あなたは、毎日の生活の中で「人が怖い」と感じたことがありますか?
「人が怖い」という感覚は、誰もが理解できる感覚ではありません。
そのため、周囲の人々になかなか自分のことを理解してもらうことができずに孤独感を抱えてしまいます。
ですが、この「人が怖い」という感覚はできるだけ早く克服しておかないといけません。
なぜなら、あなた自身が自分の人生のパートナーを探そうと出会いを求めた時に、人と上手く関わることができなくなってしまうからです。
多くの人が、いわゆる「結婚適齢期」という年齢に差し掛かると「結婚」を意識してパートナーを求めます。
「親をそろそろ安心させたいから」
「周囲の友達もみんな結婚していっているから」
そんな理由から「自分もそろそろ結婚をしよう」なんて考えてしまう人は少なくありません。
しかし、この「人が怖い」という感覚が払拭できないと、なかなか新しい出会いに一歩踏み出せないものです。
そこでここでは「人が怖い」という心理から対人恐怖症に陥ってしまっている場合の克服方法についてお伝えしていきます。
そのメカニズムから人が怖い心理や原因を知って理解することができれば、おのずと人が怖い心理の克服方法も見えてくるでしょう。
克服することができれば、きっとあなたも新しい一歩に踏み出せるはずです。
さあ、勇気を出してここから一歩踏み出してみてください。
人が怖い心理と原因
誰もが生まれた時から「人が怖い」という心理を抱えている訳ではありません。
今のあなたがそのような心理を抱えてしまっているのであれば、必ずそうなってしまった原因があるはずなのです。
その原因がすぐに思いつかない場合、いわゆる潜在意識の部分に「人が怖い」と感じるようになってしまった原因が隠されている場合があります。
例えば、過去に受けた心の傷や育った環境が原因であれば、そうなってしまった原因をしっかりと理解することが克服への第一歩となっていきます。
人が怖い心理
心理学の世界には「投影」という考え方があります。
投影とは、自分の欠点などを認めたくない時に他の人へその欠点などを押し付けてしまう心の働きのことです。
例えば、何となく嫌いだった人をよく観察してみると、実は自分の欠点を体現した人だった…などという経験は「投影」によるものです。
この「投影」に何らかの歪みが加わった時に、人は「人が怖い」という心理を抱えてしまうことがあります。
その歪みとは、自分に対する「否定」です。
何らかの形で、他者から自分のあり方や存在を「否定」されてしまった時に、人は自分で自分の存在を否定してしまうようになります。
これは「認知の歪み」と言って、セルフイメージが常にネガティブになってしまう原因だと考えられています。
つまり、「人が怖い」心理というのは、この「投影」により、いつも自分が誰かから否定されていると感じてしまうことから始まるのです。
いつも自分が誰かから否定されているように感じてしまうため、いつしか人と関わることが「怖い」と感じてしまうのですね。
人が怖いと感じる原因
このように、過去に何らかの否定を受けてきてしまった人はセルフイメージが常にネガティブで否定的になってしまっています。
そのため、自分が何をしても相手から否定されてしまうのではないかと考え、人と関わることが「怖い」と思うようになってしまいます。
では、そうした心理に至ってしまった原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
生まれ育った環境が原因
あなたの人生において一番最初に出会う人間…それは「親」です。
幼少期のあなたにとって一番身近な人間は親であり、親はあなたの周囲の全てと言っても過言ではありません。
その親が、あなたに対して身体的または心理的に健全でない養育をしていたら、あなたはどうなってしまうでしょうか?
「人間」というものが恐怖の対象であると認識してしまったまま成長することも十分考えられます。
ですから、幼少期に親から不信感や恐怖感を刷り込まれて成長してしまった場合には、大人になっても「人が怖い」という心理を払拭できないのです。
過去のトラウマが原因
先程述べたような親から受けた不信感や恐怖感もある意味では「トラウマ」だと言えますが、他にも過去に何らかのトラウマを受けてしまった場合に「人が怖い」と感じるようになると言われています。
トラウマは、幼少期に限ったものでなく、学生や大人になって受けた心の傷も十分「トラウマ」になりえます。
例えば、学生時代にいじめに遭っていたり、親から抑圧されて育てられていたり、大人になって会社でパワハラやモラハラを受けたり、過去に恋人からDVを受ける…などです。
自分の人格や存在を否定されるような言動・行動を激しく受けてしまった時に、そうしたことが原因で「人が怖い」と感じるようになってしまいます。
こうした過去のトラウマが原因だった場合には、このトラウマが払拭されないと「人が怖い」という心理を克服することはできないと考えられています。
本当の自分を見せられない不安が原因
上記の2つが大きく影響することで、人はその経験から「もしかしたら次もこうなるのでは? 」という不安を感じます。
本当は仲良くなりたいけど、過去にいじめられた経験から「もしかしたら陰で笑われているのかも…」と不安になり、本当の自分を出せなくなってしまうこともあるでしょう。
また、親から虐待を受けて育った人は「失敗すると怒られる」と思い込んでしまって、常に人の顔色を伺い、ビクビクしてしまうこともあります。
こうした人は、これまでの人生の中でいつも「否定」されて生きてきたので、本当の自分を他人に見せると、同じように「否定」されるのではないかという不安を持っています。
その不安から、いつしか「人と関わるのが怖い」と思うようになってしまうのです。
人とコミュニケーションが取れなくなるメカニズム
「人が怖い」という心理と原因には、これまで自分が培ってきた人格や存在を「否定」されてきたことが大きく影響していることがわかりました。
では、そんなありのままの「本当の自分」が否定されてしまうと、どのようなメカニズムで人とコミュニケーションが取れなくなっていってしまうのでしょうか?
例えば、あなたが自分の親に「ありのままの自分」を否定される経験をしたと仮定しましょう。
するとあなたは、そのことが心の傷、いわゆる「トラウマ」となってしまい、どんな人の前でもありのままの自分を出すことが怖くなってしまいます。
なぜなら、あなたの心は親に傷つけられた経験から「ありのままの自分を出すと否定される」という学習をしてしまっているからです。
そのため、それから先の人生で関わる人々に対しても、同じように「ありのままの自分を出すと否定される」と推測するようになります。
そうすると、あなたは「ありのままの自分=本音を出すと否定される」と思っているので、無意識のうちに誰に対しても本音を隠すようになります。
このメカニズムにより、いつしかあなたは人と上手くコミュニケーションが取れなくなってしまい、人と関わることそのものを「怖い」と感じるようになってしまうのです。
人というのは、本音を隠したまま親しくなることができません。
しかし、このメカニズムを持っている人は本音を隠して話そうとするため、必要以上に言葉を選んで会話をしようとします。
そうなると、上辺だけのそっけない感じが相手にも伝わってしまい、上手にコミュニケーションが取れなくなるのです。
人が怖い心理に関連する病気
「人が怖い」という心理は、「否定される」といった心理的な原因を経て、徐々に人とコミュニケーションが取れなくなっていき、より深刻化していきます。
ただ単に人とコミュニケーションを取ることが苦手というだけではなく、そのことが原因で呼吸が苦しくなったり、体調に変化をもたらしてしまうこともあります。
このような状態になると「病気」かも知れないと感じる人も多くなってきます。
実は、本当にその通りで、人が怖いという心理に関連する精神的な病気もあるのです。
対人恐怖症
「人が怖い」心理に関する病気と聞いて、誰もが思い浮かべるのは「対人恐怖症」なのではないでしょうか。
対人恐怖症とは、他人と相対する場面において不安や緊張が生じてしまい、自ら身を引こうとしてしまう神経症の一種です。
別名「あがり症」とも呼ばれる対人恐怖症の人は、過去に経験した他人の前での失敗などをきっかけに、人前に出ると極度の緊張状態になってしまいます。
この対人恐怖症という病気は、社会で生きていく上でも本当に難しい病気です。
特に、大人になり、自立した生活を送っていかなくてはならなくなった人にとっては尚更です。
社会の中で生活していくためには、公私ともに様々な場面で人と関わらなくてはいけません。
社会生活を送る上で既に問題が生じてしまっている場合には「対人恐怖症」という病気の診断をされる可能性があります。
対人恐怖症に似た病気
対人恐怖症に似た病気に「社会不安障害」というものもあります。
社会不安障害という病気には、通称「SAD」や「社交恐怖」という別名もあります。
この病気は、他人に恥をかかされるのではないかという強い不安感から人と関わることを避けたり、我慢して関わることでパニック発作などを起こしてしまう精神障がいです。
対人恐怖と社会不安障害の大きな違いは、「怖い」と感じる対象の違いにあります。
対人恐怖症はあくまで「人」が恐怖の対象なのですが、社会不安障害の場合は「特定の社交場面」が恐怖の対象です。
そのため、社会不安障害にかかっている人は「外出する」と考えただけでもパニック発作を起こしてしまうことがあります。
また、社会不安障害にかかっている人がその病気の症状として「対人恐怖症」を持っている場合もあります。
そして、この違いは専門医などでもなかなか判別がつきにくいものだと言われています。
対人恐怖症について
では、ここからは対人恐怖症について更に詳しく掘り下げていってみましょう。
先程も述べた「社会不安障害」と「対人恐怖症」を混同してしまうと、いざ治療を始めようと思った時に適切な対処ができなくなってしまいます。
まずは、自分自身が対人恐怖症というものについて正しく理解しておけば、その克服にますます近付いていくはずです。
対人恐怖症が起こるメカニズムや症状の種類などについてお伝えします。
対人恐怖症のメカニズム
対人恐怖症が起きてしまう時の脳のメカニズムには、脳内物質である「ドーパミン」や「セロトニン」などが関係していると考えられています。
ドーパミンは心を高揚させる神経伝達物質で、この脳内物質が出ていると、人はやる気が出てきます。
また、セロトニンは別名「幸せホルモン」と呼ばれる物質で、心を安定させたりドーパミンなどをコントロールする働きがあると言われています。
セロトニンは、ストレスや不規則な生活が原因で不足すると言われ、セロトニンが不足してしまうことで不安感が増します。
また、セロトニン不足は調整されているドーパミンにも大きく影響します。
そのため、連鎖的にドーパミンが不足することで、やる気などが失われるとともに不安感や恐怖感も増すことになるのです。
こうした脳内物質の影響が、対人恐怖症が起こるメカニズムの一つだと考えられています。
対人恐怖症の種類
対人恐怖症には様々な症状があります。
「人が怖い」という気持ちだけでなく、以下の症状がある人は、もしかすると対人恐怖症かもしれません。
- 赤面症(赤面恐怖症)…実際にそうではないのに「人前で顔が赤くなっているのではないか」と思ってしまう症状。
- 視線恐怖症…他人あるいは自分の視線が気になってしまう症状。
- 醜形恐怖症…自分の顔や身体を醜いと感じてしまう症状。
- 嫌疑恐怖症…人が自分を疑っているのではないかと思ってしまう症状。
- 電話恐怖症…誰かと電話で話す時に「盗聴されているのではないか」と感じてうまく話せなくなる症状。
- 失語恐怖症…自分が誰かを傷つけてしまっているのではないかと思い込み上手に話せなくなる症状。
- 雑談恐怖症…自分は会話が下手な人間だと思い込み自然な会話が出来なくなる症状。
- 吃音症…人前で話す時にどもってしまう症状。
- 体臭、口臭恐怖症(自臭症)…自分の体臭や口臭が臭いと感じて人が嫌がるのではないかと思い込む症状。
こうした症状が起こることを「怖い」と感じているため、更に症状が悪化していくのが対人恐怖症です。
逆に言えば、この症状を意識しなくても良い時、つまり「人」がいない状態の時にはこれらの症状は現れません。
対人恐怖症と間違われやすい症状
「人が怖い」と感じている人がかかっている可能性が高い対人恐怖症という病気は、前項で述べた症状を伴う病気なのですが…
この病気と間違われやすい症状というのが、これからお伝えする「回避性パーソナリティ障害」というものです。
対人恐怖症と似ているのですが、症状の原因が根本的に異なる「回避性パーソナリティ障害」について理解をしておくと対処を誤らずに済みます。
ここでは、対人恐怖症と回避性パーソナリティ障害の違いについてお伝えしていきます。
回避性パーソナリティ障害とは?
回避性パーソナリティ障害とは、別名「不安性パーソナリティ障害」とも呼ばれるものです。
「自分なんかふさわしくない」という感覚や否定的な評価を受けることに対する過敏な反応から社会との関わりを避けようとする精神障害の一種です。
回避性パーソナリティ障害は、自分の中で生まれる「自己肯定感の低さ」が根本的な問題となって表れる障害です。
「自分は誰からも好かれない。だから人と関わる必要がない」という状態になっているのが、大きな精神的特徴と言われています。
そうしたことからも、対人恐怖症とはまた別の方向性で症状が現れているということがわかります。
対人恐怖症との違い
ここで気になるのが、この回避性パーソナリティ障害と対人恐怖症の違いです。
この二つの症状は、どういった点に違いがあるのでしょうか?
対人恐怖症の場合は、自分が他人から「否定」されたことにより「また否定をされるかもしれない」という恐怖から症状が引き起こされます。
しかし、回避性パーソナリティ障害は「自分が自分にする評価の低さ」が原因となっている障害です。
こうした点からも、症状が似てはいるものの、原因に違いがあるということが分かります。
ただ問題なのは、この回避性パーソナリティ障害は対人恐怖症の人が移行していく可能性がある病気であるということです。
対人恐怖症の症状により、常に恐怖を感じている人は、自分に対する評価が低下する傾向にあります。
そうして最終的には「自分に価値がない」という気持ちに至ってしまうのです。
対人恐怖症の可能性がある人は、こうした精神疾患に移行してしまわないように早めに対処する必要があります。
人見知りと対人恐怖症との違い
ここまで「人が怖い」という心理を「対人恐怖症」ではないかと仮定して話を進めてきました。
しかし、中にはこうした対人恐怖症の症状を「ただの人見知りなんじゃない? 」と軽く考えている人がいます。
確かに、人が怖いという心理を持っている人の中には、生まれ持った性格として「人見知り」であるという人も多くいます。
では、「人見知り」と「対人恐怖症」との違いは、一体どういうところにあるのでしょうか?
人見知りとは?
そもそも「人見知り」というのは、生物の本能に基づいた行動です。
例えば、あなたは猫が好きだとします。
そんなあなたが近所で見かける可愛い野良猫に近付いていってその猫に触ろうとしても、猫はびっくりして逃げてしまいます。
このように、生物には外敵から身を守るためにこうした行動を取るようになっていますが、この行動を人間が行うと「人見知り」と呼ばれるものになります。
つまり、人見知りは育った過程で得られる性格のせいなどではなく、人間の本能に基づいた行動なのです。
人見知りと対人恐怖症の違い
人見知りというのは「人間の本能」により引き起こされる行動でした。
一方、対人恐怖症はこれまでに受けた経験から引き起こされる症状だと言われています。
ここが人見知りと対人恐怖症の大きな違いです。
人見知りの場合は経験に基づかない本能的な行動なので、ある程度、人に慣れて親しくなったら恐怖心を抱かなくなります。
しかし、対人恐怖症は過去の経験が原因で起こっている症状なので、人に慣れ親しむということがとても難しいのです。
そうは言っても注意しなくてはならないのが、人見知りは対人恐怖症に移行することがあるということです。
人見知りの状態で他人との関わり合いで怖い経験をしてしまうと、それがトラウマになり、対人恐怖症に移行してしまう恐れがあります。
ですから、決して「ただの人見知り」だと侮ってはいけないのです。
アダルトチルドレンと対人恐怖症の関係
ここまでで、対人恐怖症というのは、様々な側面を持った症状であることが理解できたと思います。
そこでぜひ、あなたに知っていてほしいのが「アダルトチルドレン」という精神状態と対人恐怖症との関係です。
通常の対人恐怖症以上に、アダルトチルドレンの状態で対人恐怖症を抱えている場合は、更に注意深くケアをしていかなくてはなりません。
それでは、アダルトチルドレンの状態と対人恐怖症との関係についてお伝えします。
アダルトチルドレンとは?
アダルトチルドレンとは、幼少期に親などの養育者から精神的・身体的な虐待を受けたり、育児放棄をされたことが原因で、親との関係に問題を抱え、大人になっても生きづらさを感じている人のことを指します。
アダルトチルドレンの状態にある人は、幼少期に受けたトラウマの影響により「自分はダメな人間だ」という低いセルフイメージを持っています。
こうした自己肯定感の低さが、アダルトチルドレンの人間関係や人生のあり方に大きな影を落としてしまいます。
アダルトチルドレンと対人恐怖症の関係
対人恐怖症というのは、自分が他人から「否定」を受けたことがきっかけで引き起こされる症状でした。
そのため、幼少期から虐待などを受け、心身ともにずっと「否定」を経験してきたアダルトチルドレンの人は、対人恐怖症に移行してしまうケースが多いと言われています。
また、アダルトチルドレンの特徴として、他人からの愛情を信じられないという「愛着障害」という症状を持っています。
本当は人と親しい関係を築いていきたいと思っているのに、愛着障害があるため、上手く関わることができずに苦しんでいるのです。
そうしたことから、通常の対人恐怖症の人たち以上に孤独感を感じていると言われています。
アダルトチルドレンの癒やしとは?
では、アダルトチルドレンの対人恐怖症は、どうやって回復していけば良いのでしょうか?
アダルトチルドレンの人たちは、通常の対人恐怖症の人たち以上に深いトラウマを抱えている場合が多いと言われています。
ですから、こうした人たちの対人恐怖症を回復させるためには、まずトラウマを解消していく必要があります。
先にトラウマをしっかり癒やしていくことで、対人恐怖の症状が軽減すると考えられているからです。
しかし、トラウマというのは、そう簡単に解消することができない「心の傷」です。
時間をかけてしっかりとトラウマの癒やしに取り組んでいくことが、その後の対人恐怖症の癒やしにも繋がっていきます。
アダルトチルドレンの状態にある人は、焦らずじっくり自分の心の傷を癒やすことを考えていきましょう。
人が怖い心理を克服する方法
「人が怖い」という心理からくる対人恐怖症についてきちんと理解することができたでしょうか?
対人恐怖症は、過去に受けた否定される経験やそれに基づく心の傷によって症状が現れてくるものです。
様々な側面から対人恐怖症の原因を理解できたので、ここからはそれを踏まえた上での「人が怖い心理を克服する方法」についてお伝えしていきたいと思います。
自分なりに心が落ち着く癖を作る
人が怖いと思った時は、心身が緊張していたり、震えが生じてしまうなど…とても落ち着いているとは言えない状態です。
そうした自分の状態を目の当たりにすると更に恐怖感が増し、対人恐怖症の症状がひどくなってしまう恐れもあります。
ですから、緊張や震えが生じた時に手軽に試せる「落ち着く癖」を作っておきましょう。
例えば、人と話をする時には親指を必ず握っておく…など、簡単にできる癖を作っておくのです。
最初は、自分がリラックス状態にある時にこの癖をやるように心がけます。
そうすることで、この癖をやると「リラックスできる」と心に刷り込んでいくのです。
その刷り込みが完了したら、人と話していて緊張したり、震えが生じてしまった時にこの癖をやるようにしていきます。
すると、この癖を合図にリラックスができるようになり、人と話していても恐怖心を抱かずに済むようになります。
自分にご褒美を与える
「人に会う」とか「会社の懇親会に参加する」など、自分が苦手だと思っている行動を取った時には、自分に何かご褒美をあげるようにしましょう。
こうした行動を繰り返すことで、自分の中で「人に会うと良いことが起こる」という心理になっていきます。
ネガティブなことが起こった後は、必ずポジティブなことが起こるという決まり事を作っておくことで、ネガティブな出来事を意識しなくなっていきます。
ですから、自分が嫌だと思っている「人と会う」という行動を取った時には、自分が好きなものを食べに行くなどのご褒美をあげるようにしてみましょう。
深呼吸をする
深呼吸という行動にはリラックス効果があるとともに、場所を問わず手軽にできるという利点もあります。
今から「人に会う」という時に恐怖心を感じてしまったら、まずは深呼吸をして気持ちを落ち着けるようにしてみましょう。
深呼吸をする時には、腹式呼吸を意識して、ゆっくり息を吸い、またゆっくり時間をかけて息を吐き出します。
深呼吸という行動には、副交感神経を活発化させて心身をリラックスに導く作用もあります。
緊張して呼吸が浅くなっている時には、特にオススメの克服方法です。
アロマテラピーを活用する
アロマテラピーとは、自然の植物から抽出した精油と呼ばれる香りの良いオイルを用いて、美容や健康に役立てる自然療法のことです。
アロマテラピーで使用する精油の中には、精神を安定させたり、恐怖心を和らげる作用を持っているものがあります。
そうした作用がある精油を使って、緊張や不安を和らげることで「人が怖い」と感じる気持ちを軽減することができます。
例えば、ハンカチやティッシュなどに精油を垂らして持ち歩いておくと、外出先で恐怖心や緊張を感じた時にすぐ対処することができるのです。
手軽に試せる克服方法ですから、ぜひ試してみてくださいね。
緊張や不安に効果があるアロマ(精油)
- オレンジ・スイート
- グレープフルーツ
- ゼラニウム
- ラベンダー
- イランイラン
- クラリセージ
- サンダルウッド
- ジャスミン
- ネロリ
- プチグレン
- フランキンセンス
- ベルガモット
- マンダリン
- ローズウッド
- ローズオットー
「人が怖い」という気持ちに向き合う
これまでの克服方法は対人恐怖に対する対症療法的なものですが、ここからは対人恐怖症という症状そのものを克服していく方法になります。
克服のために一番必要なことは、あなたが抱えている「人が怖い」という気持ちに向き合うことです。
そのために、まず自分が抱えている恐怖心をノートなどに記録して目に見える形にしましょう。
「紙に書く」という行動は、自分の中にあるものをアウトプットする行動です。
この行動には、自分の恐怖心を客観的に見ることができるという効果とともに、自分の中にあった恐怖心を外へ出したという事実を見るという効果があります。
自分の中にある恐怖心を自分の中から出したと認識することができれば、徐々に人に対する恐怖心も薄れていきます。
自分の長所を見つける
「人が怖い」という心理から対人恐怖症になってしまった人の多くは、自己肯定感が低い状態にあります。
過去に周囲から否定されてきた経験から、自分自身でも自分の存在を肯定することができないのです。
ですから、自分の長所を見つけることができれば、自分に自信を持つことにつながり、人に対する恐怖が和らぐことがあるのです。
最初はなかなか見つけられないかも知れませんが、どんな人にも、ちょっとした上手にできるものがあるはずです。
別に「誰にも負けない」程の飛び抜けた長所である必要性はありません。
そうしたちょっとした長所を見つけて、自分の自信へつなげていきましょう。
誰かに恐怖心を打ち明ける
あなたの周りに、あなたが信頼できる友人や知人、家族などはいますか?
そのような相手に自分が抱える恐怖心を打ち明けることも、対人恐怖症の症状軽減に役立つことがあります。
「紙に書く」という方法でお伝えしたように、自分の中にある恐怖心を「外に出した」と認識することは対人恐怖症の改善にとても有効な克服方法です。
誰かに恐怖心を打ち明けるというのも同様で、あなたが信頼している人と恐怖心を共有することで、自分一人で「怖い」という気持ちを抱えなくて良いという安心感が生まれます。
ですから、信頼できる相手がいる人は、ぜひ勇気を出して自分の気持ちを打ち明けてみましょう。
対人恐怖症を克服する時に絶対にやってはいけないこと
対人恐怖症を克服しようとする時には、ここまででお伝えしてきた方法がオススメなのですが、克服に取り組んでいく中で絶対にやってはいけないこともあります。
それをしてしまうと、逆に対人恐怖症の症状を悪化させてしまう恐れがあるので、ぜひ覚えておいてください。
外出を避けて人と会わないようにする
「人が怖い」という心理から、その恐怖の対象である「人」を避けて生活をすれば、確かに怖い思いはせずにすみます。
しかし、この方法は逆に「人」を強く意識してしまうことにつながるので逆効果です。
ただでさえ外出の機会が少ない対人恐怖症の人にとって、外出というのがますます特別な出来事として意識されてしまいます。
また、人と会う回数が極端に少なくなるため、いざ人と会った時に恐怖感が増してしまうこともあります。
ですから、極端に外出を避けることはしないようにしておきましょう。
人とたくさん会うようにする
この方法もやり方によりますが、大抵は失敗してしまう方法の一つです。
対人恐怖症は、過去のトラウマに基づいた症状であるため、トラウマを抱えた状態で無理して多くの人に会うことは、大きなストレスになります。
そのため、脳が徐々に麻痺していってしまい、感情のコントロールができなくなるなど、症状が悪化してしまう恐れがあるのです。
トラウマの解消には時間がかかります。
ですから、解消できるまでは無理してたくさんの人に会わないようにしておきましょう。
心療内科へ行くという克服方法
ここまでは自分の力で試すことができる克服方法をお伝えしてきましたが、最後に自分ではどうしようもなくなってしまったらどうすれば良いのかをお伝えします。
一生懸命努力しても、自分の力だけでは対人恐怖症を克服できないと感じた時には、ぜひ心療内科を受診してみてください。
心療内科は心の症状から身体へ不調が出てきてしまった時に受診する、いわば、心のプロフェッショナルの専門科です。
こうした場所で定期的にカウンセリングを受けることで、人と話しをすることに自信をつけることもできるでしょう。
また、あまりにも症状が重い時には、投薬治療などを併用しながら、あなたが抱える問題に対処してくれます。
対人恐怖症を治したいけれど、どうしても自分では克服できそうにないという人は、こうした専門機関があるということをぜひ覚えておいてくださいね。
まとめ
「人が怖い」という心理から生まれた対人恐怖症は、本当につらいものです。
日常生活にも支障をきたしてしまうため、この症状に苦しんでいる人の多くは「早く治したい」と感じます。
しかし、この症状はあなたの過去のトラウマから生まれたものなので、焦って治そうとするのは逆効果です。
ですから、頑張って克服しようと無理をせず、自分のペースであなたが抱えている気持ちと向き合っていきましょう。
そうすることで、徐々に気持ちが軽くなって「人が怖い」心理を軽減、克服することができるはずです。
まずは、自分の心をしっかり癒やしてあげてくださいね。