職場で行われる歓送迎会、同級会など、人前で食事をする機会は、社会人になると格段に増えます。
かしこまった場所で食事をする際には、マナーにも気を遣わなければならず、緊張しながらの食事も増えてきます。
実は、これらの人と会食をするとき、緊張の度を超えて、恐怖を感じてしまう人が存在するのです。
会食することに恐怖を感じる人が陥る病を「会食恐怖症」と呼んでいます。
会食恐怖症が発症すると、人と会食をすると気分が悪くなったり、人と会食することを異常に避けるようになり人付き合いができなくなるようになります。
この会食恐怖症、原因は見つかっているのでしょうか? 克服することはできるのでしょうか?
会食恐怖症の症状と原因
恐怖症とは、恐怖を抱いてしまう対象物に対するネガティブなイメージが原因で起こる、社会不安障害のひとつです。
会食恐怖症においては、食事をしているときに誰かに食事の仕方を注意されたり、マナーに自信がないため食事をするのが恥ずかしくなったりという経験から、会食することにネガティブなイメージを持ち、恐怖が芽生えてしまうようです。
そして、この会食恐怖症を発症するのは、男性より女性の方が2倍多いと言われています。やはり、女性の方が自分が食べる姿やマナーを気にする人が多いようです。
・食べるときの音が恥ずかしい
・人に見られているのが気になる
・食べ方が変だと思われているんじゃないか
気になり始めるときりがなくなってしまい、だんだん、会食を避けるようになってしまいます。
当然、このような様子では、コミュニケーションもうまくいかなくなってしまいます。
それでは、この会食恐怖症、いったいどのようにすれば克服することができるのでしょうか?
次からは、会食恐怖症の克服方法について具体的に見ていきます。
食事の音やマナーを気にしすぎない
会食恐怖症の人は、自分が食事をする音を異常に気にします。
その音で相手を不快にさせてしまうのではないか、相手に変だと思われているのではないかと過剰に心配になってしまいます。また、食事のマナーについても、自信のなさから不安を感じる人もいます。
しかし、食事をするときには、誰でも多少の音が出るものです。
また、マナーについても、基本的なことができてさえいれば、誰も気にしません。
音やマナーを気にしすぎると、不安や焦りから、かえって、音が出る原因になったり、マナーを忘れてしまうこともあります。
会食恐怖症を克服するためには、会食の席ではリラックスして楽しむことを考えるようにすることが第一なのです。
会食に関するネガティブなイメージを変える
会食恐怖症は、会食の際にいやな思いや恥ずかしい思いをしたネガティブなイメージから引き起こされている場合があります。
例えば、食事中にナイフやフォークを落として大きな音を出してしまい恥ずかしい思いをしたとか、マナーが間違っていて人から注意を受けたなどです。
そして、それと同じようなシーンになると、その時のネガティブな思い出がフラッシュバックして、辛い思いが蘇ってしまいます。
いやな思いをしたことで会食恐怖症になってしまった場合は、そのときと同じシーンにおいて、同じことを繰り返さなければ、克服することができます。
ナイフやフォークを落としてしまって恥ずかしい思いをしたなら、落とさないように注意を払いましょう。
マナーが間違っていて人に指摘をされ、いやな思いをしたなら、マナーを勉強して間違わないようにしましょう。
「自分は同じ間違いを二度としない」という自信をつけることで、会食の恐怖を克服できるのです。
会食の場を避けず、あえて積極的に参加する
会食恐怖症を持っている人は、自然と会食や人付き合いを避けてしまう傾向があります。
もっとも問題なのは、会食だけでなく、他人と一緒にいることに自信がなくなり、コミュニケーションを取りにくくなってしまうことです。
会食恐怖症の症状にある、自分の食事の音が異常に気になってしまったり、食べてる姿を人に見られていることやマナーに対する不安は、会食の雰囲気に慣れることで克服できることがあります。
実際の食事の場では、誰でもある程度音を立てますし、マナーも多少間違えるものです。
しかし、失敗しないように気を遣いすぎて他人が見えていないため、自分だけがおかしいように思えて、不安になってしまうのです。
苦手だからと言って会食の場を避けたり、ひとりで食事ばかりしていると、いつまでも会食の場に慣れることはできません。
会食の雰囲気に慣れることができれば、周りの様子を伺う余裕も出てきます。
周りの様子に気づくことができるようになれば、リラックスして食事を楽しむ余裕も出てきます。
慣れから余裕を作り出すことで、会食恐怖症も克服できるのです。
身近な人との会食でリラックスする
会食恐怖症は、苦手意識を持つ相手との会食の場で特に発症してしまいます。
目上の相手や、普段あまりコミュニケーションを取っていない相手との会食は、誰だって緊張するものです。
しかし、会食恐怖症を持つ人は、その緊張が桁違いに高まってしまい、緊張が不安に変換され、会食恐怖症を発症してしまうのです。
ひどいときは、緊張による激しい動悸や息切れ、気絶してしまう場合もあります。
まずは、家族や気の置けない友人たちとの会食で、会食は楽しいものだというイメージを持つように練習してみましょう。
マナーに間違いがあるようなら、そこで指摘してもらうことで、自分のマナーにも自信がつき、克服につながります。
まとめ
いかがでしたか?
今回は会食恐怖症の原因と、4つの克服法をお伝えしました。
会食恐怖症は、周りに理解されにくい恐怖症のひとつです。
会食を避け続けると
・協調性がない
・好き嫌いが激しい
・わがまま
などと思われてしまい、そんなつもりが全くない本人は、辛い思いをしてしまうことでしょう。
誰にでも苦手なことがありますが、その代わりに、必ず美点もあります。
恐怖症には、カウンセリングや薬物治療など、他にもいくつか克服法がありますが、周囲の理解と支えが、何よりも一番良い克服法です。