「アダルトチルドレン」とは、直訳すると「大人な子供」。
相反するものがつながってできたこの言葉、最近よく聞かれます。
アダルトチルドレンとは、幼いころに受けた心の傷を癒すことができず、社会生活において生きづらさを感じている大人のことです。
このアダルトチルドレンは、どんな特徴をもち、どんな問題を抱え、どう乗り越えていけばいいのでしょうか?
今回は、アダルトチルドレンの特徴とアダルトチルドレン克服法についてお伝えします。
「アダルトチルドレン」とは何か?
アダルトチルドレンの方は、自分がアダルトチルドレンだと自覚できている場合と自覚できていない場合にわけられます。
自覚がない方は、アダルトチルドレンの特徴のせいで周りとうまくいかなかったときに、多少やりにくさを感じる程度ですが、自覚している場合は、自分がアダルトチルドレンだということで悩み、辛い思いをします。
アダルトチルドレンとは、どんなものなのでしょうか? また、どこに原因があるのでしょうか?
1.アダルトチルドレンは病気ではない
アダルトチルドレンというのは、病気の名前ではありません。
ですから、うつ病や恐怖症などのような判定基準はありませんし、投薬による治療法もありません。
ただ、アダルトチルドレンには、気にしなくてもいい程度のちょっとしたことで過剰に反応したり、感情の起伏が激しかったり、反社会的な行動をとることがあるなどの特徴があることから、何らかの精神疾患と間違われることがあります。
しかし、アダルトチルドレンは病気ではないので、薬を使っても症状は治りません。
とはいえ、アダルトチルドレンの方は社会になじめない悩みから、うつ病を発症してしまうこともあります。
2.原因は幼いころの両親との関わり方にある
アダルトチルドレンになってしまう原因は、幼いころ、両親から十分に愛情を注いでもらえなかったことにあります。
具体的には、両親のどちらかがアルコール依存症だった、ネグレクト(育児放棄)や幼児虐待をされたなどの理由で、両親から与えられるべき愛情に触れることができず、辛い思いや寂しい思いをして心に傷を負うことが原因になります。
そうして、心に傷を負ったまま成長してしまうと、アダルトチルドレンになってしまうのです。
逆に、親から過度の干渉を受けるなど過保護にされることでも、アダルトチルドレンになってしまう場合もあります。
幼少期にあれこれ干渉されすぎたせいで、大人になってから自分で判断したり、自分から進んで行動することができず、物事がうまくいかずにかんしゃくを起こしたり、他人に対して攻撃的になるなどの様子が見られるようになります。
アダルトチルドレンの特徴
うつ病やパニック症候群のような病気には、その病気であると確定するための診断基準というものがありますが、アダルトチルドレンは病気ではないので、その判断基準がありません。
しかし、いくつかの共通した様子が見られます。
主なアダルトチルドレンの特徴は、以下の通りです。
1.感情のコントロールができない
アダルトチルドレンは、普通なら大して気にならないことでもひどくショックを受け、必要以上に激しく落ち込んでしまったり、ちょっとした一言でカチンときて大喧嘩するなど、感情の起伏が激しく自分でコントロールできないことがあります。
そのため、周囲の人たちとうまく付き合うことができず、集団において生きにくさを感じます。
また、時に感情が高ぶりすぎて行動や言動がエスカレートし、攻撃的・暴力的になり、たびたび問題を起こすようなこともあります。
そのせいで、周りから孤立することも少なくありません。
2.「しなくてはいけないこと」ができない
たとえば、頼まれた仕事を指定された時間までに終わらせる、大切な支払いをする、自分の担当業務を忘れずに行うなど、仕事、プライベートともに「自分がしなくてはいけないこと」をすることができないことがあります。
普通であれば、嫌でも自分が任された仕事や支払わなければいけないものは、忘れずに行いますよね?
しかし、アダルトチルドレンはこのような重要なことであっても「自分がしなくてはいけない」と自覚することができず、忘れたり、後回しにしているうちにやらずにすますことが多くあります。
3.思い込みやこだわりが強すぎて偏っている
たとえその思い込みが間違っていようとも「これはこうだ! 」と思い込んでしますと、頑として考えや意見を変えようとしない、融通のきかなさもアダルトチルドレンの特徴です。
自分の考えが正しいと思い込んだら最後、誰の意見も聞きません。
また、こだわりも強く、「そこまで気にしなくてもいいのでは? 」と思うような部分に必要以上に執着します。
4.自分や他人を正当に評価できない
アダルトチルドレンは、自分や周りの人たちを客観的に正当に評価することができない傾向があります。
自分のことを「生きていてもしかたがない人間なんだ」と過小評価したり、「自分は天才で、特別な人間なんだ」と過大評価したりすることがあります。
他人にも同様で、過小・過大評価をするため、正しい判断で物事をとらえることができません。
また、素直に受け入れることもできないため、自分のミスや失敗を認められません。
その特性が起因して、他人から何かしらの指摘を受けたとき、他人の悪いところを探して言い訳をしたり、責任回避しようとすることがよくあります。
アダルトチルドレンの5つのタイプ
アダルトチルドレンと一言に言っても、幼いころの環境によってその様子は異なります。
アダルトチルドレンには5つのタイプがあり、それぞれ幼いころにどう育てられてきたかよって変わってきます。
1.ヒーラータイプ
複雑な家庭の中において、兄弟/姉妹や両親の関係の調整をしたり、姉弟の面倒を見ることに尽くしたり、両親をなだめることを必死にやってきたヒーラー(癒し役)タイプのアダルトチルドレン。
自分の言いたいこと、やりたいことがあっても、それは二の次で他人に尽くします。
そうしているうちに自分の意見がなくなってしまい、自分の意見を聞かれても答えることができない人間になってしまいます。
2.ロストチャイルドタイプ
喧嘩、または、アルコールやギャンブルに依存して乱暴を働く両親に巻き込まれないよう、息をひそめて、声を殺し、存在を誰にも感じさせないように生きてきたタイプのアダルトチルドレン。
まるでその場にはいないかのように振る舞うため、ロスト(失われた)チャイルド(子供)と呼ばれます。
3.ヒーロータイプ
両親の期待に応えようと勉強やスポーツをムリしてがんばったり、親の厳しすぎる言いつけを必死に守ったり、誰からも頼られるいい子でいることを求められてきたヒーロー(英雄)タイプのアダルトチルドレン。
完璧でいることを目標としてきたため、ちょっとの失敗や思うようにいかないことがあると、機嫌が悪くなったり、かんしゃくを起こしたりします。
4.ピエロタイプ
夫婦喧嘩などの不穏な空気が流れると、すぐさまそれを察して、おもしろおかしくふざけて注意をそらし、なんとかその空気を変えようとする、ピエロ(道化師)のようなアダルトチルドレン。
本人は楽しそう見えますが、実はただその空気に耐えられず、動かずにはいられない多動性からきています。情緒不安定な一面も持ち合わせています。
5.スケープゴートタイプ
攻撃的・反抗的に振る舞うことで、自分の存在を大きく主張し、家庭の問題を自分が起こす問題でかき消そうと、自分を犠牲(スケープゴート)にするタイプのアダルトチルドレン。
好きで問題を起こしているわけではないのに、その本質を理解してもらえずに「問題児」「不良」というレッテルを貼られることが多く、そのレッテルに傷つき、周囲から孤立して悩むことも少なくありません。
もう悩まなくていい! 3つのアダルトチルドレン克服法
アダルトチルドレンは病気ではありませんので、治療することはできません。
しかし、アダルトチルドレンの特徴が原因で起こるトラブルや生活への影響は、自分の意識や認知を変えることで減らすことができます。
自分がアダルトチルドレンで悩んでいる方は、この3つの克服法を試してみてください。
克服法1 自分がアダルトチルドレンであることを受け入れる
複雑な家庭環境で育っていて、先に伝えたアダルトチルドレンの特徴やアダルトチルドレンタイプのどれかに当てはまるようであれば、アダルトチルドレンである可能性は高いといえます。
自分がアダルトチルドレンであると認めるということは、自分の育った家庭環境の悪さ、異常な考えの偏り、周囲とコミュニケーションがうまく取れないことを認めることになります。
それは簡単にできることではないでしょう。「自分は違う」と思いたい気持ちもわかります。
しかし、アダルトチルドレンを克服するためには、まず自分がアダルトチルドレンであることを受け入れ、そのうえで問題の部分を修正していくしかありません。
克服法2 「インナーチャイルド」と向き合い、癒す
インナーチャイルドとは、アダルトチルドレンだけでなく誰の心の中にもある「子供時代に我慢してきた不満や欠乏感、寂しさや悲しみを抱えた心」の象徴です。
子供のころに両親から愛情を受けることができずに育ったアダルトチルドレンの中には、とくに大きく存在しています。
そのインナーチャイルドの声に耳を傾けてみましょう。
「パパやママと、もっと一緒にいたかった」
「抱きしめてほしかった」
「楽しい食卓を囲みたかった」
「きょうだいの世話ばかりさせられたのが嫌だった」
「暴力を振るわないで」
など、子供のころ言いたくても言えなかったことを、インナーチャイルドが語ってくるはずです。
それを全部受け止めて、なぐさめてあげるのです。
「辛かったね」
「寂しかったね」
「もっとパパやママと一緒にいたかったよね」
と、インナーチャイルドに語り掛ける言葉は、自分が子供のころにかけてほしかった言葉です。
インナーチャイルドが求めているものを与えることは、自分の欠乏感や寂しさ、理解されなかった苦しみを癒すことなります。
自分で受け止めることが難しい場合は、気の置けない友人やカウンセラーに相談してみるのもいいでしょう。
克服法3 物事のとらえ方を変える
アダルトチルドレンにとって一番の悩みは、周囲とのコミュニケーションがうまくいかないことでしょう。
感情のコントロールや自他ともに正当に評価できないところ、思い込みやこだわりが強すぎて周囲とトラブルになり、人間関係がうまくいきません。
これを克服するには、その日にあった印象的な出来事や感情、感じたことなど、自分の行動や相手の態度を日記につけることです。メモ程度でも結構です。
どのような出来事が自分にどんな影響を与え、その時の相手の態度がどうだったかをメモしていると、自分の考え方や行動のクセがわかってきます。
自分ではわからない場合は、客観的に見てもらうことができる友人に頼む、もしくは、カウンセラーに分析をしてもらってください。
そのクセを自覚し、意識して修正することで、しだいにそのクセを改善することができます。
まとめ
アダルトチルドレンの人口は、日本において約80%以上ともいわれています。
どんな人でも、子供のころの不安や寂しさを抱えていて生きているということでしょうか。
アダルトチルドレンを特別なものととらえず、社会の一部として受け入れて、周りの理解を深めていくことが、今、求められています。
多分自分はアダルトチルドレンなのだろうなと思いました。
子供の頃は両親からの愛情とはほぼ無縁の生活でしたし、両親からのネグレクトもうけました。
祖父母と曾祖母が居なければ私は今この世に居ないと思っています。
そんな子供時代でしたので、アダルトチルドレンの特徴が今現在、如実に現れてしまっています。
社会生活に支障も出ています。
治せるものなのだと言う事が書いてあって希望が持てました。
先ずは自分の中のインナーチャイルドと話してみたいと思います。
ありがとうございました。
私は、私が幼い頃母親がうつ病を発症していてそれ以外にも家の環境や親族が特殊な人が多くて、心の中で私はこうしなきゃと頑張りすぎたのかもしれません。
人の顔色を伺うことばかり上手くなって結局それで親しくなっても自分から距離を置いてしまう
でも、この記事を読んで改めて自分を客観的に見ることができてよかったのかもしれません。