会社勤めをしていて、ある程度の経験をし、ある程度の立場になると外せない業務は会議です。
しかし、トップダウンする上司にとってはともかく、部下の身、中間管理職の身では、会議は辛い事が多いのが事実。
多くの会社では、基本的にボトムアップは禁忌で、中々出来るものではありません。
結局は、会議とは名ばかりで、とうとうと上司の文句やお叱りの言葉をご高配すると言った体になり兼ねません。
しかも、その中には気に入る、気に入らないで責められる人もいるでしょう。
また、弱いところを叩くと言うのも人間の性です。よってたかって、立場の無い者が叩かれます。
直属の上司が、その上の者にお叱りを受けても、大抵はその上司の直属の部下に責任は擦り付けられます。
しかし、本来会社の会議というものは、発展的でなければ意味を無しません。
責任の所在を擦り付ける為の場ではないのです。
ですが、会議を有利に進めるには、ただ強気にバンバン発言すれば良いというものでもありません。きちんとそれなりの方法論に順ずつ必要があります。
ここでは、そんな会議を有利に進める方法をご紹介します。
まずは下準備をしよう
会議を有利に進める為の心理学として、実際に会議に入る前にシッカリ下準備をしましょう。当日有利に進める為の準備です。
これは少々大変な作業になりますが、勤務後や休日の時間を利用して準備しましょう。
自身が言いたい事を当日会議の場でシッカリと言える様にする為には、自身が何を言うべきかを隅々まで把握しておかなくてはなりません。更に、それを補足する形で資料が必要となります。
大事なのは、その資料なのです。
正直なところ膨大な資料を用意し、それを配布、提示するだけでも相手は怯みます。膨大な資料は、それだけで相手に重圧を与えます。
それだけではなく、その膨大な資料を短時間の会議の席で読み切って理解出来る人は、まずいません。それだけでも優位に話を進める事が可能になってくるのです。
ですから、大変な作業だからと言って、資料作りに手を抜かない様にしましょう。
心理戦思考と根回しの重要性
日本では、会議や交渉事を心理戦とは考えません。
欧米では当たり前の事なのですが、日本は、事無かれ主義、トップダウン主義で、会議の場で心理戦を仕掛けるなどと言う『思考』は、まず持たないものです。
と言う事は、逆に捉えれば心理戦なのだと言う『意識』を持つだけでも、数段優位に立てると言うことにもなります。
また、これは日本でも昔からある方法論ですが、肝心の会議に入る前に、充分『根回し』をしておく事です。
根回しをして、言質を得る事が出来れば、所詮は数の論理ですので有利に事が運ぶ事は言うまでもありません。
座席が決まっていない場合は座席に注意する
会議ですので、トップやその左右などは席が決まっているでしょうが、それ以外はそれほど明確に決まっている会社はないでしょう。
この座る位置と言うのがかなり重要で、重要さの割に、多くの人がおざなりにする事なのです。
欧米では、会議では無いですが、取引や投資などの打ち合わせなどにパワーランチと言うものが活用されます。これは昼食を取りながら交流を深め、ざっくばらんな雰囲気を作ることで契約をし易くするものと言われています。
しかし、パワーランチの真の意味はそこにはなく、実際は、座席に重要性があるのです。
日本ではその真意を知らずに使っている人が多いのですが、予め店には自身で予約を入れておきます。その際に座席の指定をします。
壁際の角の席です。
そして、自分を壁側、相手を反対側に座らせます。
そうすると、相手は料理以外には交渉相手である自分しか見るものがなく、嫌でも集中せざるを得なくなるのです。その他の雑音、雑念が全く入らなくなる訳です。
その事で、実は自然と相手は追い詰められているのです。
パワーランチでの交渉成功率が、非常に高いのも頷ける理由です。この例に従って、相手が自分に注視せざるを得ない場所を探す事が大事です。
また、出来る限りトップの目に入り易い場所を選択する事も大事です。
フット・イン・ドアで段階を踏む
会議では、いきなり本題に入るのは好ましくありません。
人間は、意見がすぐに変わる、意見に一貫性が無い、と思われる事は『恥』だと感じます。
その意識を利用するテクニックが、『フット・イン・ドア』と言うものです。
要約すると、誰でもそれほどの躊躇をしない小さく軽い要求を飲ませた上で、要求を大きく段階を経て広げる訳です。一度OKを出した事と同じ傾向のものであれば、事が大きくなったとしても反対しにくくなるのです。
それでも、反対する人はいるでしょうから、その場合は「最初にOKしたものと、今提示しているものは同じですが何故駄目なんですか」と尋ねれば大抵は言葉に詰まります。
コミュニケーションの3つの要素で優位に立つ
アメリカの心理学アルバート・メラビアンの調査によれば、言葉がメッセージ伝達における要素は7%、声のトーンが38%、ボディランゲージが55%で言語以外の要素がメッセージを伝達する上では重要と言う答えが出ています。
ヒトラーも演説の時はまるで別人の如く、声は太く力強く、大きな身振り手振りで行う事で国民を鼓舞し、国民は引き込まれていったのです。ヒトラーの政策自体は荒唐無稽なものでそれだけではあれほど国民に熱狂的に迎えられなかったと言えます。
声のトーンでは抑揚が重要で、重要な事は強く、その他は弛緩するかの如くと言った具合に緩急を付けると更に効果が上がります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
会議を優位に運ぶ為には、心理学を知り、心理戦を仕掛けて行く事が重要であることをお分かり頂けたことと思います。
日本は、仕事に浪花節的な感情論を持ち込む事が多いので、理路整然とした論理的な態度で臨めば、比較的簡単に敵の背後を突けます。
様々なテクニックがある訳ですが、そこには当然苦労も付きまといます。
仕事においては当然の帰結と言えますが、心理学や言葉だけでは、中々相手は落ちません。そこに『説得力』を持たせるだけのバックボーンが重要です。
先述したように、日本の企業は、精神論が横行しているので、正論だけでは通じない場合がある訳です。
普段の仕事振りや、仕事に対する姿勢、私生活の事まであげつらってくるのが、日本の仕事のやり方なのです。
出る杭は打たれるのことわざ通り、日本の企業では良く見られる光景ですが、それに負けない意志力とバックボーン、そして、心理戦を制する事が出来れば、全てを制する事も不可能ではありません。
ここのテクニックを駆使しながら、普段の仕事でも活用して会議を有利に進めましょう。