ヤングケアラーとは?現状の問題点と支援の形

ヤングケアラー 問題

この記事を読むとわかること
  • ヤングケアラーの現状と問題
  • ヤングケアラーへの様々な支援
  • ヤングケアラーが望む支援の形

最近、社会問題としてヤングケアラーの問題が注目されています。

子どもであるにも関わらず介護の負担を担うヤングケアラー、その問題点を探り、どんな対策や支援が必要なのか、まずは理解するところから始めましょう。

ヤングケアラーとは?

ヤングケアラーとは、障がいや病気を持つ日常的にケアを必要とする家族がおり、自身が主介護者として実際に家族の世話や家事を担う18歳未満の子どもを指す言葉です。

20〜30代までの若者をまとめて「若者ケアラー」と呼ぶこともあります。

ヤングケアラーと呼ばれている子どもたちは、以下のケアを自身が主体で行います。

  • 障がいや病気を持つ家族の日常的なケアを行う(入浴、食事など)
  • 家族の代わりに幼い弟妹の世話をする
  • 家族の代わりに対外的な対応をする
  • 家計を支えるために労働をする

本来であれば上記のことは大人が行うものですが、家族のフォローをできる大人がいない場合、その責任を子どもが担わざるを得なくなります。

子どもがケアを行うことが問題なのではなく、子どもとして守られるべき権利(勉強したり遊んだりして、自身の生まれもった能力を伸ばしながら成長することなど)が侵害されることが問題の根幹です。

中高生や大学生と青春真っ只中の時期を、家族の介護のために全て費やしてしまってはいけません。

ヤングケアラーの現状

2012年に総務省が行った調査では、家族の介護を担う15~29歳の人数が約17万人に上り、ここ数年では更に増加傾向にあると言われています。

ですが、自分自身をヤングケアラーだと自覚している人は、そのうちの約2%ほど。

ほとんどの人は、自分がヤングケアラーかどうかわからない状態のまま、介護という重責を担っています。

そのなかでも、小学生や中高生といった児童・生徒の立場でヤングケアラーとなっている子どもたちは、あまりの忙しさから本来すべき学業に悪影響が出てしまっています。

家族のケアを優先した結果、遅刻や宿題忘れが増えたり、部活動に参加できなかったり、友達と遊ぶ時間が取れないなど、子どもであれば与えられている当然の権利が行使できない状態に陥っています。

また、ヤングケアラーの子どもたちは家族のケアの優先度を高くして物事を考える傾向が強くなるため、将来の進路選択に関しても自分を犠牲にしてしまう場合が多々あります。

長く家族を介護していたり、家族の代わりに家計を担っていたりすると、自分自身の人生をどう歩んでいけば良いかわからなくなってしまう、そうした現状がヤングケアラーの上に重くのしかかっています。

ヤングケアラーが抱える問題

人生で一番華やかな青春時代をヤングケアラーとして過ごしていく子どもたち。

そんな立場に置かれているヤングケアラーは、主に以下の問題を抱えています。

  • キャリア形成に悪影響がある
  • コミュニケーション能力が欠如する
  • 社会的に孤立しやすい
  • ジレンマを抱える
  • ダブルケアのリスクがある

これらの問題について詳しく解説していきます。

キャリア形成に悪影響が出る

成長期の子どもたちには、将来に向けた様々な勉強や経験が必要です。

学校で得られる知識はもちろん、友達との交流や部活動での経験など、大人になってからでは絶対に得られない経験ばかりです。

しかし、ヤングケアラーになると、目の前にある日常的な介護や世話に時間を奪われてしまいます。

そうなると、学業に遅れが出るだけでなく、進学や就職といった将来の進路選択にも悪影響が出てきます。

ヤングケアラーとして生きることも人生の中で得難い経験のひとつではありますが、それは本人が望んで求めた経験ではないはずです。

ヤングケアラーとして家族のために時間を費やしてきた結果、将来の希望が叶えられない事例は多く、キャリア形成への悪影響は大きな問題です。

コミュニケーション能力の欠如

ヤングケアラーの子どもたちの多くは、放課後に友達と遊ぶといった経験ができません。

家族の介護や世話のために中高生になっても部活動に参加することができない子どもたちも多くいます。

そうした背景から、他人とコミュニケーションを取るための能力を養う機会が他の子どもたちに比べて極端に少ない、という問題があります。

そのため、ヤングケアラーの子どもたちは対人コミュニケーションを苦手としたまま大人になることが多いです。

社会的孤立

家族の介護や世話、家事などを担うヤングケアラーの子どもたちは、友達と交流する機会が少なく、部活動などにも参加できません。

そのため、ヤングケアラーの子どもたちは、周りの人たちとの人間関係が希薄になりやすく、社会的孤立を招きやすいと言われています。

周りに同じような人がいない(いるかどうかわからない)ので、悩みがあっても誰にも相談できません。

結果、どうして良いかわからず、孤独感が強くなり、1人で抱え込むようになります。

ジレンマを抱えている

周りの友達は当たり前に遊びに出かけたり、好きなことができるのに、なぜ自分にはそれが許されないのか?

そんな思いは、ヤングケアラーの子どもたちの心に大きな影を落とします。

家族の介護や世話のために、自分のやりたいことができない状況は、精神的に不安定な状態を招きやすく、その後の人生にも大きな影響を残します。

ダブルケアのリスクがある

1人の子どもの肩に、1人の要介護者のケアがのしかかっている状態でも大変なことですが、さらにもうひとり介護する、ダブルケアという深刻な状態に陥るケースがあります。

例えば、障がいを持つ兄弟の世話を手伝っている中で、両親のどちらかが病気になってしまう状態です。

ヤングケアラーの問題は、貧困や核家族化の問題ともつながっています。

ヤングケアラーの子どもたちは、自由を奪われるだけでなく、お金の問題にも直面することになります。

ダブルケアともなると、当然、時間とお金がより必要です。

ヤングケアラーの子どもたちは負担増により、学校を辞めざるをえなくなるケースも出てきます。

ヤングケアラーへの支援

私たちは、こうしたヤングケアラーが抱える数々の問題をどのように支援し、解決に導いていけば良いのでしょうか?

海外での支援事例と日本国内での支援の状況は次のとおりです。

海外の支援事例

ヤングケアラーという言葉は、イギリスが発祥の言葉です。

イギリスでは、アルコール依存症患者や自閉症などの問題を抱えた労働者階級の多いことが社会問題となっていました。

そのため、1980年代後半にはこの問題に取り組み、国としてこの問題を深刻に捉え、解決策を模索しています。

1995年には家族介護者支援ためのケアラー法が制定、2014年には法改正によりヤングケアラーへの支援策も盛り込まれました。

イギリスでは、教育や就労支援、財政面での支援が公的に行われている他、ヤングケアラーの子どもたちが交流する場が設けられ、情報交換を行うプログラムが実施されています。

学校や社会全体でヤングケアラーの支援に取り組んでいる状況を作ることで、ヤングケアラー自身が誇りを持って家族のケアに取り組むことができるように支援しています。

日本の支援(相談窓口など)

日本では、2010年に介護者の精神的な負担を軽くすることを目標にした日本ケアラー連盟が創設されています。

この連盟の調査では、学校の教員が子どもの介護負担について気づいた理由は、圧倒的に本人の話からであることがわかりました。

ただ、自分がそうであると話せる子どもは少なく、ほとんどが自身の状態に気づいていません。

自分でも気づかないままヤングケアラーとなっている子どもは、学校にも気づかれない、というのが現状なのです。

日本国内でのヤングケアラー支援はまだまだ進んでいないのが実情です。

あなた自身、もしくは、周りの子どもで、次のことが当てはまる人はいませんか?

  • 自分がヤングケアラーかもしれない
  • 友達が家族の世話で遊べないと言った
  • 隣の子どもが家族の世話や家事を理由に学校へ行ってない

もし当てはまるようなら、厚生労働省のホームページに記載のある相談窓口を活用してみてください。

ヤングケアラーにとって望ましい支援の形

ヤングケアラー当人にとっての「望ましい支援」とは何でしょうか?

ヤングケアラーの当の本人は、そもそも自分がヤングケアラーだと気づいていないことが多く、気づいていたとしても家族の世話をすることがあくまでお手伝いの延長であり、特別な苦労であると自覚していないケースも多いです。

実際のところ、私自身がヤングケアラーであり、そのことに大人になってから気づいた人間の1人です。

実弟が重度の障がいを抱えており、幼少期から弟の世話を手伝うのが当たり前でした。

小学校に上がっても、毎日弟を連れて登下校していましたし、放課後は友達と遊ばずに弟の面倒を見ていました。

年の離れた妹が生まれてからは、妹の世話も引き受けていました。

自分が中学校に上がっても、弟を小学校へ送ってから登校し、部活動にも入らず、小学校へ弟を迎えに行っていたことを覚えています。

そうした学生時代を特別嫌だとは思っていませんでしたが、いつも私に頼る母との関係は徐々に悪化しました。

最近になり、たまたま見ていたTVでヤングケアラーという言葉を知り、これは昔の私だと気がついたのです。

こんな自身の経験も踏まえて、ヤングケアラーにとって望ましい支援とは何なのか考えたとき、一番必要なのは「情報」と「相談できる場所づくり」だと思います。

まずはヤングケアラーという言葉と実情を世の中にもっと広めることが必要です。

ヤングケアラーとして家族のために負担を背負う子どもたちが、自身の置かれた立場に気づき、その状況に疑問を持たなくては支援が始められません。

その後に、疑問を持った時に遠慮なく相談できる場所があることが大切です。

イギリスのようにしっかり法整備をして具体的な支援をすることはもちろん大切なことですが、優先的に進めるべきはヤングケアラーの子どもたちが周りに悩みや疑問を相談できる環境の整備です。

大人側から一方的に押し付けられた支援ではなく、当事者であるヤングケアラーの子どもたちが望む形での支援が進んでいくことを願ってやみません。

ヤングケアラーとは?現状の問題点と支援の形 まとめ

ヤングケアラーとは、障がいや病気を持つ日常的にケアを必要とする家族がおり、自身が主介護者として実際に家族の世話や家事を担う18歳未満の子どもを指す言葉です。

本来であれば大人が行うことであっても、フォローできる大人がいないと、その責任はすべて子どもが担うことになります。

2012年に総務省が行った調査では、家族の介護を担う15〜29歳の人数は約17万人にも上り、ここ数年でさらに増加傾向にあるそうです。

ただ、自身をヤングケアラーだと自覚している人は、そのうちの約2%ほど。

自身がヤングケアラーだと気づかないまま、家族のために介護や家事を行っています。

この状態が続けば、将来の進路選択など先々の人生に悪影響を及ぼす可能性があります。

このヤングケアラーに対しての支援は、日本と海外で大きな差が生じています。

ヤングケアラーという言葉の発祥の地であるイギリスでは、1980年代後半からこの問題に国全体で取り組んでいます。

学校や社会全体でヤングケアラーの支援に取り組むイギリスと違い、現状、日本はまだまだ支援体制が不十分です。

今の日本に一番必要なのは「情報」と「相談できる場所づくり」と私は思います。

ヤングケアラーという言葉、その実情を世の中にもっと広めていくとともに、当事者である子どもたちが遠慮なく相談できる場所を作ることが今の日本の課題ではないでしょうか。

大人側から一方的に押し付けられた支援ではなく、当事者であるヤングケアラーの子どもたちが望む形での支援が進んでいくことを切に願います。

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