職場の同僚、後輩、仲の良い同性の友達から聞かされる、結婚や出世報告、恋人とのラブラブ話・・・喜ばしいし祝福したいのに、一方で友達の幸せに嫉妬や焦り、言いようのないモヤモヤを感じてしまった、こんな経験はありませんか?
そんな時って、周りの人たちみたいに心から喜んであげられない自分に自己嫌悪し、落ち込んでしまいますよね。
仲が良いはずの友達にも嫉妬してしまう自分が、たまらなく嫌になる事もあるのではないでしょうか?
いったいどんな心理が働いて、あなたは同僚や友達に嫉妬しているのでしょう。
今回は、身近な人に嫉妬してしまう心の動きについてお伝えします。
嫉妬は誰もがもつ悩みです
一番初めに申し上げておきましょう。
『仲の良い友達に嫉妬してしまうあなたは、おかしくなんかありません! 』
「友達の幸せな出来事に対して、心から喜べなかった事はありますか? 」とのアンケートを実施したところ、約4割の人が「はい」と答えたというデータがあります。
自分以外の人は、みんな心から祝福しているように見えますが、実は10人に4人は心の中で生まれたモヤモヤを隠し、笑顔の裏であなたと同じように悩み、自己嫌悪に苛まれているのです。
さて、ではあなたは、なぜ、友達の幸せに対して嫉妬や焦りを感じているのでしょう。
ただ、うらやましいからでしょうか? 先を越されたからでしょうか?
これらも理由の1つと言えますが、あくまでも表層的なものでしかありません。
真の理由は何なのか?
どんな心の動きがあなたを苦しめているのかを探っていきましょう。
嫉妬の正体を探る
友達に嫉妬を抱くというのは、嫌なものです。
ですが、まずは『嫉妬』についてきちんと知っておきましょう。
嫉妬とは、平たく言えば『自分自身が認識していない劣等意識』であり、『思い込みや錯覚が生み出す幻想・不安・恐怖』です。
さらに嫉妬には2種類あります。
『比較による劣等意識=嫉妬』
自分の恋人が自分以外の人と親しくしている姿や、褒められている友達を見て嫉妬したことはありませんか?
これらはどちらもあなたが『自分と同等もしくは下位にいると認識していた者が優位に立つ』と認識した時に抱く心理です。
実際には、あなた自身の価値はなんら変わりがありません。
しかし「自分はこの人より優遇される立場にある」または「この人は自分と同等の価値がある」と思っている人間が、自分と他人を比較し評価している(またはされている)と感じた時点で、あなたの深層心理は自分の価値が下がるのではないかという不安や恐れを感じているのです。
『過大評価による劣等意識=嫉妬』
相手に対する強い依存心も、嫉妬の引き金と成り得ます。
依存心が強いということは、相手からの評価によって自己の存在を認識しようとする気持ちが強いということです。逆に言えば、『相手から評価されなければ自分の存在が否定されてしまう』ということです。
人間にとって、存在意義の否定は死活問題とも言えます。
ゆえに、評価されたい対象が自分以外に目を向ける場合や、「対象者から受け入れられていない」と感じた場合に、居場所を失う恐怖や不安から嫉妬心を抱くのです。
これが、嫉妬のメカニズムです。
この心の動きは、相手が自分と同等、つまり近ければ近い存在であるほど抱きやすくなるもの。
友達に嫉妬するのは、ある意味自分の存在意義が不安定になったと感じた事に対する防衛本能のようなものなのです。
嫉妬は人間の専売特許ではない
果たして、嫉妬する事は『悪』なのでしょうか?
実は、『嫉妬』は人間だけが持つ感情ではありません。
ダーウィンによると、昆虫や甲殻類ですら、嫉妬の感情をもつのだそうです。
嫉妬は、自分の存在価値が危うくなった時に起こる感情だとお話しましたが、特定の存在に対して、自分が高い位置・高い価値を保つ事は『身の安全』や『子孫繁栄』が保障されるということに繋がります。反対に、地位の転落は、そのまま自身の身の安全や子孫繁栄が危ぶまれるということになります。
つまり、嫉妬は生物が生き延び、次へと世代を繋げるために、もともと備わっている本能の一種です。
人間の場合、身近な存在である友達に嫉妬するのは、裏を返せば自身の存在を脅かす(おびやかす)可能性が最も高い存在だからだと言えます。
嫉妬の克服方法、教えます
嫉妬する事は、決して悪い事ではありません。
ですが、嫉妬の感情に捉われて、ネガティブから抜け出せないでいるのはもったいないことです。
ここからは、嫉妬を克服する方法に目を向けていきましょう。
幸せになる友達に嫉妬するあなたは、いったいどの部分を気にして素直に喜べないのでしょうか?
例えば『結婚する友達に対して』嫉妬しているポイントを具体的に探し出してみましょう。
- 行き遅れずにすんだから?
- 自分は彼とうまくいっていないのに友達は幸せの絶頂を迎えたから?
- 自分は彼ができないのに友達は結婚までできる相手と巡り会えているから?
- 憧れの結婚式を挙げる事ができるから?
ざっと書き出しただけでもこれだけの理由がありますね。あなたは、いったいどんな理由が強く気になっているのでしょうか?
強く感じている理由を今すぐに改善しようとしても無理な場合もあるでしょう。
肝心なのは、改善云々の前に、客観的かつ冷静に自分自身を見つめるという作業を通して、自分の現在の思考を整理する事です。
嫉妬している対象を客観的に観察する
友達に嫉妬しているとき、あなたの心はどのような動きを見せているか、おぼろげながらでもわかってきたのではないでしょうか。
では、嫉妬とうまくつきあうにはどうしたら良いのでしょうか?
まずは、友達という嫉妬の対象について考えてみましょう。
『相手が得たメリットだけに焦点を当てていませんか? 』
人が嫉妬の感情に捉われている時、視点は『成功した』という一点に集中しがちです。
しかし、成功する事で背負わなくてはならなくなる部分には目が行かない事がほとんど。結婚したり、出世したりすれば責任が重くなったり、自由な時間が削られたりします。それだけストレスを抱える事も多くなるでしょう。
ちょっと意地が悪いかもしれませんが、こう考えると「良い事ばかりではないのかも」と嫉妬を軽減することができます。
『うらやましいと思っているそれは、本当にあなたが欲しい物ですか? 』
隣の芝生は青いと言いますが、他人が何かを手にすると「自分も欲しい」と思いがちです。
しかしそれらは、あなたがずっと欲しいと望んでいたものですか?
他人が手に入れたモノにばかり目を向けていると、自分自身が『どうしたいのか』『なにを望んでいるのか』といった根本的な部分を見失いかねません。
『相手と自分を交換したいと思いますか? 』
友達への嫉妬が大きくなり、妬ましい・羨ましいといった気持ちが止められなくなったら考えてみてください。感情が昂ぶっている時は、羨ましい部分ばかりに意識が向いて「交換したい! 」と即答するかもしれません。
しかし、どこが羨ましいのか何を得たいのかと考えを突き詰めていくと、丸々自分が変わってしまうのは、案外嫌なことに気づきます。
嫉妬に駆られると視野が狭くなりがちです。『嫉妬の対象について考える』事で、狭くなってしまっている視野や思考を広げて冷静に分析できるようになりますよ。
自分自身の深層心理に目を向ける
友達への嫉妬を克服するために、今度は自分自身について分析してみましょう。
『現在の自分の気持ちを書き出してみましょう』
「書く」という行為は、制している感情をきちんと表面に出し、昇華させる力があります。同時に、混乱している心をほぐし落ち着かせる事で、癒しの効果が得られます。
『感情を発散させましょう』
悔しいなら悔しい、腹立たしいなら腹立たしい、と負の感情を溜め込まずに吐き出す場を作りましょう。
誰にも見られない場所で、思いっきり叫んだりしたって良いのです。気晴らしに飲み食いしたって良いではありませんか。溜め込んだ感情は、あなたの心をふさぎ、余計にややこしくします。
『身体を動かす・忙しくする』
人間暇であればあるほど1つの考えに固執し、視野が狭くなる傾向があります。ならば、考える間もないほど体を動かしてみましょう。仕事や学業に没頭してもいいですし、運動やジム通いなども良いです。
余計な事を考える暇もないほど動き回っていれば、そのうち友達に抱いていた嫉妬心も馬鹿馬鹿しく思える日が来ます。
いっそお手本にしてしまう
友達の幸せに嫉妬してしまうのなら、いっそ目線を変えてみましょう。
結婚生活、妊娠出産、昇進など、嫉妬心を抱かざるを得ない状況はたくさんあります。
ですが、ちょっと視点を先に延ばしてみたら、そのうちあなただって同じ道を辿るかもしれないのです。やがて結婚したり、昇進したりする日が来るかもしれません。
そんなあなたの将来の幸せのために、友達にはお手本になってもらいましょう。
「こうやれば成功する」「このやり方では失敗する」などなど、良くも悪くも相手の様子を見て、良いところは取り入れさせてもらい、悪いところは反面教師とする。相手は、あなたを出し抜いて幸せになったのではなく、あなたにいろいろと教えるために先に進んでくれたのだと思えば、少しでも気が楽になるのではないでしょうか。
幸せの裏には、それ相応の苦労や困難があります。
友達に嫉妬して、いずれ訪れるかもしれない未来に目を背けるのは、もったいない話です。せっかく身近に素敵なサンプリングができたのですから、こっそり参考にさせてもらいましょう。
まとめ
いかがでしたか?
『友達に嫉妬してしまう』という、人間に当たり前に備わっている心理の正体が、少しは見えてきたのではないでしょうか。
とはいえ、頭ではわかっていても、感情を割り切るのはなかなか難しいですよね?
そんな時はいっそ、「喜ばしいけど悔しい! 」と他人に明るく宣言してしまうのも効果的です。
もしかしたら賛同してくれる人がいるかもしれません。励ましたり宥めたりしてくれる人もいるかもしれません。それだけでグッと心の負担は軽くなります。
そして、いつかはあなたが嫉妬される側に回るかもしれません。
そんな時は「ああ、私もこんな感じだったのかなぁ」なんて思いを馳せてみてくださいね。