若い時は、一度眠ると朝まで起きることのなかった睡眠。
しかし、年齢を重ねるごとに、徐々に睡眠時間が短くなり、眠りが浅くなったような気がしませんか?
今の睡眠時間で十分な睡眠が取れているのか、不安になっている人も多いかもしれません。
ただ、せめて休日だけでもと、8時間眠ったのにもかかわらず、なぜか余計に体にだるさが残ってしまうことがあります。
理想の睡眠時間とは、何時間がベストなのでしょうか?
実は、良質な睡眠とは、時間ではなく睡眠の質で測るものなのです。
自分の睡眠サイクルに合わせて体内時計をリセットすることで、睡眠の質は改善されます。
その準備として、寝る前に心身をリラックスさせることや、起床後にやるべきことを知るだけで、理想の睡眠時間を手に入れることができるようになります。
今回は、あなたの理想の睡眠状態を手に入れるためにどうすれば良いかをご紹介します。
睡眠時間は、自然に変化する
睡眠時間は、年齢によって自然に変化します。
例えば、赤ちゃんの睡眠時間は約16時間ですが、成人では7~8時間が多く、高齢になるにつれて睡眠時間が短くなります。
また、季節によっても睡眠時間は変化し、日照時間が短い冬では睡眠時間は長くなり、逆に日照時間が短い夏には、睡眠時間は短くなります。
つまり、年齢や日照時間などによっても、自然な睡眠時間は変わるのです。
理想の睡眠時間とは、時間だけに限ることではないのです。
睡眠時間は8時間がベスト?
「理想の睡眠時間は8時間」という話をあなたも聞いたことがあると思います。
ただ、これは思い込みに過ぎません。
それを睡眠時間のあるべき姿だと思い込み、その時間に縛られてしまっているに過ぎません。
8時間睡眠の出所、根拠は、過去の研究結果にさかのぼります。
「入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、目覚めの悪さ、日中の眠気」の5項目と、平均睡眠時間との関係を調査した研究がありました。
その研究の中で、この5項目の訴えがもっとも少なかった方の睡眠時間が「8時間」でした。
ですが、あくまでも平均値であり、「訴えが少なかった人が多かった」という結果です。
そもそも睡眠サイクル(深い眠りのノンレム睡眠、脳は活動し眼球の動きなどを伴うレム睡眠)は、約90分サイクルと言われ、個人差があります。
理想の睡眠時間にこだわることは、90分の睡眠サイクルを考慮していないことにもなりかねません。
また、「ショートスリーパー」と呼ばれる、6時間以下の睡眠時間でも活動できる人や、9時間以上の睡眠が必要な「ロングスリーパー」と呼ばれる方も、世界中に存在します。
つまり、その人にとっての睡眠サイクル、年齢、体質、満足度を考慮した上で初めて、個人的な理想の睡眠時間が何時間であるかを決めることができるのです。
睡眠サイクルとホルモンの関係
1回の睡眠サイクルは90分程度であることは、先ほど説明した通りです。
特に、眠り始めの1回目の睡眠サイクルで、脳と体の両方が活動を停止するノンレム睡眠の割合が一番多くなります。
2回目(約3時間)、3回目(約4.5時間)、4時間(約6時間)・・・と、睡眠の深さは浅くなり、脳が活動しているレム睡眠が増えていきます。
この深い眠りのノンレム睡眠では、自律神経の活動も低下し、循環・体温・呼吸ともに活動が抑えられています。つまり、体がゆっくりと休んでいる状態になります。
また、体の成長や疲労回復に役立つ成長ホルモンも、睡眠をとることで分泌量がアップしますし、抗炎症作用や血糖値を上昇させる作用があるコルチゾールも、睡眠をとることによって徐々に分泌量が増えていきます。
また、睡眠ホルモンと呼ばれる神経伝達物質である「メラトニン」は、日中には分泌されず、夜に分泌されるホルモンです。そのホルモンが夜に分泌されることによって、その夜の眠りを速やかに導くことにもなります。
つまり、良質の睡眠をとるということは、体を十分に休め、日中の活動を速やかに行う準備をすることでもあるのです。
では、あなたにとっての「理想の睡眠時間」とは、何時間なのでしょうか?
理想の睡眠時間とは
その人にとっての理想の睡眠時間は、
- 個人差が大きい。
- 年齢とともに睡眠の質は変化する。
ことを受け止めることが大切です。
さらに、
- 休日、平日に限らず睡眠時間が一定である。
- 目覚めたときに、だるさや眠気がない。
- 昼間に眠気に襲われることがない。
ことも理想の睡眠がとれていることの目安になります。
つまり、理想の睡眠時間とは、自分の自然な体の変化を受け入れた上で、日中に十分活動できる事、そして、休日に疲れをとるために睡眠が必要にならない事、ということができます。
そのため、朝起きる時間は一定にして、浅い眠りから起きることができる時間を探すことが、理想の睡眠時間を見つけることにつながります。
良質な睡眠をとるための対策
とはいえ、良質な睡眠時間を確保するための対策としては、睡眠サイクルが上手に働くことが必要になります。
その対策として
- 夜9時以降に強い光を見ないように心がける。
- 深酒はしない。
- 寝る前にカフェイン摂取や喫煙は避ける。
- 激しい運動、熱めの入浴は避ける。
- ラベンダーなど好きなアロマを取り入れる。
- 寝室の温度をあらかじめ快適な温度に保つ。
- 寝る前に仕事や気になることを考えない。
- 眠くなってから寝床に入る。
- 寝室のライトは赤色の成分が多いものに変える。
- 朝日が入るようにカーテンを10cm程度開ける。
- 同じ時間に起きて、日の光を浴びる、軽いウォーキングなどを行う。
- 朝食をしっかりととる。
- 昼寝は20分程度、15時までにする。
- 日中も体を動かすことを意識する。
- 昼間に強い眠気が続くときは病院を受診する。
などがあげられます。
睡眠習慣は、生活習慣です。
一度の変化では、すぐに良質で理想の睡眠を得られるとは限りません。
ですが、自分の体のサイクルを理解して、焦らずに”気持ちよく起きられる時間”を見つけることが、あなたの理想の睡眠時間を見つける方法になります。
まとめ
理想の睡眠時間は個人差が大きいものです。
ですから、「8時間寝るべき」という「べき思考」にとらわれてしまうのはよくありません。睡眠の質の低下にもつながります。
規則正しい時間に起きて、眠い時は短時間の昼寝をしたり、寝る前のリラックスタイムを充実させるなどして、自分の体に合った睡眠時間を見つけましょう。
大切なのは、「眠くなったから寝よう」というタイミングです。
心と体が眠りを求める時間が、理想の睡眠時間なのです。