あなたが会社に勤めている限り…その会社の利益を増やすにはどうすればいいのか?ということを考えていくのは当然のことですよね。
特に、利益に直結すると言っても過言ではない生産性の向上については、会社としての成長のためにも必要不可欠な問題です。
ですが、あなたはその生産性向上の意味を正しく理解していると言えるでしょうか?
ただコストを削減すれば生産性が向上する、といった単純な話ではないのです。
そこで今回は、本当の意味での生産性の向上がどのようなものなのかということについて詳しくお伝えしていきます。
生産性向上という言葉が持つ意味や目的、メリットなどを詳しく解説して、具体的にどのような取り組みを行えば生産性が向上するのかということをお伝えしていきます。
また、生産性向上に役立つツールやその選び方などもお伝えしますので、あなたの会社の生産性向上のために、ぜひ役立ててください。
この機会に、うわべだけではない真の生産性向上をしっかり理解して活用していきましょう。
生産性の向上とは何か?
あなたの中に、どれだけの会社に貢献したい!という熱意があったとしても、会社の生産性を向上させるということがどのようなことなのかを正しく理解していなければ意味がありません。
そこでまず最初に、生産性を向上するというのはどのような意味なのか…その定義や他の用語との違いなどと合わせてお伝えしていきます。
生産性向上の定義
そもそも生産性とはどのような意味なのか…生産性の向上を理解する上で欠かせない生産性の定義や種類、他の用語との違いについてお伝えしていきます。
生産性と生産性向上の定義
まず生産性とは…会社や企業が効率よく利益を上げているのかを測るための客観的な指標のひとつです。
それぞれの会社において、当然のことですが資金や物資、人材などの経営資源には限りがあり、そうした経営資源を効率よく活用することで生産性は高まります。
これが生産性向上であり、生産性を高めて会社の利益の最大化を目指していくことで会社の成長を測っていくのです。
つまり生産性向上とは…会社の生産性を上げるための何らかの施策を実行して生み出す成果の割合を増やすか、投入する資源の量を減らして相対的に会社の生産性を高める取り組みのことを言います。
生産性の種類
生産性には、どのようなものを成果とするかによって大きく2種類に分けられます。
物的生産性と付加価値生産性です。
物的生産性とは、生産物の個数や量を単位として測る生産性のことで、製造や生産の量を労働量や資本量で割ることで算出することができます。
この生産性は、製造業など工場の生産効率を計測する指標として用いられるものです。
一方、付加価値生産性とは、生産物を量ではなく金額ベースで見た数値(付加価値)を単位として計測する生産性のことです。
世にいうGDP(国内総生産)をベースとした生産性は、この付加価値生産性に当たります。
生産性の向上を考えていくためには、この生産性の種類を理解しておくことが大前提となりますから、しっかり覚えておきましょう。
生産性向上と業務効率化の違い
生産性向上とよく似た意味合いの言葉に業務効率化というものがあります。
この2つの言葉は、どのように意味が異なるのでしょうか?
生産性向上は、生産物を生み出すために投入した資源に対して、その成果がどのくらい上がったかを見るためのものなので、成果に直接つながる行動や活用すべきツールが重要視されます。
その一方で業務効率化は、今の現状で効率が悪いとされていることの効率を改善するために向けた取り組みのことで、生産性向上とは似て非なるものです。
業務の効率を上げるには、労働者の行う行動の無駄をなくしたり、作業そのもののスピードが上がるように改善することが必要になります。
そういった意味では、業務効率化も生産性を上げるためには重要なコンテンツなので、生産性向上に含まれる考え方と言えるかも知れません。
ですが、業務効率化ばかりに目を向けていると、本来の生産性向上からはかけ離れてしまう恐れもあるため、きちんと生産性向上を視野に入れた取り組みを講じていかなくてはならないのです。
この2つが一緒になりすぎないように、ぜひ注意して取り組んでいってくださいね。
なぜ生産性が落ちるのか?
生産性の向上がどのような意味なのか理解したところで…なぜ生産性の向上を考えていかなくてはならないのかについて考察してみましょう。
会社や企業が利益的にも成長していくには、生産性の向上が不可欠です。
しかし、どのような取り組みを行っていても生産性が上がらないばかりか落ちてしまうことがあります。
どんなに良い取り組みを行っていても、以下のようなことがあると生産性が落ちてしまうようです。
長時間の労働
以前の日本において、長時間労働は美徳とされていた印象があります。
会社に勤める労働者は社畜と揶揄され、会社の利益のためには長時間の労働も辞さない…というものです。
そうした長時間労働に伴う過労死の多さは世界的にも問題視されており、国連の社会規約委員会から指摘を受けたこともあるほどです。
それだけ、日本における長時間労働の問題は様々な分野に大きな影響を与えているということでしょう。
少なくとも、生産性向上の問題において長時間労働はその生産性を著しく低下させると言われています。
長時間労働は、労働者のストレスや疲労を蓄積させるだけでなく、その集中力や判断力を下げてしまいます。
また、長時間労働が続くことで施設の光熱費などもかさみます。
このように、生産性向上の観点から見ても長時間労働は無視できない問題と言えるでしょう。
タスク過多
最近よく聞かれるマルチタスクという言葉…あなたはその意味をきちんと理解しているでしょうか?
一度にたくさんの物事を処理することができるという意味の言葉であるマルチタスクですが、会社の中でマルチタスクを求められることはとても負担が大きいものです。
人間の脳というのは、構造上2つ以上の物事を同時に処理することが苦手だと言われていますから、一度にいくつもの業務をこなしているように見えても、それはとても大変なことなのです。
ですから、生産性の向上を測るときにはマルチタスクと言われながらも実質はタスク過多な状態を改善する必要があります。
管理職やリーダーの立場にいる人が率先して、社員がタスク過多状態になっていないかを把握し、そうならない環境を作るようにしていきましょう。
個人とチームの生産性のアンバランス
会社のどんな部署に勤めているかにもよりますが…最近では個人単位ではなくチーム単位でプロジェクトに取り組むことが一般的になりました。
そのように、チームで仕事をする場合によくある問題が作業の早い人と遅い人がいることで、チーム内の生産性のバランスが崩れてしまうというものです。
こうした問題を解決するには、作業の早い人が遅い人の分も仕事をカバーして終了時間を揃える…という手段がよく取られますが、これでは生産性が下がってしまいます。
この解決策では、仕事が早くできる人のモチベーションも低下しますし、会社に対して不満を抱いてしまうでしょう。
こうしたチーム内のアンバランスは、生産性を落とす大きな要因となりますから注意して解決策を見出していくことが大切です。
日本の現状と生産性向上の必要性
ここまでの内容が理解できたところで…改めて、この日本の現状を見ていきましょう。
日本は、先進国であるにもかかわらず国際的にも生産性の低い国だとされています。
2018年における日本人1人あたりのGDP(国内総生産)は世界26位であり、同じアジア圏のマカオや香港と比べても大きな差があるのが現状です。
なぜ日本は、そのように生産性が低いのでしょうか?
日本が生産性を上げられない理由のひとつとして求められているサービスの質が高すぎるという問題があります。
確かに、世界的にみても日本のサービスの質はとても高い水準を誇っていますが、それは利益を生まないことに労力をかけているからに過ぎません。
また、先ほどお伝えしたように長時間労働の問題も、生産性向上への足かせとなってしまっています。
更に、日本の社会は少子高齢化社会なので、労働人口が減少して生産性の向上が難しいという問題もあります。
こうした様々な側面を持つ日本の現状を踏まえても、生産性向上が日本の企業や会社には必要だということが分かります。
後の項目より、具体的にどのような取り組みをすれば生産性が向上するのかをお伝えしていきましょう。
生産性を向上するための具体的な取り組み
個々の会社の成長はもちろんのこと…私たちが暮らす日本という国全体の成長を望むためには生産性向上が重要であることが理解できたと思います。
ですが、実際にどのような方法で生産性を向上させていけば良いのでしょうか?
ここからは、生産性を分析して向上させるための具体的な取り組みについてお伝えしていきます。
生産性を分析するための指標と計算式
生産性を向上するには、まずその生産性をきちんと算出する必要があります。
基本的な算出方法は3種類あり、同じ会社の中や一緒に仕事をする外部機関の人などとはこの算出方法を統一しておかないと、そもそも話がかみ合わない…という事態を引き起こしかねません。
そこでまず、指標となる基本的な計算方法をご紹介しておきます。
物的生産性の計算式
生産の量や生産数などの物的な成果でその生産性を測る物的生産性。
計算式は以下のようになります。
物的生産性=生産量÷労働量
生産物の販売価格で算出することもありますが、これは市場の状況で変動することも多いため数や量で見るようにします。
付加価値生産性の計算式
生産性を見るときに最も基本的な測り方でもある付加価値生産性における付加価値というのは、経理計算上の粗利と同じだと考えられています。
粗利は、物の売上高から仕入れにかかった原価を差し引いたもので、いわば生み出した製品の純粋な価値と言っても過言ではありません。
それと同じものが付加価値であり、その計算式は以下の通りです。
付加価値生産性=付加価値額÷労働量(労働時間または人数)
例えば…30万円で仕入れたものを100万円で販売すると、その付加価値は70万円です。
その70万円を時間で割ると労働時間あたりの生産性が分かり、人数で割ると労働人数あたりの生産性が分かります。
全要素生産性(TFP)
これは、付加価値生産性に資本データを加味して算出したもので、付加価値生産性と比べると計算が複雑になるのが難点ではあります。
しかし、様々な費用を含んだ生産性を測ることが可能となるので全要素生産性で算出することを好まれる場合も増えてきているようです。
生産性向上のための具体的な取り組み
生産性を正しく測るために必要な指標などもお伝えしましたので、ここまでの内容でも生産性向上がいかに大切な取り組みであるかが分かるかと思います。
では実際に、どのような方法を用いて生産性向上に努めていけば良いのでしょうか?
ここからは、あなたの会社でもすぐに取り入れられる生産性向上のために必要な具体的取り組みをお伝えしていきましょう。
あなたも、自身が勤める会社の生産性を向上させるために、ぜひ参考にしていってくださいね。
業務内容の見える化
あなたが勤めている会社では、それぞれの業務マニュアルがきちんと整備されているでしょうか?
簡単な作業のマニュアルほど、情報が古いままであったり不備があったりするものです。
そうした簡単な作業であればあるほど自己流で行ってしまいやすいため、生産物の品質にはムラが生じてしまいます。
ですから、今行っている業務内容をきちんと見える化=可視化して、現状分析と今抱える問題を整理しましょう。
そうして洗い出されたポイントをしっかり再整備することで、作業効率も上がりますし、無駄な作業の見直しにもつながります。
無駄な業務の洗い出し
先ほどの項目でお伝えした業務内容の見える化がスムーズに行われると、自ずと何が無駄な業務だったのかということが明確になります。
これまで行ってきた業務の中でも、特に重要ではない業務は労力と時間を無駄にしている可能性があるものです。
こうした業務に貴重な人材や資金などの経営資源を割いていくことは、社員のモチベーションを下げるとともに生産性を下げることにもつながります。
ですから、そうした無駄な業務はきちんと洗い出し、一刻も早く廃止するように動いていきましょう。
力を入れている業務(コア業務)への投資
一般的に、会社で取り組む業務はコア業務とノンコア業務に分けることができます。
実際に成果を直接生み出す業務はコア業務で、これからも益々力を入れていくべき業務内容です。
しかし、そうした業務に必要なメールの送受信やデータ抽出などは、それ自体が成果を生み出すわけではないノンコア業務だと言えます。
もちろん、コア業務を支えているノンコア業務は必要なものですが、投資をするならコア業務に集中させた方が生産性は向上します。
ノンコア業務の中でも自動化するなどしていけるものは進んで自動化し、浮いた分はコア業務に投資するようにしていきましょう。
実際に働く人のモチベーション維持
先ほどのように無駄な業務にばかり就いていると、実際に働く社員はつまらないやる気が出ないなどという気持ちが募り、モチベーションが下がっていきます。
モチベーションが低いと仕事に集中できなくなり、生産性の低下につながっていきます。
モチベーションの保ち方や上げ方は人それぞれ違うでしょうが、決まりきった評価制度など明らかにモチベーションが下がるような要因があれば早急に廃止するようにしていきましょう。
労働環境の改善
会社勤めをする人にとっては、労働環境もモチベーション維持に重要な役割を担っています。
最近は、感染症対策などの観点からリモートワークやフレックスタイム制を取り入れる企業も増えてきていますが、社員が働きやすい環境を整えると生産性も向上します。
生産性の向上につながる労働環境の改善は、なにも勤務体制だけではありません。
公正な評価制度や給与・手当などの待遇の改善、会社内のコミュニケーションの活性化など…誰もが働きやすい環境に改善するための取り組みは多々あります。
ですから、社員の声に耳を傾けながら社員の労働意欲が高まるような労働環境の改善を図ることで、生産性の向上にも役立っていくのです。
適材適所の配置と人材育成
生産性向上のためには、会社全体のことだけでなく個人単位のことにも目を向けていく必要があります。
例えば…会社の生産性を上げるためにIT技術などのデジタルツールを取り入れたとします。
そうして会社全体のIT化が進んでいっても、それを扱う社員の技術や知識が伴っていかなければ生産性向上にはつながりません。
ですから、生産性を向上させたいと思うなら、個人単位の人材育成や社員教育は必要不可欠なのです。
きちんとした人材育成で個々のスキルアップを実践し、そこから適材適所の人材配置を試みていきましょう。
人材育成などと聞くと、当然一過性の働きで生産性向上が見込めるものではないことが分かります。
ですが、面倒くさいと思わず将来の人材に投資するという考え方で取り組めば、長期的な視点での生産性向上にもつながるのです。
社員同士の信頼関係の構築
会社というのは1人で仕事をする場所ではありません。
先ほどもお伝えしましたが、今はチーム単位で1つのプロジェクトに取り組むのが一般的なので、会社において生産性を向上させたいのであれば社員同士のつながりを意識することは大切です。
チームで仕事をしないような部署にいる人も、会社という大きな組織で働いているということは必ず関連する人が存在します。
そのため、社員同士はきちんと信頼関係を構築していく必要があるのです。
しっかりと強固な信頼関係を持ち、協力し合って仕事を進めていくことができれば、それが生産性向上につながります。
また、信頼関係を構築するために必須なのが情報共有です。
情報共有の仕組みを確立することで、人間関係や社員同士の連携が円滑になり、それが生産性向上に大きな役割を持つのです。
IT技術の積極的な利用(テクノロジーの導入、システム・ツールの導入)
生産性を向上させるには、無駄な業務を省いていくことが重要だと先ほどもお伝えしましたが、そのために役立つのがIT技術です。
パソコンで行うメールの送受信など、定型化できる作業をプログラム上のロボットに覚えさせて自動化する技術であるRPAなどはその一例です。
こうした技術を積極的に取り入れていくことで業務内容の無駄がなくなり、より力を入れるべきコア業務に力を注ぐことができるので生産性が向上します。
また、業務マニュアルをネット上のクラウドで共有する…などということも立派なIT技術です。
このように、便利なシステムやツールは積極的に利用することで生産性を向上させることができるのです。
アウトソーシングの活用
またアウトソーシングの活用も、生産性向上に役立つものの一つと言えます。
よりコア業務に集中するために、直接利益に影響しない間接部門の業務などは外部機関にアウトソースするのです。
一見コストが増すと思われがちなアウトソーシングですが、効率よく業務を振り分けていくことでコスト削減になる場合も多々あるようです。
特に…経理や広報、コールセンター業務など、その道の専門機関がある業務についてはそうした企業に委託することで、自社で行うよりもサービスの質が向上するというメリットも得られますから、ぜひ検討してみてくださいね。
助成金や補助金の活用
最後に…申請などに少し手間はかかりますが、国や地方自治体が行っている助成金や補助金を活用すると生産性向上にも期待が持てます。
新しい設備やIT技術の導入など、生産性向上のためには投資も必要になります。
ですが、急に投資を…と言われても、企業の規模によっては資金繰りが難しいこともあるのではないでしょうか。
そうした時には、国や地方自治体の助成金や補助金を積極的に活用してみましょう。
例えば、IT技術を導入するための補助金は、業務に必要なソフトウェアやクラウド利用費に使える補助金であり、最大で450万円の補助があると言われています。
その補助金を活用して導入できるツールの種類も多いため、上手に活用すれば生産性向上に役立つことでしょう。
こうした補助金や助成金は色々ありますので、あなたの会社で申請できるかどうかは、ぜひ調べて確認してみてくださいね。
生産性向上に役立つツールと選び方
このように…生産性を向上させるためにできる具体的な取り組みは色々ありますが、せっかく役立つツールがあるなら状巣に取り入れていきたいものです。
ですが、色々なツールがありますから自分の勤める会社にどんなツールが必要なのか、どんなツールが合っているのか…そこもまた上手に選んでいけると良いですね。
そこでここからは、生産性向上に役立つ実際の各種ツールのご紹介と、上手な選び方についてお伝えしていきます。
生産性向上に役立つツール
生産性を向上させるためには、各種ツールを上手に活用してノンコア業務などの無駄を整理して効率化すると良いでしょう。
ツールは、自分の会社でシステムを構築するオンプレミス型と、インターネット上で利用するクラウド型に分かれます。
最近では、導入の手軽さなども相まってクラウド型ツールを活用することが主流となっていますが、以下で詳しくご紹介していきます。
グループウェア
グループウェアとは、ビジネスを円滑に進めることを目的とした情報共有やコミュニケーション、スケジュール管理などの機能を搭載したソフトウェア群のことです。
最近ではサイボウズOffice(サイボウズ)やGoogle Workspace(旧称G Suite→Google)、Microsoft365(Microsoft)などが有名です。
こうしたソフトウェアを導入すると、リアルタイムでの情報共有やデータ管理ができるようになるため業務が円滑に進められます。
導入時の費用投資などもそんなに高価ではないため、とてもおすすめなツールのひとつです。
時間管理ツール
時間管理ツールは、業務の各種プロセスにかかる時間を計測してタスクごとの作業時間を可視化するツールのことでタイムトラッキングツールとも呼ばれています。
管理者は、このツールを活用することでそれぞれの社員がどのくらいの作業時間で仕事をしているかを把握しやすくなりますし、社員はタスクにかかる時間を可視化することで無駄な時間の見直しなどが可能になります。
集中力も上がりますし、タスク過多防止にもなるので、ぜひ導入していただきたいツールです。
タスク管理ツール
先ほどの時間管理ツールと合わせて、ぜひ導入していただきたいのがタスク管理ツールです。
タスク管理ツールでは、社員の誰がどの作業(タスク)を担当しているか…その内容や進捗状況、納期などを可視化することができます。
この管理内容は、同じプロジェクトにかかわるチーム間で共有することができますから、とても便利ですよね。
コミュニケーションツール
コミュニケーションツールは、相互の意志を伝えたり情報共有を行うためのツールです。
代表的なものとしてはビジネスチャットであり、近年のリモートワーク・テレワーク化の流れで導入した企業も多いと言われています。
ビジネスチャットのようなコミュニケーションツールは、リアルタイムでやり取りができるだけでなく、チーム間でメッセージを共有できるのが大きな特徴と言えます。
社内のコミュニケーションが活性化すると、社内全体の生産性向上につながりますから、ぜひ導入していただきたいものですね。
ビデオ会議ツール
同じように、近年のテレワーク推進の流れから導入が増えたのがビデオ会議ツールです。
インターネット環境さえ整っていれば、遠隔地にいても相手と動画や音声で会話できることが大きなメリットであり、Zoom(Zoom)やMicrosoft Teams(Microsoft)、Google Meet(Google)などが有名です。
ビデオ会議ツールを活用すると、会議のための移動時間やスケジュール調整などの無駄な時間を省くことができるため業務の効率化に役立ちます。
そうしたことの効率化を進めることで、生産性も向上させることができるのです。
営業支援システム
営業支援システムとは、営業活動の効率化を目的としたデータ管理・分析のためのツールです。
顧客管理や、製品の見積もり・請求書作成支援などのほか、データ分析をした結果をもとにして営業活動の改善や報告書作成の自動化などを行います。
このシステムを活用することで、営業活動が可視化されるとともに、営業活動の進捗状況や顧客データなども共有できることが大きなメリットです。
また、今までは人が行っていた営業レポートの作成なども自動化されることで手間が省けますし、それに伴い労働時間の削減にもつながります。
こうして、徹底的に無駄を省くことで生産性の向上にも役立つのです。
電子契約システム
脱ハンコ化などという言葉が聞かれるようになった今、ぜひ活用すべきツールが電子契約システムです。
これは、従来紙と印章で交わしていた契約書をインターネットを通じてデジタル化したものでクラウドサイン(弁護士ドットコム)やホームズクラウド(Holmes)などが良く知られています。
リモートワークやテレワーク推進の流れもあり、電子契約システムは急速に導入が進んでいるツールであり、これが導入されることで契約期間締結の短縮化やペーパーレス実現による業務効率化に期待が持てます。
こうしたサービスを上手に活用することで、業務効率化から生産性向上につながっていくのです。
生産性向上に役立つツールの選び方
このように様々なツールがある今、本当の意味で生産性向上を行いたいのであればぜひ取り入れていきたいものですよね。
しかし…どのツールが必要なのか、自分の会社に合っているのか…などといったことをきちんと見極めて導入を進めていかないと、せっかくの役立つツールも無駄になってしまいます。
そのため、生産性向上に役立つツールを選ぶには、以下のことに注意して選ぶようにすると良いでしょう。
自分の会社が求めるニーズに合っているか
まず第一に考えておくべきことは、導入しようとしているツールが自分の会社のニーズに合っているかということです。
最近では、本当に様々なビジネスツールが出てきていますから、知名度やイメージだけで良いと判断してしまうと、期待した効果が得られなくなることもあります。
ですから、生産性向上を目的にツールの導入を検討しているのであれば、自分の会社の業務内容をできるだけ可視化して、現状や課題を把握するようにしましょう。
そうして洗い出された問題を解決するためのビジネスツールを導入するようにしていくと良いのです。
きちんとニーズに合ったツールを選ぶことができれば、一気に生産性が上がることも期待できるでしょう。
そのツールの使いやすさ
次に注目すべきなのは、導入しようとしているツールが使いやすいかどうか?ということです。
どんなに性能が良いと言われているツールでも、その会社の中で使いこなせる社員がいなければ意味がありません。
また、使い方を学ぶための研修やマニュアルなども、難しくて回数がかさむようならかえってコストが増えてしまう恐れがあります。
ですから、テスト運用やトライアル期間を設けるなどして、慎重にツールを選ぶことが大切になります。
テスト運用が可能か
先のように導入しようとしているツールが自分の会社に合っているのか、また使いこなせるのか…ということを見極めるためには、やはりテスト運用が行われる必要があります。
ですから、導入しようとしているツールが本導入前にテスト運用できるのかということを確認することは大切なことです。
多くのツールでは、実際に無料使用期間を設けているので、その期間で使いやすさなどを確認していきます。
そうしたテスト運用を経て、実際に活用できるかを見極めていきましょう。
生産性向上がもたらすもの
それぞれの会社や企業の成長だけでなく、日本全体の国力の成長にも影響を与える生産性の向上。
生産性向上のためには、身近な取り組みから役立つツールの導入など…変えるべきことは臆せず変えていかなくてはならないということが分かりました。
では、ここまでの内容を具体的に実践していった結果、生産性向上はあなたの会社やこの日本社会にどのような恩恵をもたらしてくれるのでしょうか。
そこで最後に、生産性向上はもたらすメリットや、実際に生産性向上に対する取り組みを行う上で避けるべきことや注意点をお伝えしておきます。
しっかり心に留めて、参考にしていってくださいね。
生産性向上がもたらすメリット
それぞれの会社や企業にとって、生産性が向上するということは様々な面でプラスに働くことです。
しかし、具体的にどのようなことがメリットとなるのかということを正しく説明できる人は多くありません。
そこで生産性向上によってもたらされるメリットにはどのようなことがあるのかをお伝えしていきます。
人材不足への対応力が上がる
業種によって多少異なりますが、どの業種でも正社員と呼ばれる正規労働者の不足は深刻な問題です。
日本は少子高齢社会ですから、今後数十年にわたって労働人口は減少し続けることが確実だと言われているからです。
しかし、深刻な人手不足の問題にも、生産性を向上させる過程で対応力を上げることができるのです。
生産性向上のための具体的な取り組みの中では、業務の無駄を省くことが大きな目的だと言っても過言ではありませんでした。
無駄な業務を削減すれば、そこにかかっていた人的資源を確保することができるため、人材不足への対応もできるようになります。
競争力の向上
会社勤めをしてその成長を求めていくうえで、気になくてはならないのが同業他社の存在です。
企業規模が違っていても、十分な生産性が確保されていれば負けることはないでしょう。
また、国際的な競争力という意味合いからも生産性向上はとても注目されています。
世界的な視点から見ても、日本の生産性は決して高いとは言えない現状ですから、たとえ一企業の生産性だとしてもその向上を実現するということは国際的な競争力の向上にもつながるものなのです。
労働環境の改善
更に、生産性向上のための取り組みを行う上で欠かせないことのひとつに労働環境の改善があります。
生産性が上がるということは、これまでと同じ労働時間でより高い成果を生み出せるということになります。
このことは、近年どの企業でも熱心に取り組んでいるワークライフバランスの改善や働き方改革の面での大きな成果につながります。
社員の労働環境を、働きやすく改善するとモチベーションやパフォーマンスも向上しますから、結果生産性向上につながっていくのです。
コスト削減
労働環境を改善する過程で、必ず見直しを求められるのはコスト削減です。
もはや生産性の向上とコスト削減は同義であると言っても良いくらいです。
人的資源のコスト削減はもちろんのこと、様々な経費の削減がスムーズに行われることで生産性向上にも大きな期待が持てるのです。
生産性向上を行う時に避けるべきこと
生産性向上についてのメリットも理解できたので、早速具体的な取り組みを行っていきたいとあなたも思うのではないでしょうか。
しかし、実際に取り掛かる前に避けるべきことが注意点なども、ぜひしっかり把握していただきたいものですね。
このことを把握せずに勇み足で取り組みに手を付けてしまうと、反対に生産性を下げることにつがなる恐れもあります。
そこで、以下のようなことには注意して生産性向上を行っていきましょう。
長時間労働の強要
そもそも、日本での大きな社会問題でもある長時間労働の強要は、社員それぞれの心身に悪影響を及ぼすだけでなく、最悪の場合には過労死にもつながります。
確かに、労働時間を増やすと短期的には生産性が向上するかもしれません。
しかし、長期的に見ると大きなリスクが伴うと言わざるを得ません。
古い時代の日本では、長時間労働を一種の美徳とする考え方もありましたが、そうした古い価値観は、本当の意味での生産性向上の妨げになるのだということを理解しましょう。
マルチタスクでの業務進行
複数の業務を同時に進行させることを指すマルチタスクですが、これもまた生産性向上の妨げになる可能性があります。
マルチタスクで仕事をこなしている人を見ると仕事ができると思いがちですが、実際には違うのです。
このような状態で仕事を続けていくと、人間の脳はコルチゾールやアドレナリンといったストレスホルモンを増やしてしまうことが分かっています。
つまり、生産性を向上しようとして反対に業務の足を引っ張っていることになるのです。
ですから、生産性向上を測るのであればマルチタスクは避けるようにしましょう。
個人の生産性を意識しすぎないこと
チームで行う業務の場合など、チーム全体の生産性を上げるために個人の生産性を求めることが往々にしてあります。
しかし、個人の生産性を求めるあまり、チーム全体の生産性が下がることもあるので注意が必要です。
生産性向上を踏まえて業務をみた場合、大切なのは個人とチーム全体の生産性のバランスをうまく取るということです。
そのためには、作業の分担量を見直したり、チームの会議の中できちんと進捗状況を確認し合ってコミュニケーションを取っていく…といった取り組みを行っていきましょう。
経営・管理者側からの一方的な提案
生産性というものは、会社や企業の成果に直接かかわる基準なので、経営者や管理者がトップダウンで一方的な取り組みを押し付けるようなことも起こり得ます。
しかし、現場にいる社員にとっては、現場の状況を理解していないうえでの押し付け的施策は受け入れがたいものであり、社員のモチベーションは低下します。
ですから、もしあなたが経営者や管理者側に立っていたとするなら、現場の声にきちんと耳を傾けて、それを反映した施策を打診するように心がけておきましょう。
生産性向上に必要なのは、社員のモチベーション維持であることも忘れないようにしてくださいね。
まとめ
会社において、日々の業務に追われていると生産性向上に対しての取り組みを講じることが難しくなることもあります。
本当の意味で生産性を向上するには、長期的な計画を立ててきちんと取り組んでいくことが大切です。
目先のことにとらわれず、将来的な投資として人材育成を進めていくことも重要ですし、新しいシステムやツールを臆せず取り入れていく柔軟性も必要になります。
そうしたことを忘れず、生産性向上という言葉が持つ本来の意味や目的をしっかりと正しく理解して、本当に必要とされている生産性向上に取り組んでいきましょう。