何かに囚われてしまって、考えても答えが出ないことはありませんか?
もしかすると、その状態のときは、「考えている」のではなく、「悩んでいる」だけかもしれません。
同じような意味で使ってしまいがちですが、「考える」と「悩む」は、似て非なるものです。
何かに囚われて行く先を決めずにぐるぐると同じ場所をさまよい続けている状態が「悩む」ことであり、ゴールに向かって何かを解決するために思考するプロセスが「考える」ことです。
考えているつもりでも、答えが出ない時には「悩んでいる」だけであることがしばしばあります。
問題を解決するためには、「悩む」から「考える」に思考を変換しなければいけません。
悩むことを考えることに切り替える考え方ができれば、いまよりもずっと時間を有効に使えるようになります。
非効率で、非生産的な悩みのスパイラルから抜け出して、自分の人生を主体に有意義に過ごすことができるように一緒になりましょう。
「悩む」と「考える」の違いとは?
「悩む」と「考える」。その言葉を意識して使い分けている人はあまりいないと思います。
一般的には、
- 「悩む」とは、「ゴールを決めずにさまよっている状態」
- 「考える」とは、「ゴールに向かって、解決策を見出すためのプロセス」
といわれています。
たとえば、同僚のAさんとの関係のことが頭から離れないとしましょう。
同僚のAさんと仕事をすることがストレスの原因である時、「でも、何をしたらよいか判らない」と同じ場所をぐるぐる思考し続けることが「悩む」ことです。
一方、「仕事上だけでもAさんとの関係を良好にしたい」というゴールを決めて、Aさんとうまく行かない原因とその対策を明確にすることが「考える」ことになります。
つまり、「過去」の視点で物事を捉え続けることが「悩む」ことであり、「未来」の視点で物事を捉え、変化を起こすためのプロセスが「考える」ことだといえます。
この違いを理解していないと、自分では考えているつもりでも、悩んでいる状態から抜け出せず、非生産性のスパイラルに陥ってしまいます。
どうして考えずに悩んでしまうのか?
人が考えずに悩んでしまうのには、原因があります。
考えて結論を出すには「決断力」と「痛み」が伴うため、無意識に考えることを回避しようとしてしまうからです。
私は看護師として、病気や死と向かい合わなければならない人の支援をしています。
患者さんたちは
「悪いこともしていないのに」
「どうして、私が・・・」
という思いを抱くと同時に、「怒り」「不安」「罪悪感」「悲しみ」など、ネガティブな強い感情に支配されます。
それらの感情は圧倒的なエネルギーをもっているため、患者さん自身ではなかなかコントロールができません。
結果、現状を許すことができなくなり、悩み続けることになります。
病気や死を受け止めることは、痛みや喪失感を伴います。
考えるためには、その先のゴールを見据えて自分で生き方を選択しなければならないのですが、それが難しいです。
ですから、その辛さを乗り越えることができるまで、現状と過去にとどまり、悩み続けることになります。
私だけでなくあなたも、その気持ちは理解できるのではないでしょうか?
考えることには「決意」が必要なのです。
悩まず考える人になるには?
悩むことは、過去と現在にとどまり、未来を見ないこと同じです。
ですが、そのことに気がついている人は少ないのではないでしょうか?
未来を見るためには、
「今、心をいらだたせているものは何か」
「未来に進めない理由は何か」
現状の問題点を明確に把握する必要があります。
また同時に、起こった事実を客観的にとらえる力も必要になります。
自分の感情を切り離したうえで、何が事実であるのかを考える必要も出てきます。
悩むことで自分を守っている方もきっといると思います。現実を見ないですむのは楽ですから。
ですが、自分の人生をより豊かで有意義なものにしたいのであれば、目の前にある障害が何で、その障害を乗り越えることによって、どうなれるのかを考えてください。
考えた人だけが、考えた分だけ自分らしく主体的に生きることを選択できるようになれるのです。
まとめ
同じことばかり頭の中でグルグル回っているときは、思考が止まっている時です。
そんなときは、自分に質問をしてください。
「今、自分は悩んでいるのか、考えているのか」
答えが出ないことを思考し続けていると、心のエネルギーが消耗し、気持ちの落ち込みや自己否定につながっていきます。
悩むのではなく、考える。
この行動が自分の人生を主体的に生きることにつながり、自分の人生をより有意義なものに変えてくれます。