人付き合いが他の人と比べてとても苦手だったり、仕事がどれだけこなしてもうまくならなかったり、ケアレスミスが多かったり……こんなことはありませんでしたか?
もしかしたら、それは『発達障害』のせいかもしれません。
実は、発達障害について認知されるようになってきたのは最近のことであり、障害に気づかずに大人になっている人もいるのです。
近年、大人になって診断を受けて、初めて発達障害が見つかるケースが増えています。
今回は、発達障害かどうかを大まかに判断する質問を用意しました。
解説も添えていますので、一度チェックしてみてください。
発達障害の特徴
発達障害とは、脳機能の発達に関する先天的な障害のことを言います。
最近有名人の方々が、自身が発達障害であるというカミングアウトをされていることもあり、徐々にですが、広く知られるようになってきました。
発達障害は、大まかに3つのタイプがあります。
広汎性発達障害
自閉症とアスペルガー症候群が含まれ、対人関係や社会性に障害があり、興味・関心に偏りがあるなどの症状があります。
学習障害(LD)
知的発達の遅れはありませんが、『読む』、『書く』、『計算する』などの能力が極端に苦手、という症状があります。複数の能力が苦手という場合もあります。
注意欠陥多動性障害(ADHD)
集中力、注意力が散漫で、じっとしていることができず、衝動的に行動する症状があります。
どれか一つが当てはまる場合もありますし、複数のタイプが合併している場合もあります。
また、統計では100人に数人の割合で発症すると出ており、あまり知られてはいませんが、意外にも身近なものであることが分かります。
ただ、多くの場合は、知的な障害を伴わず症状が軽いため、目立たず発覚しにくいようです。さらに、社会に出て本格的に問題になる前は、他の能力で補えていたので、それほど問題にならなかったという背景もあるようです。
あなたがもし、何か不安に思うことがあったり、今までの人生で生きづらい心地がしていたのだとしたら、次の7つの質問に答えて、簡易診断してみてください。
発達障害の簡易診断
今から、発達障害を持つ方に見られる特徴を並べて質問していきます。あなたの普段の生活を思い出して答えてみてください。
以下に挙げる特徴が『いつも』当てはまっているかどうかを考えてください。
質問1:場の雰囲気や、空気を読むことが苦手ですか?
よくあるケースとして、場の空気が読めないというものがあります。
『変わっているね』と言われたこともあるかもしれません。
発達障害の場合、周囲の環境に関心を持ちづらく、他人に対して配慮できないことが多々あります。
また、空気は読めても周りをシーンとさせるようなことを言ってしまうなど、適切な対処ができないという場合もあります。
質問2:人付き合いが上手くいかない、ということはありませんか?
さまざまな理由が考えられますが、発達障害の人はコミュニケーション能力に難があるとされています。
こだわりが非常に強くて話が合わない、思ったことをすぐに口にしてしまう、冗談や遠回しな言い方が理解できないなどがそうです。
質問3:整理整頓ができない、いつも散らかっている、ということはありませんか?
発達障害の中でも、ADHDの症状が見られる方のほとんどに当てはまる特徴です。
用が済んだものに対して興味を失い、整理する必要を感じない、整理しようと思っても他のことに気が散ってしまいなかなか整理できないなどといった特徴です。
ただし、幼いころから親にしっかりしつけられた場合は、整理整頓が身についていることもあります。
質問4:段取りが悪い、雑務ができないことはありませんか?
脳の機能の一部に障害があり、優先順位をつけること、手順を考えて行動することができない症状もあります。この場合、仕事はできるが雑務はこなせないということになります。
段取りが悪いという点で身近な例だと、料理が全くダメというケースもあります。
レシピを見て、食材を丁寧に下ごしらえして、調味料を揃えて……というふうに、まさに段取りをたくさんやらなければならないため、とてもじゃないが料理はできない、ということになってしまいます。
質問5:計画的に行動することが苦手ですか?
発達障害の人はよく、衝動的に行動してしまいます。
思い付きで行動してしまう、お金や時間の管理を苦手とする症状です。衝動性が強いと言い換えることもできます。
何かモーターのようなものが働いているかのように、勢いで行動してしまうこともあります。
遅刻を頻繁にする、約束を守れない、貯金をしようにもすぐにお金を使ってしまうなど、実生活に大きな影響が出てきます。
質問6:感覚が敏感、または鈍感ではありませんか?
発達障害の特徴の一つに、特定の感覚が敏感だったり、逆にとても鈍かったりというものがあります。
鈍い場合を『感覚鈍麻』といいます。暑さや寒さを感じづらい、とても辛い料理を食べても全然辛く感じないといったケースがあります。実生活にあまり困らないことも多く、気づきにくいかもしれません。
敏感な場合を『感覚過敏』といいます。『感覚鈍麻』よりもこちらの方が問題になることが多いです。
五感別で例をあげると
- セーターの肌触りがだめ、化学繊維に強い抵抗を感じる(触覚)
- 食べ物の好き嫌いが激しい(味覚、嗅覚)
- 水たまりに反射した光が眩しい(視覚)
- 大声が苦手(聴覚)
など、他にもさまざまな症例があります。
程度の差はありますが、対策をしないと普通に生活することもままならなくなってしまうため、幼いときから悩まされるのが特徴です。
質問7:集中しすぎてしまう、のめり込みすぎてしまうことはありませんか?
発達障害の特徴の一つに『注意散漫、集中力がない』というものがありますが、好きなものやこだわりがあるものに対しては集中しすぎてしまう、という特徴もあります。『過集中』と呼ばれています。
集中力が続きすぎて、知らず知らずのうちに体を壊してしまうことや、眠りすぎてしまうなど、体に大きな負担をかけていることもあります。
しかし、この特徴はちゃんとした理解があれば、いろいろな仕事や経験に活かせるものです。実際、この集中力を発揮できる職場について活躍している人もいます。
簡易診断の結果について
7つの質問項目をあげてみましたが、今までの人生の中で、困ってきたことはありましたか?
質問を見たけど全然当てはまらない、ということでしたら、心配はいりませんが、逆に、ほとんど当てはまっているという場合、発達障害の可能性があります。
中には、今回のセルフチェックで、発達障害の可能性があることがわかり、戸惑われている方がいるかもしれませんが、どうか落ち着いてください。
自分への理解が深まったということは、一歩前進しているということです。
発達障害は治すことはできませんが、症状を緩和させることはできます。
場合によっては、さまざまなサポートを受けることもできます。
まずはゆっくりと、心を開いて、自分を見つめてみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回お伝えした発達障害は、世間に認知されていないだけで、実際多くの人が悩みを抱えています。
病院に行けば、症状に合った薬を処方してもらえることもあります。
少し他の人と違う個性を生かすために、仕事を斡旋してくれる機関もあります。
大事なことは、自分を大切にすることです。
自分がどういう特徴を持った人間なのか、自分という人間に対して理解が深まれば、より良い環境に変えていく努力もできます。
無理をせず、自分のペースで進んでいきましょう。