外出もままならず、家にいても会社にいても様々な気を使わなければならない今…
気づかないうちにストレスを抱えている人は少なくありません。
今までの暮らしを振り返ってみると、毎日の生活を当たり前に送れることに幸せを感じていた人も、否応なく生活リズムの変化を余儀なくされ、精神的に負担を感じているのではないでしょうか。
そんな今だからこそ、生活の中で大切なのが「幸福感」です。
ストレスを感じやすい環境にある今こそ「幸福感」を高めて、その幸福感に満たされた生活を送ることで、心身ともに安定した状態で暮らしていくことができます。
そこで今回は「幸福感に満たされるためにはどうすれば良いのか?」というテーマで、あなたがいつも幸福感に満たされるように、幸福感を高める方法などを様々な角度からお伝えしていきます。
また、幸福感のもととなる脳内ホルモンの働きや仕組みについても解説していきますので、ポイントを押さえて幸福感を高められるよう生活に取り入れていきましょう。
そうしたことを実践していくことで、常に幸福感に満たされる生活を送ることができます。
毎日の生活の中での様々な場面で、幸福感があなたの全てを向上させてくれますから、ぜひ参考にしてくださいね。
幸福感に満たされるために必要なこと
毎日の生活の中で誰もが気づかないうちにストレスを抱えてしまう危険性があります。
だからこそ、常に「幸福感」を意識した生活を送るように心がけることは大切なことなのです。
そこでまず最初に、いつも「幸福感に満たされる」ためにはどんなことが必要なのかについてお伝えしていきます。
幸福感を高める14の方法
いつも幸福感に満たされた生活を送るためには、あなた自身が幸福だと感じることを意識して高めることが必要です。
では、どうすれば幸福感を高めることができるのでしょうか?
幸福感を高める方法には、大きく分けて2つあると考えられています。
一つは、人より優れていることで幸福や物欲を感じる「相対評価」。
もう一つは、自分自身の体験や思考により満足することで幸福を感じる「絶対評価」です。
相対評価は、人と比べて得られる幸福感であるため一時的な幸福感であり、そうした幸福感はいずれ消えてしまいます。
しかし、自分自身の考え方や価値観、そして様々な体験に基づいて得られる幸福感は、文字通り「自分自身のもの」になるのです。
ここでは、絶対評価に基づいた幸福感を高める方法を主軸としてお伝えしていきます。
1.毎日の生活の中で感謝の気持ちを表す(靴に感謝、朝起きたら感謝)
一日の始まり…朝、目が覚めたら「今日も生きている。幸せなことだ。」と感謝しましょう。
朝きちんと目が覚めるということは、決して当たり前のことではありません。
気づかないうちに病気などを抱えていると、睡眠中に万一のことが起きないとも限りませんし、地震などの自然災害などが起こることだってあり得ます。
ですから、朝目が覚めることができたというのは、十分に幸せであり喜ぶべきことなのです。
また、あなたの一日を支えてくれた様々なものに対しても感謝の気持ちを持ってみましょう。
帰宅したら、通勤カバンやスーツ、靴など…あなたの日々を支えてくれた物たちを感謝をもって手入れするのです。
それらの手入れを心込めて行うことで、毎日の生活に対する感謝の念が沸くことでしょう。
そして、一日の終わりには「今日も無事に眠りにつける。幸せだった。」と思って眠ります。
感謝というのは、毎日の生活の質を高め、幸福感を底上げしていってくれます。
この思考が、幸福感を高めるための基礎になるということを知っておきましょう。
2.自ら意識して物事に取り組む
仕事においても、またプライベートにおいても、何か物事に取り組むときには「自分の意志」「自分の選択」であることを意識して取り組みましょう。
どんな時にも自らの意志で物事に取り組み、万一失敗したとしても自らの責任で物事を処理することによって、結果がどうなっても達成感を感じることができます。
達成感というものは、得られたときに自分の自信を強めてくれるものです。
仕事において大きなプロジェクトを完遂したとき、また勉強において難しい問題をクリアできたときなどは、その達成感も大きいでしょう。
「達成感」という言葉を聞くと、そうした大きな壁を越えた時に得られるものだと思っている人は少なくないのではないでしょうか。
しかし、そんな大きな物事にだけ達成感を得るチャンスがあるのではありません。
もっと小さな物事、そして身近な出来事でも十分達成感は得られます。
苦手な野菜が食べられたり、買い物を予算ぴったりに済ませられたり…そんな日々の些細なことにも意識して取り組むことで達成感は得られます。
このように、毎日の生活のどんな場面でも自ら「達成感」を意識して物事に取り組むことで幸福感が高まるのです。
3.日常の素晴らしさに気づく
毎日の生活の中では、本当に様々なことが起こります。
長い人生においてみれば、成功ばかりではありません。
トラブルもあるし失敗することもあるでしょう。
トラブルや失敗が続いていると、自分が不幸になったように感じるのではないでしょうか。
しかし、それは大きな間違いです。
成功も失敗も、どちらもあるから人生は豊かなのです。
周りと比べるなどして、自分を卑下したりしないでください。
毎日の、当たり前の生活に感謝していくことを心がければ、十分な満足を得ることができます。
自分を自分で追い詰めたりしないように、満足の基準はあまり高くしすぎないようにしましょう。
また、自分の毎日のスケジュールを見直し、今日しなくてもいい仕事は明日に回し、たとえ今日やるべき仕事が終わらなくても自分を責めないことも覚えておきましょう。
生活の中で自分自身が掲げている様々なハードルを少し下げ、自分に優しくすることで、改めて何気ない日常の素晴らしさに気づくことができるのではないでしょうか。
4.楽観的な思考を身に付ける
更に、毎日の生活を幸福感に満たされて生きていくためには、楽観的な思考を身に付けることが欠かせません。
人生は一度きりなのですから、自分の夢や理想をイメージしていくと充実感が増します。
いつも希望を持っていると、自然と楽観的な考え方も身につくのです。
あなたも、将来像を具体的にイメージして未来にフォーカスしてみましょう。
ですが、先ほどもお伝えしたように人生とは自分の思い通りにいかないことの連続です。
あなたが考える「ベストタイミング」を逃してしまうことだって当然あるのです。
人生には、どんな出来事も遅すぎることもなければ早すぎることはありません。
何事も「時にかなって美しい」という言葉があるように、あなたにとって「ちょうどいい」と思うなら、そのタイミングがベストタイミングであり、ちょうどいいのです。
そのくらい、気持ちを楽にして「楽観的な思考」で過ごしていければ、幸福感も高まっていくことでしょう。
5.幸福感を高めるコミュニケーションの取り方
人は一人では生きていくことができません。
大なり小なり、誰かとコミュニケーションを取りながら生活を送っています。
ですから、幸福感を高めることも周囲とのコミュニケーションの取り方ひとつで気持ちが変わってきます。
誰かとコミュニケーションを取るときには、自分の気持ちをきちんと伝える努力を怠らないことが大切です。
特に、日頃から親しく付き合っている人ほど、自分の気持ちはきちんと伝えるべきなのです。
親しい間柄であればあるほど、人は「相手は言わなくても気持ちを分かってくれている」と思い込んでしまいます。
ですが「いちいち言わなくても分かるだろう」と油断してしまうのです。
以心伝心にも限界がありますから、そこに頼りすぎず「相手と同じ考えでも、きちんと同じであることを伝える」ことを心がけておきましょう。
それをコミュニケーションの基本にしていけば、幸福感は高まっていきます。
6.人と価値観が違っても前向きに受け止める
幸福感を高めるコミュニケーションの取り方とともに、さらに知っておくと良いことは「価値観」についてです。
当然ではありますが、価値観というのは一人ひとり少しずつ違っているものです。
世の中には様々な人がいるのですから、自分と価値観が合う人もいれば合わない人もいるでしょう。
もちろん、価値観が同じ人とであれば一緒にいることも心地よく、楽しいひと時が過ごせます。
ですが、価値観が違うとそううまくはいきません。
自分と価値観が違うことで、相手に文句を言ってしまったり、むっとしたりしてしまうこともあるかも知れませんが、そこは考え方を変えましょう。
価値観が違う人と出会うということは、自分がまだ知らない「新しい世界」に触れるのと同じなのです。
相手への敬意と尊重をもっていれば、たとえ価値観が違っていたとしても受け入れてみてください。
価値観が違っても、それは素晴らしい出会いなのだと喜ぶことで、より幸福感を高めることができるのです。
7.一緒にいて楽しい・居心地が良いと感じる人たちと時間を過ごす
価値観の違いにかかわらず、どんな人の出会いも喜んで過ごすことは幸福感を高めます。
ですが、やはり自分と同じ価値観の人と過ごす時間は心地よく、楽しい気持ちになりますよね。
これから先の人生でも、あなたはまだまだ多くの人に出会うことでしょう。
そうした数々の出会いの中で、自分の存在をあるがままに受け入れてくれる人との出会いは特に大切にしてください。
あなたのことをあるがままで受け入れてくれる、価値観の合う人というのは、あなたの心をリラックスさせてくれるとともに、良いエネルギーも与えてくれます。
あなたが知らず知らずのうちに溜めてしまったストレスを解消してくれたり、ふさいだ気持ちを明るくしてくれるのではないでしょうか。
そんな、一緒にいて楽しいと感じたり、居心地が良いと感じる人たちと過ごす時間は、毎日の生活の中でも特に大切にしていきましょう。
8.人を喜ばせる趣味を持つ
周りの人たちとのかかわりの中で幸福感を高めるには「人を喜ばせる」ことを心がけると良いでしょう。
例えば…なにか、自分も相手も喜ばせるような趣味を持ってみてはいかがでしょうか。
趣味と言えば、読書や音楽鑑賞・スポーツなどあります。
誰かと一緒にそうした趣味を行っていっても、お互いに喜びを分かち合うことができるかもしれません。
ですが、敢えて「人を喜ばせる」ことに特化した趣味を見つけてみるのもおすすめです。
絵手紙などで大切な人に感謝の気持ちを伝えたり、フラワーアレンジメントなどを趣味にしてお花を贈るのも良いですね。
人を喜ばせる方法というのは無限にあります。
そうした趣味を持っていれば、相手が喜んでくれることで人間関係もスムーズになり、自分の気持ちも豊かになりますよ。
9.正直に生きる
誰にも嘘をつかず、正直に生きることも「幸福感を高める」ことにつながります。
しかし「嘘も方便」ということわざがあるように、いつも正直でいることだけが正しいことではありません。
嘘には「自覚の嘘」と「無自覚の嘘」という2種類があります。
どちらも嘘をつくという行為としては同じですが、意味合いが変わってくるのです。
自覚の嘘は、もちろん「自分が嘘をついている」という意識がある嘘のことです。
嘘の内容によっては、人を傷つけるだけでなく、自分自身にも精神的なダメージをこうむることがあります。
もちろん、嘘をつくことは好ましくない行為ですが、自覚があるので行いを改めることができます。
一方で、より怖いのが「無自覚の嘘」です。
無自覚の嘘は、自分が嘘をついていることに気づいていない嘘のことです。
事実とは違う話をしていたり、話を盛ってしまっていたり、保身のために話を作ってしまう…など、こうした行為に心当たりがある人は、無自覚の嘘をついている可能性があります。
このような「無自覚の嘘」は、人間関係などに悪影響を及ぼす可能性があるので注意が必要です。
決して気取らず、そして飾らず。
誰に対しても「正直に生きる」ということを心がけておきましょう。
10.イメージチェンジをしてみる
また、毎日の生活の何気ない行動からも「幸福感を高める」ために役立つ方法がいくつかあります。
その一つが「イメージチェンジ」です。
気分転換に新しい服を買ってみようと思ったら、少し思い切って、いつもだったら買わないような「自分らしくない服」を買ってみてください。
最初は違和感を感じるかもしれませんが、何度か来ているうちに慣れてくるでしょう。
そうすると、意外と「似合っている」と思えるかもしれません。
いつもの自分とは違う「新しい自分」に出会えたことで、きっと幸せな気持ちになれるのではないでしょうか。
11.日記をつける
「日記をつける」という行為は、過去の出来事を思い出したり振り返ったりすることに役立ちます。
過去の自分が書いた日記を読むと、一瞬でその時にタイムスリップすることができ、過去にあったポジティブな出来事を懐かしんだり、失敗を反省したりすることができるのです。
過去の出来事というのは、必ずしもポジティブな出来事ばかりではないでしょうが、自分が生きてきた軌跡をたどることで毎日の生活に改めて感謝することができます。
ですが、文章を書くことが苦手な人にとっては「日記をつける」ことが大変で、とても幸福感を感じることにつながらないかもしれません。
そんな人は「日付」をつけることから始めてみましょう。
仕事で作った資料や撮った写真などの隅に日付をつけることを習慣にしてみてください。
あとからその日付を見れば、きっとその日の様子が思い浮かぶのではないでしょうか。
つまり、日付をつけることが「日記」の代わりを果たしてくれるのです。
これなら、文章を書くことが苦手な人でもストレスを感じることなく日記をつけることができます。
ぜひ試してみてくださいね。
12.ハード・トゥ・ゲット・テクニック
ここからは、人が幸福感を感じる心理について、いくつかお伝えしておきましょう。
これらの心理効果を知っておくと、自分だけでなく周りの人たちの幸福感を高めることができます。
まず一つ目は「ハード・トゥ・ゲット・テクニック」という心理効果です。
これは、人には「承認欲求」というものがあり、それを高めてあげるように特別扱いすることを好む心理効果です。
例えば、お店から「あなた”だけ”にお得なお知らせがありますよ。」と連絡が来ると嬉しくなって足を運んでしまう…という状態です。
つまりこれは、周りから「あなたは運がいい」「あなたは特別ですよ」と言われることにより、脳が幸福感に包まれることで起こるのです。
周りから言われるだけでなく、自分で自分に言い聞かせても同じ効果が得られます。
だまされたと思って、まずは自分自身にやってみましょう。
13.ウインザー効果
また、人には「第三者の評価を信じやすい」という心理もあります。
この心理を「ウインザー効果」と呼びます。
これは、直接褒められるよりも間接的に褒められる方が「本音の言葉」だと分かるため、より一層相手を喜ばせることができるというものです。
例えば、直接「あなたは可愛い」と褒めるよりも、会話の中で「〇〇さんがあなたのことを可愛いと言っていたよ」という方が相手が喜ぶのです。
少し遠回りのコミュニケーションのように思えるかもしれませんが、ぜひ一度やってみてください。
14.利他行動(ヘルパーセラピーの原則)
最後に、幸福感を高める方法を身に付けるために最も大切な考え方をお伝えしましょう。
それは「利他行動」と呼ばれるものです。
利他行動とは、自分自身の損失を顧みず、純粋に他人のためになることをすることです。
全ての人がお互いに幸福感に満たされて生きていくためには、他人に対する「寛容さ」を持つことがとても大切です。
利他行動は、その寛容さを行動で示したものなのです。
利他行動が幸福感に繋がる理由として考えられるのは、人の心には「人を幸せにすることで自分も幸せを感じられる」という、幸せの好循環があるからです。
この好循環は「ヘルパーセラピーの原則」というソーシャルワークの考え方にも表れています。
この考え方は「他人を助ける人が最も助けられる」というもので、支援した相手が幸せに向かって歩み始めたときにワーカー自身も幸せを感じる…というものなのです。
このように、自分のことを顧みず他人のために行動する「利他行動」は、全ての人の幸福感につながる行動なのです。
以下に、毎日の生活の中でできる利他行動のポイントをお伝えしておきますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
- いつでも誰かを助けられるように、時間に余裕をもって行動してみる。
- 困っている人がいたら、思い切って援助の声をかけてみる。
- かかわりの少ない人でも、いつもより元気がないと感じたら、声をかけて様子を尋ねてみる。
- 「あの人が心配だな」と思ったら、遠くにいてもためらわずに連絡をしてみる。
- 一日に何か一つ、小さなことでも人のためになることをしてみる
幸福感を生み出しているもの
ここまでは、あなたが幸福感に満たされるために役立つ「幸福感を高める方法」についてお伝えしてきました。
お伝えしたことをぜひ活用して、何かと厳しいこの世の中…少しでも幸福感に満たされていてほしいと思います。
ですが、改めて「幸福感」と言われた時に、それがどこから生まれて何によって得られているのか、私たちはきちんと知っているのでしょうか?
毎日の生活の中で「幸福感に満たされたい」と思っていても、その正体については意外に知らないものです。
そこでここからは、あなたが「幸福感」と呼んでいるものの正体について詳しく解説していきたいと思います。
「幸福感」が何なのかをきちんと理解しておけば、その幸福感に満たされるのはきっと容易いことでしょう。
しっかり解説していきますので、ぜひ参考にしてくださいね。
幸福感を出す「脳内ホルモン」
毎日の生活の中での様々な体験や思考により、あなたが感じている「幸福感」。
その幸福感を決定しているのは「脳」です。
幸福感を生み出しているのは、俗に「幸せホルモン」と呼ばれているエンドルフィン・セロトニン・オキシトシン・ドーパミンといった脳内ホルモンで、その分泌量の違いで幸福感の感じ方は変わるのです。
では具体的に、それぞれの脳内ホルモンはどのような働きをしているのでしょうか?
詳しく解説していきます。
1.エンドルフィン
エンドルフィンは、脳内でつくられている神経伝達物質であり、モルヒネと似たような作用を持っています。
幸福感を感じる作用とモルヒネの6.5倍の珍通行があると言われており、ランナーズハイといった極限状態でも分泌されているホルモンです。
気分の高揚や幸福感を生み出すとともに、苦痛に耐える鎮痛作用やストレスの軽減、免疫力や回復力の向上、集中力の向上を促します。
エンドルフィンは、特に運動をしたときや痛み・ストレスを感じているときに分泌が促されるホルモンです。
2.セロトニン
セロトニンも、エンドルフィンなどと同じように幸福感や安心感などを助けてくれる脳内ホルモンです。
その他にも、自律神経を整え、ストレスを軽減させる働きがあると言われています。
自律神経に作用するため、生体リズムや神経内分泌、睡眠や体温調整にも大きく関わっているホルモンです。
セロトニンが増えると、安心感が増すため精神が安定しリラックスできます。
また、自律神経が整いやすくなるため体調も良くなると言われています。
セロトニンの分泌を促すには、まず第一に朝日をしっかり浴びると良いと言われています。
そして、癒しの体感や良い睡眠からも分泌が促されます。
他の脳内ホルモンが興奮系の神経伝達物質であるのに対し、セロトニンはリラックス系の神経伝達物質なのです。
3.オキシトシン
オキシトシンは、脳下垂体から分泌されている脳内ホルモンで、一般的に「愛情ホルモン」「思いやりホルモン」とも呼ばれています。
女性の出産時には、子宮を収縮させるとともに授乳を促すホルモンとして知られていました。
しかし現在は研究が進み、男性や高齢者でもこのホルモンが分泌されていることが分かっています。
オキシトシンには、幸福感を生み出すだけでなく、他者に対しての愛情や信頼感などが増し、社交的になるなどの働きがあります。
また、好奇心や学習意欲の向上、心肺機能や免疫力の向上など…心身どちらにも良い作用がたくさんあることも分かっています。
そんなオキシトシンは、肌の触れ合いやマッサージ、ハグなどの直接的触れ合いによって分泌が促されます。
これは、人間だけでなく犬などとのペットとの触れ合いでも分泌されると言われていますから、ぜひ毎日の生活にスキンシップを取り入れてみましょう。
4.ドーパミン
ドーパミンは、脳の側坐核から分泌される神経伝達物質で、人間が行動を起こすための意欲や快楽に関係している脳内ホルモンだと言われています。
人間が何らかの行動を起こすには「苦痛を避けるか」または「快楽を得るか」という2つの選択肢があります。
後者を選択すると分泌されるのがドーパミンだと考えられえています。
そのため、ドーパミンには幸福感を感じるだけでなく、ワクワクしたり行動をしたくなるような気持になる作用があります。
ワクワクして小さな目標を達成して褒めることを繰り返すことで、ドーパミンの分泌は促されていきます。
自分で自分を褒めることが上手な人ほど、ドーパミンの分泌が促されてやる気と幸福感が増していくのです。
幸福感を高める3つの科学的アプローチ
あなたが感じている幸福感を決定づけているのは、主に4種類の脳内ホルモンであることはご理解いただけたでしょうか。
では、その脳内ホルモンの分泌を意識しながら、さらに幸福感に満たされるためにはどのようなアプローチを心がけていけば良いでしょうか。
幸福感をますます高めていく科学的なアプローチを3つの視点からお伝えしていきます。
生理学的アプローチ
まず一つは、先ほどの項目でもお伝えした「脳内ホルモン」の分泌を活用した「生理学的アプローチ」です。
それぞれの脳内ホルモンの特徴を理解し、その分泌を促す習慣を取り入れることで更に幸福感を高めていきましょう。
1.エンドルフィン
エンドルフィンは、痛みやストレスを感じているときにそれを軽減する目的で分泌が促進されるホルモンです。
他にも、良い睡眠がとれた時や運動をした時、おいしいものを食べたときなど…本能的欲求が満足している時にも分泌が促されることが分かっています。
ですから、毎日の生活の中で意識的に美味しいものを食べたり、睡眠の質を上げて良質な睡眠を取るように努めていきましょう。
2.セロトニン
セロトニンは、幸福感を高める脳内ホルモンの中でも代表的なものです。
自律神経との関係も深く、リラックス系の神経伝達物質であることが分かっていますから、癒しの体感や心地よい触れ合いなどを意識的に行うようにしましょう。
またセロトニンは、朝日を浴びることで分泌がより促進されることも分かっています。
ですから、朝起きたらまずカーテンを開けて朝日をしっかり浴びることを心がけてみてください。
リズミカルな運動もセロトニンの分泌を促しますから、朝日を浴びた後にはストレッチなどの軽いリズム運動を行うと更に良いでしょう。
3.オキシトシン
オキシトシンは、心の安定や直接的な身体の触れ合いなどによって分泌が促進されます。
オキシトシン研究の第一人者と呼ばれるモベリ教授は「オキシトシンを中心とする生体内システムを『安らぎと結びつき』システムと呼んでいる。」と言っており、心身の健康に大切な役割を持っているホルモンなのです。
ですから、家族や友人・恋人とのスキンシップを日々大切にしたり、可愛いペットと戯れる時間を持つ…など、周りへの感謝や思いやりをいつも心に留めておくようにしましょう。
そうすることで、オキシトシンの分泌もより促進されていきます。
4.ドーパミン
ドーパミンは、やる気や快楽などの興奮を司る脳内ホルモンです。
特に精神的な報酬によりその分泌が促されることが分かっているので、いつも自分で自分を褒めてあげる習慣を身に付けておきましょう。
また、分かりやすく達成しやすい目標を設定しておくのも良い方法です。
小さな達成感を繰り返し体験していくことで、ドーパミンの分泌はスムーズに促進されていくのです。
このように、それぞれの脳内ホルモンの分泌促進に合わせた毎日の習慣を身に付けていくことで、生理学的に効率よく幸福感を高めるアプローチができます。
ぜひ試してみてくださいね。
心理学的アプローチ
次に有効なアプローチであると考えられているのが「心理学的アプローチ」…中でも特に「ポジティブ心理学的」なアプローチに幸福感を高めるカギがあると考えられています。
人が感じる幸福感や心の豊かさは「コントロール感」によって左右されるという考え方があります。
幸福というのは、生活の中である程度決められたルーティンを自発的に行っているという実感が伴って生まれるものだというのです。
例えば…朝活などの「早起き」にある程度の人気があるのは、自分自身をコントロールできているというコントロール感があり、それに加えてその行動を自発的に行っているという実感が持てる活動だからです。
早起きが苦手な人は、特に朝活や早起きにこだわる必要はありません。
大切なのは、ルーティンを自分自身で決めて実行し続けている実感が持てるということです。
ぜひあなたも、実行そして継続が可能なルーティンを自分で決めて取り組んでみましょう。
作業科学的アプローチ
脳内ホルモンの分泌促進にもつながりますが、あなた自身が「心地よい」「安心できる」と思う場所で過ごすことで幸福感が高まると言われています。
アメリカのアラバマ大学バーミンガム校の作業療法学科の研究者によると、たった20分ほど「都市公園」で過ごすことで幸福感が改善したという研究結果が分かっています。
都市公園というのは、一般的に休憩所や売店、トイレなどが完備されており、運動や遊び、レクレーションなどの様々な活動が可能な場所です。
何より緑に囲まれ心地よく、便利で安心できる場所に自分の身を置くことは、あなたにとってもプラスの影響を与えてくれます。
先ほどお伝えした毎日のルーティンの中に合わせて、こうした作業科学的アプローチも取り入れていきましょう。
なぜ「幸福感」が必要なのか?
ここまでの内容をみても分かるように、毎日の生活の中に「幸福感」を意識することがとても大切だということは理解できたのではないでしょうか。
ではなぜ、人々の人生の中でそれほどまでに「幸福感」が必要だと考えられているのでしょうか?
そこで最後に、私たちにとっての「幸福感」の重要性と、幸福感に満たされ続けるにはどうすればいいのかをお伝えしていきます。
幸福感が重要である理由
近年、多くの研究機関が幸福感の持つ様々な働きや効果に注目し、その研究を進めています。
イギリスのブリストル大学で経済学を教えるユージニオ・プロト氏は、科学雑誌の学術編集者でもあり、日頃から数多くの研究に触れています。
その同氏は「幸福感は努力を促し、質に影響を及ぼすことなく生産量を拡大し、生産性が向上するようである。」と述べています。
幸福感を高めて、いつも幸福感に満たされることで物事の生産性も向上するというのです。
そのため、業績を上げるべく社員の幸福度を調査し向上させようと検討している企業もあるようです。
また同氏は、次のようにも述べています。
「一時的な幸福感の上昇や根底にある幸福感の長期的な変化は生産性向上と関連している。」
つまり、楽しいイベントなどで幸福感を一時的に上昇させることも生産性向上には効果があるし、内面の幸福感に対する思いを根底から変えていくことで更なる生産性向上が期待できるということなのです。
そうしたことが分かってきた今、幸せホルモンの分泌を促すようなイベントを取り入れたり、脳内ホルモンについて学ぶ脳神経学を社員教育や人材育成に応用する取り組みを行う企業が増えています。
このように「幸福感」というものは、ただ単に幸せな気持ちを与えてくれるだけではなく、生産性や日々のパフォーマンスに大きく影響を与えるため、様々な側面で重要であると考えられているのです。
人が幸福感に満たされ続けるために必要なこと
では、実際に人が永続的に幸福感に満たされ続けるためには、どのような行動や考え方が必要になってくるのでしょうか?
ここまで本当に、たくさんの方法や考え方をお伝えしてきましたが、中でも一番注目すべきは「幸福感の循環」です。
「利他行動」の項目でお話ししたように、利他行動から幸福感を見出すには「人を幸せにすることで自分も幸せを感じる」という「幸せの好循環」を意識しておく必要があります。
しかし、自分自身が忙しく心の余裕がない時には、なかなか他人に対して優しい気持ちを持つことはできないでしょう。
つまり「利他行動」から「幸福感を循環」させたいと思うなら、時間と心に余裕がないといけないのです。
自分に余裕のない時には、無理をしない…そんな「余裕」を持っておくことが、幸福感に満たされ続けるためには必要なのではないでしょうか。
また、脳内ホルモンの解説をした際に「小さな達成感」の繰り返しが脳内ホルモンの分泌を促すこともお伝えしました。
人が幸福感に満たされ続けるには、幸せホルモンと呼ばれる脳内ホルモンの分泌が促進されていればよいのですから、それを意識した生活を送るように心がけてみてください。
仕事もプライベートも、無理のない範囲で「小さな達成感」を積み重ねていけば、人はいつも幸福感に満たされ続けていることができるのです。
まとめ
様々な環境の変化により、以前にもまして幸福感に満たされて生きることが本当に大切なことだと言われています。
幸福感は人の心を安定させ、日常生活の質を多角的に向上させてくれるものだからです。
特に今の社会は、思いがけない状況の変化の連続で、心身にストレスを抱えている人も少なくありません。
いつもだったらイライラしないようなことでも、気持ちに余裕がないと些細なことでついイライラしてしまうものです。
そんなときは、少し周りに目を向けてみませんか?
自分よりも困っている人の存在に気づくことができる大きなチャンスがあるのかもしれません。
小さな幸せを感じるチャンスも転がっているかもしれません。
このように、毎日の生活の中に少しだけ「余裕」を作ってあげることで、手に入れられる「幸福感」があります。
また、人それぞれ価値観が違うので、幸せの感じ方も人それぞれでしょう。
この機会に、ぜひあなたに合った幸福感に満たされて暮らす方法を見つけてみてください。
自分に合った方法を継続的に続けて「幸福感」を感じることが何より大切なことなのです。
そのことをしっかりと胸に刻み、幸福感に満たされ続けて生きていきましょう。