子どもを誰よりも愛しているからこそ、どうしても子どもに過干渉になってしまう・・・。
母親であれば、誰でも思い当たる節があるのではないでしょうか?
子どもが小さいうちは、子どもが親を求めたとき、その欲求に応えてあげることが必要です。
それは、親が子どもに与える愛情の証だからです。
しかし、子どもの自我が芽生えて、子どもが『自分でやりたい』『自分で決めたい』と願っていることにまで、手や口を出してしまう母親は、この先『子離れできない母親』となってしまう可能性が高くなります。
そして、子離れできない母親は、子どもに悪影響を与えてしまう恐れもあります。
今回は、子離れできない母親の特徴をお伝えします。
あなたが当てはまっていないか、チェックしてみましょう!
子どもに母親の価値観を押し付け、決定権を与えない
子どもが幼いうちに、世の中の基本的なルールやマナー、善悪を教えてあげることは、親のつとめです。
なぜなら、それは普遍的なものであり、母親自身の価値観ではなく、社会全般の共通認識だからです。
しかしながら、子離れできない母親は、母親本人の個人的な価値観を子どもに押し付けようとします。
子どもが選ぶおもちゃや絵本、着たいと思う洋服にいたるまで、そのままを受け入れて認めようとはせず、頭ごなしに『そんなのはだめ!!こっちのほうが絶対いいから、これにしなさい』と自分の意見を押しつけるのです。
そのままエスカレートすると、子どもの入る大学や会社にまで口を出すような過干渉な母親になりかねません。
このような子離れできない母親のもとで育った子どもは、自分の意見に自身が持てなくなり、何一つ自分では決められない大人に成長し、「親離れできない子ども」に育つ恐れもあります。
こうならないためにも、幼い時から、子どもが良いと思って選択したことに対して、『?』と思っても、それが他人に迷惑をかけるようなことでない限り、受け入れて認めてあげることが大切です。
どうしてそれを選んだのか、理由をしっかりと聞いてあげましょう。
ヘリコプター・ペアレント
「ヘリコプター・ペアレント」という言葉を聞いたことがありますか?
1990年、アメリカ人の医師フォスター・クライン氏が、著書「愛情とロジックのペアレンティング-子供に責任を教える」の中で使ったことから生まれた言葉で、すでに、アメリカでは社会問題化しているそうです。
ヘリコプター・ペアレントとは、大人にならなくてはいけない年代の子どもの周りを常に旋回するかのように監視し、子どもにトラブルが起きたら、すぐに介入し、子どもを救おうとする親のことです。
これはまさに、子離れできない母親の典型的な例です。
根底には、子どもを守りたい、傷つけたくないという愛情があるのでしょうが、これは、歪んだ愛情に他なりません。
幼児期ならまだしも、思春期や、青年期を迎えている子どもに対して、母親が24時間監視しているかのような状況下では、子どもはストレスを感じて爆発するか、または、親無しでは何も出来ない、自立できない子どもになってしまいます。
ある程度の年齢になったら、子どもに一定の自由を与えてあげましょう。
子どもは、その自由の中で、さまざまな危険や誘惑にあいながらも、ここまではOK、ここからはNGという線引きを自分自身でできるように成長していくはずです。
子どもに依存している
生活のすべてが『子ども中心』という母親は、一見とても良い母親に見えますが、実は、子離れできない母親の予備軍でもあるのです。
子育てに奮闘している母親の中には、子どもと上手に向き合って、健全な子育てが出来ている母親もいます。
一方で、母親と子どもが一体であり、子ども=自分自身と考えて、子どもに依存しているために、何もかも『子ども中心』になってしまっている母親もいます。
しかし、当然のことながら、子どもは母親とは別の人格を持った、1人の人間として尊重されるべき存在です。
『ママはあなたが全てよ』
『お母さんの生きがいはあなただけよ』
『あなたがいなくなったら、ママどうしよう』
などと言って、子どもの人生を縛ることは、やめましょう。
子どもの人生は、子どものものだということを、しっかり自覚しておくことが重要です。
周りの子どもと常に比較してしまう
自分の子どもが、他の子どもたちと比べて、どのくらいのレベルにいるのか、つまり、劣っているのか、優れているのかを気にしてしまう母親は多いものです。
愛するわが子の才能や可能性を比較して測りたい気持ちは、親であれば理解できるものですが、これも行き過ぎると、厄介な『子離れできない母親』になってしまいます。
常に、他の子どもとわが子を比較し、『あの子に勝てるようにもっと頑張れ』『あんな子に負けて恥ずかしい』などと言っていると、子どもが『ありのままの自分は、母親に受け入れられない』と感じてしまいます。
そして、いつの日か、自分は何かに勝ち続けなくては価値がなくなる子どもなのだと思うようになり、必要以上に無理をしたり、自己肯定感を失ったりしてしまうのです。
人間には、どんなことにも得手不得手があります。何でも出来る子どもに育てようと思ってはいけません。
その母親の過度な期待こそが、子どもを苦しめ、母親自身を『子離れできない母親』へと導いてしまっているのですから。
子どもを通して、母親の自己実現を果たそうとしている
あたかも、子どものために一生懸命な母親のようにふるまっているけれど、本当は、子どもを通して自己実現をはかろうとしているだけという母親も少なくありません。
例えば、若いころ芸能人に憧れていたけれど、夢を果たせなかった母親が、娘を児童劇団に入れて熱心なステージママになったり、低学歴にコンプレックスを持っていた母親が、異常なまでの教育ママになったり・・・ということは多々あります。
自分が歩みたくても歩めなかった人生を、子どもに歩ませるわけですから、その子どもが歩いている人生のレールは、親の夢のロードなのです。
ですから、親はいつまでも子離れせず、子どもの歩む人生に便乗してしまいます。
これでは、子どもが本当に自分のやりたい事を見つけたときに、親に遠慮して言い出せなくなったり、逆に、自分の夢を壊された母親が、子どもを叱りつけたりすることで、親子関係に亀裂が入る可能性があります。
自分の夢はそっと胸の奥にしまっておいて、子どもには、多くの選択肢を与えてやりましょう。
母親は母親、子どもは子ども。
考え方も違えば、夢も違って当然なのですから。
子育てに見返りを求めている
子どもが親に言われて嫌だと思う言葉を知っていますか?
『ママがあなたのために、どれだけ犠牲を払ったと思っているの!! 』
『あんたに、いくらお金をかけたと思っているの!! 』
『お母さんが、どれだけのことしてやったか分かっているの? 』
親が『無償の愛』ではなく『見返りを期待した愛情』を子どもに注いできたからこそ、出てくる言葉です。
『これだけのことをしてやったのだから、私の望む子どもになるべきだ』という考えを持つ母親というものは、子どもにかけた愛情の代償を無意識に求め、代償を受け取ることを期待しています。
ですから、いつまでも子どもに執着し、子どものすることすべてを把握しようとする子離れできない母親になりやすいのです。
子どもからしたら、何も頼んだ覚えはなく、親が勝手にやったことなので、『いい迷惑』とも言えますよね?
子育てに見返りを求めてはいけません。
子どもは、生まれてから2-3年のうちに、その可愛い笑顔や仕草を使って、母親を幸せにし、すでに一生分の親孝行を済ませています。
親は親、子は子、とそれぞれ自立することが、良い親子関係を長続きさせる秘訣です。
母親に趣味や楽しみがない
子育て以外に、趣味も楽しみもないという母親は、子離れができないケースが多いと言われています。
お茶を飲みながら、おしゃべりをするママ友もいない、仕事もしていない、没頭しているお稽古事も、夢中になる趣味もないという母親は、子どものことが生活の全てであり、子どもが脳の100%を占めてしまいます。
ですから、必然的にいつまでも、子離れができない、という状況に陥るのです。
しかし、子どもはいつか母親の元を巣立っていきます。
そのとき、子ども以外の生きがいを持たない母親は、抜け殻のような状態になり、喪失感から心の病を患ってしまうこともあるようです。
子どもは、一番身近にいる母親をお手本にして生きていきます。
ですから、母親が日々を楽しそうに生き、笑顔で何かに熱中している姿を子どもに見せれば、子どもの好奇心も育ち、人生を楽しもうという前向きな気持ちが生まれてくるはずです。
母親もひとりの人間であり、自分の人生の舵をしっかり取って生きているということを、子どもに見せてあげられるように、母親自身も自分の時間を楽しむことが必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
子離れできない母親というものは、子どもにとって悪い影響を与えてしまうだけではなく、母親自身にとっても、自分自身の人生を生きられなくなる弊害があることがお分かり頂けたかと思います。
子どもは、親だけに育てられるものではありません。
社会が、育ててくれる部分も大きいのです。
「いつまでも子どもは自分だけのもの」という考えを捨てて、社会の荒波に子どもを送り出す勇気を持ってください。
子どもは親が思うより、何倍も賢く、たくましいもの。
きっと、期待している以上のものを社会から学び取ってくれます。
子どもが巣立っていくことを心から喜んであげられるような親になるために、今日から少しずつ子離れの練習をしてみませんか?