あなたは「アロマテラピー」や「アロマオイル」という言葉を耳にしたことがありますか?
心身のリラックスや不調の緩和に良い作用があると言われている植物由来のアロマオイルは、その言葉を聞いただけでも良い香りと気持ちの良さを連想させます。
しかし実際に使ってみるとなると、どのオイルがいいのか、またそのオイルをどのように使うのがいいのか、分からないことがたくさんでてきます。
そこで今回は、現役のアロマセラピストである筆者がおすすめするアロマオイルを厳選してご紹介いたします!
おすすめのオイルをお伝えするだけでなく、実際にアロマオイルを使う時の注意点や、アロマ専用グッズが無くても楽しめるアロマオイルの使い方なども合わせてお伝えしていきます。
ですから、ホームケアやリラックスなど、様々なシーンで活用できるおすすめアロマオイルを厳選していますので、今日からでも毎日の暮らしに取り入れることができますよ。
アロマ初心者の方にも分かりやすく、選び方のポイントや具体的な使い方をお伝えしていきますので、ぜひあなたの日常に素晴らしいアロマの世界を取り入れてくださいね。
素晴らしいアロマの世界
気持ちが沈んだ時やイライラしたときに、あなたの周りで良い香りがしたら…ふっと気持ちが明るくなり、リラックスできますよね。
決して目には見えませんが「香り」には、そんな優しく素晴らしい働きがあると言われています。
その香りの働きを心身のために活用するのが「アロマテラピー」です。
毎日の暮らしの中に、いつも「香り」があるだけで豊かな気持ちで暮らしていけるものです。
今回は、そうした素晴らしいアロマの世界にあなたをご案内しましょう。
アロマオイルとは?
アロマの世界を楽しむうえで欠かせない「アロマオイル」。
まずは、そんな「アロマオイル」についての基礎知識を、あなたに詳しくお伝えしていきましょう。
アロマテラピーの定義とその魅力
あなたも、暮らしの中で一度は耳にしたことがあるであろう「アロマテラピー」。
アロマテラピーという言葉は「アロマ=香り」「テラピー(セラピー)=療法・治療」という2つの言葉を組み合わせたもので、日本語では「芳香療法」ともいいます。
そんなアロマテラピーとは「植物の枝葉や花、根、種子、樹脂などから様々な方法により香り成分を抽出した精油(エッセンシャルオイル)を用いて、ホリスティックな観点から行う自然療法のこと」と定義されています。
この定義の中に出てくる「ホリスティック」という言葉は、ギリシャ語の「ホロス」という言葉が語源となったもので、「全体的」「バランス」「つながり」という意味を持っています。
心と身体の全体的なバランスを考えて調整し、私たちの身体に本来備わっている自然治癒力を高めて、様々な不調を緩和させて健康を目指そうと考えるのが「ホリスティック」という考え方です。
つまり、アロマテラピーはそのような考え方に基づいて、健康維持や心身のトラブル緩和、美容などに「香り」を役立てていく自然療法なのです。
現代社会は「ストレス過剰社会」とも言われており、人々は常に「癒し」を求めています。
特に最近は、新しい病気に対する対策や健康不安も強く、今まで以上に過度のストレスを抱えてる人が少なくありません。
そのストレスが原因で心身の不調を抱える人も増えており、そのような心身のトラブルを緩和する方法に対しての関心も高まってきています。
「アロマテラピー」というのは、そんな現代社会においての救世主となり得る存在なのかもしれませんね。
アロマオイルとは?
先ほどお伝えしたアロマテラピーの定義にも少し出てきましたが、多くの人たちが「アロマオイル」と呼んでいるものの正式名称は「精油=エッセンシャルオイル」といいます。
天然植物の様々な部位から抽出したもので、活性成分を高濃度に含んだ揮発性の芳香物質のことを「精油」または「エッセンシャルオイル」と呼びます。
精油(エッセンシャルオイル)は、それぞれの植物が持つ特有の香りと様々な働きを持っており、アロマテラピーを行ううえで一番大切なものです。
ここからは、誰にとっても分かりやすいように、敢えて「精油(エッセンシャルオイル)」を「アロマオイル」と呼ぶことにしましょう。
アロマオイルは、その名前に「オイル」という言葉がついているものの、厳密に言えば「油」ではありません。
あくまで「植物から抽出した芳香物質」として定義されています。
また、アロマオイルには5つの特徴があります。
- 芳香性…それ単体で香りを放つ性質があること
- 揮発性…空気に触れると蒸発していく性質があること
- 親油性…油によく溶ける性質があること
- 高濃度である…植物の有効成分を高濃度に含んでいること
- 天然100%であること…化学的な香料などを含まないこと
以上の5つの特徴をすべて持っているものが「アロマオイル」であり、あなたに使用していただきたいものです。
間違って違うオイルを選んでしまわないように、アロマオイルの特徴はしっかり覚えておいてくださいね。
アロマオイルの選び方
「アロマテラピー」や「アロマオイル」についての基礎知識を得たところで…いよいよアロマオイルを使って素晴らしいアロマの世界を体験していきましょう。
しかし、街には様々な場所や価格で販売されているアロマオイルが溢れており「一体どんなアロマオイルを選んだらいいの?」と悩んでしまう人も少なくないのではないでしょうか。
そんなあなたのために、ここからはアロマオイルを選ぶ際のポイントについてお伝えしていきましょう。
アロマオイルの香りって何種類?
一般にアロマオイルは250~300種類ほどはあると言われています。
ですが、その中には実際にアロマテラピーでは使われていないものや毒性の強いものなど、取り扱いが難しいものも含まれています。
筆者である私が、実際にアロマテラピーの仕事を行う時に常時使用しているアロマオイルは約50~60種類で、どんなに多くても100種類程度です。
それだけたくさんのアロマオイルがあると、全ての香りを嗅いで自分が好むアロマオイルを見つけ出すのは大変なことでしょう。
そこで今回は、アロマオイルの香りの系統を7つに分けてお伝えすることとします。
アロマオイルには、その中に含まれる芳香成分や香りの立ち方などにより、それぞれに独特の特徴(香調・ノート)がありますから、それを覚えておくだけでもアロマオイルは選びやすくなるでしょう。
フローラル系
甘く華やかな香りが特徴のフローラル系のアロマオイルは、主に植物の花の部分から抽出されます。
代表的なアロマオイルに、ラベンダーやローズ、ネロリなどがあります。
優しく優雅なイメージで、深いリラックス作用が含まれているものが多いのも特徴です。
柑橘系
果物の爽やかさやフレッシュさを連想させる香りが特徴の柑橘系は、老若男女問わず誰からも好まれる香りです。
代表的なアロマオイルに、オレンジスイートやレモン、グレープフルーツ、ベルガモットのように果物の果皮から抽出するものや、レモングラスやメリッサのように植物の葉から抽出するものの柑橘の香りがするものなどがあります。
柑橘系の香りは、生活の中で誰もが香り慣れている香りなので使いやすく、また爽やかな香りには気持ちをリフレッシュさせる作用もあります。
ハーブ系
薬草のような香りと清涼感が特徴のハーブ系のアロマオイルには、それぞれに様々な作用が含まれています。
代表的なアロマオイルには、ペパーミントやローズマリー、クラリセージやスイートマジョラムなどがあります。
ハーブは、西洋で古くから民間薬として用いられてきたものであり、リラックス作用があるものだけでなく、鎮痛作用や抗炎症作用など、心身のトラブルを緩和する作用もあります。
スパイス系
ピリッとした刺激的な印象の香りであるスパイス系のアロマオイルは、実際に料理のスパイスとしても使われる植物から抽出したアロマオイルです。
代表的なアロマオイルには、シナモンやカルダモン、ジンジャー、ブラックペッパーなどがあります。
刺激を与えて活性化を促す香りで、他のアロマオイルとブレンドして使うと、他とはひと味違う個性的な印象を生み出してくれます。
樹木系
深い森をイメージさせてくれる樹木系の香りは「グリーン系」とも呼ばれており、木の皮や枝、葉などから抽出されます。
代表的なアロマオイルには、ティートリーやユーカリ、シダーウッドなどがあります。
まるで木の枝を折ったときのような清々しい香りは、心身を鎮める作用などが多く含まれています。
樹脂系
樹脂系のアロマオイルは、木の樹脂から抽出したものであり、アロマオイルそのものの粘度が高く重めの甘い香りが特徴です。
代表的なアロマオイルにはミルラやフランキンセンス、ベンゾインなどがあります。
木の香りを彷彿とさせ、心を落ち着かせてくれる香りです。
オリエンタル系
「オリエンタル」という言葉には、東洋的という意味合いがあります。
東洋ならではの神秘的で個性的な香りが特徴のオリエンタル系のアロマオイルには、イランイラン、ベチバー、パチュリなどがあり、どれも個性的な香りです。
気分転換や深い鎮静作用が含まれているアロマオイルが多く、瞑想やヨガを行う時に使うのもおすすめです。
近年注目の「和精油」
ここまでお伝えした7つの系統のアロマオイルに好みのものが無いと感じたら、ぜひ試していただきたいのが「和精油」です。
そもそも、アロマテラピーはフランスやイギリスが発祥の自然療法なので、日本人である私たちには馴染みのない西洋由来の植物から抽出するアロマオイルの中にはピンとくるものがなくても不思議ではありません。
そこで注目したいのが「和精油」です。
特に、ここ数年は地域活性化や地産地消の時流から、日本各地で馴染み深いヒノキやユズ、クロモジなどからアロマオイルを抽出しています。
日本の風土で育った植物から作られた「和精油」の中であれば、選ぶ時の安心感も大きいのではないでしょうか。
ぜひ一度、和精油の香りも楽しんでみてくださいね。
選び方やそのポイント
アロマオイルの香りの系統についての理解を深めていただいたところで、実際にアロマオイルを選んでみましょう。
その時に、必ず気を付けておきたい選び方のポイントについてもお伝えしておきますので、しっかり覚えてから購入するようにしてくださいね。
必ず「天然100%」のアロマオイルを選ぶ
アロマオイルを選ぶ時に一番重要なのは「品質」です。
きちんとしたアロマオイルでアロマテラピーを楽しむのであれば、必ず「天然100%」のアロマオイルを選んで購入するようにしましょう。
アロマオイルを購入するときには、ラベルやパッケージに「精油」または「エッセンシャルオイル」の表記があることを確認してください。
また、天然100%のアロマオイルには必ずラベルに「学名」「原産国」「抽出方法」「抽出部位」が記載されています。
分からないときには、アロマショップの店員さんに尋ねてみてくださいね。
遮光瓶に入ったアロマオイルを選ぶ
アロマオイルの中には、光に当たると成分が変化してしまうものなどがあります。
ですから、アロマオイルを購入する際には必ず光を遮る効果がある「遮光瓶」に入ったものを選ぶようにしてください。
約1年で使い切れる量のアロマオイルを選ぶ
アロマオイルは、様々な内容量で販売されています。
少ないものは1mlから、多いと100ml単位で販売されているものもあるようです。
ですがアロマオイルは植物由来であり、空気に触れると蒸発したり、光に当たると成分が変化することもあるので、使用期限は封を切ってから約1年と言われています。
そうしたことから、アロマオイルはできるだけ1年程度で使い切れる量のものを選びましょう。
ただし、柑橘系のアロマオイルの使用期限は約3~6ヶ月と言われています。
そのことも覚えておいてくださいね。
使用用途に合わせて選ぶ
アロマオイルを購入したら、その人のライフスタイルなどに合わせて使用用途が変わります。
例えば、アロマオイルを「加湿器に入れて使いたい」と思っているのか、「アロマスプレーやアロマ石鹸を作りたい」と思っているのかによって、選ぶアロマオイルが変わってくるというものです。
アロマオイルの種類によっては、肌に直接つけるのはおすすめできないものもあるので、使用用途をある程度決めてから選ぶと良いでしょう。
使用方法に合わせて選ぶ
また、使用用途と同じように注目すべきなのは「使用方法」です。
アロマオイルをどんな方法で使うのかをきちんと確認したうえで、購入するアロマオイルを決めると良いでしょう。
例えば、柑橘系のアロマオイルには「光毒性」といって、紫外線に当たると肌に赤みやかぶれが出る恐れのある作用があるため、どんなに香りが好みでもスキンケアに使用するのはおすすめできません。
そうした使用方法にも合わせて、きちんとアロマオイルを選ぶようにしましょう。
極端に価格が安いアロマオイルは選ばない
元々アロマオイルというものは、植物からほんのわずかしか抽出できない貴重なものであり、それ相応の価格であることは当然のことです。
原材料となる植物の種類や希少性、採油率などによっても価格は変わってきますが、極端に価格が安いものは天然100%のアロマオイルではない可能性があります。
例えば、ほかのメーカーと比べて極端に安かったり、どの種類のアロマオイルもすべて価格が同じであったりするときには、合成香料やアルコールが混ざっている恐れもあるので選ばないようにしましょう。
現役セラピストが厳選!おすすめアロマオイル
さて、いよいよここからは…現役アロマセラピストである筆者が厳選しおすすめするアロマオイルをご紹介していきます。
アロマオイルが持つ様々な働きや作用をお伝えするとともに、それらの作用別または具体的な不調に合わせたアロマオイルをご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
作用別・症状別おすすめアロマオイル
先ほどからお伝えしているように、植物由来の天然アロマオイルには、様々な働き=作用があります。
アロマオイルは、天然の有機化合物の集まりであるため、1種類のアロマオイルの中には数十から数百種類もの有機化合物が含まれています。
それらの成分が化学反応を起こし、様々な作用や豊かな香りを生み出しているのです。
そのため、アロマオイルの中には以下のような成分と作用があると言われています。
- テルペン類…消毒作用、鎮痛、抗炎症作用
- アルコール類…殺菌、加温作用
- フェノール類…殺菌作用(刺激成分を含む)
- アルデヒド類…鎮静作用(刺激成分を含む)
- エステル類…鎮静作用、抗炎症作用
※この他にも…ラクトン類、ケトン類など
こうした成分が複雑に組み合わさり、アロマオイルに様々な作用を与えています。
また、人間の嗅覚というものは五感の中で唯一「脳にダイレクトに伝わる感覚」であると言われており、この働きからアロマオイルの作用は「香りを嗅ぐだけでも」心身に良い作用を与えるのです。
更に、アロマオイルの香り成分を呼吸や皮膚から体内に吸収させることで、より全身にその作用が巡っていきます。
このような身体の仕組みにより、アロマオイルは私たちの心身に良い作用を与えてくれているのです。
そんなアロマオイルを、その作用や症状から厳選してお伝えしていきます。
1.集中力アップ作用のあるアロマオイル
毎日の生活の中で、仕事や勉強など…集中力を必要とする場面は多々あります。
仕事や勉強中に疲れてぼんやりすることが増えたと感じたときには、気分を高める高揚作用や活性作用があるアロマオイルを選んでみましょう。
ローズマリーやペパーミントには脳の血流を促す作用があり、ぼんやりした思考をスッキリさせてくれます。
また、ユーカリやレモン、ベルガモットなども清涼感があり集中力を高めてくれますよ。
2.リラックス作用のあるアロマオイル
多くのアロマオイルには、気持ちを落ち着かせるリラックス作用が含まれています。
そんな数あるアロマオイルの中でも、ラベンダーやカモミールには鎮静作用が豊富に含まれているので、仕事や勉強などの日常のストレスを緩和するのにおすすめです。
それでも疲れやストレスが取れないと感じたときには、イランイランやローズウッドのように催淫作用の強いアロマオイルを試してみると良いでしょう。
気が張っていて息苦しさを感じるようなときに、このような香りが深いリラックスを与えてくれますよ。
3.疲労回復作用のあるアロマオイル
毎日の疲れが蓄積して疲労感が強い時には、疲労回復に効果のあるアロマオイルを選んでみてはいかがでしょうか。
疲労回復を促すには、身体の中の血流を良くして疲労物質を体外に排出するようにするのが良いと言われています。
先ほどお伝えしたローズマリーには、血行促進の作用があると言われていますが、それに加えて身体を温める作用があるジンジャーやスイートマジョラムもおすすめです。
またジュニパーベリーには強い利尿作用があるので、疲労物質を体外に排出することを助けてくれます。
ぜひ活用してみてくださいね。
4.風邪予防作用のあるアロマオイル
風邪症状を予防したり、風邪をひいても症状を和らげる作用があるアロマオイルを使うことで、風邪だけでなくインフルエンザのようなウイルス性の感染症に対しての感染対策ができます。
こうした目的のためには、殺菌力が強く、免疫を高める作用が期待できるアロマオイルを使っていくと良いでしょう。
ティートリーやサイプレスは殺菌力が強いと言われている他、特にティートリーにはウイルスの増殖を抑える作用も含まれています。
ユーカリには、殺菌作用に加えて去痰作用があると言われており、呼吸器系の不調を和らげてくれるのです。
感染対策に使いたいときには、アロマディフューザーを使って部屋全体に香りを漂わせると良いでしょう。
5.気分の落ち込みにおすすめのアロマオイル
季節の変わり目や環境の変化から、気分の落ち込みを感じている人は少なくありません。
気持ちが沈んでしまう時には、鎮静作用やリラックス作用が高いアロマオイルだけでなく、気持ちを高める高揚作用があるアロマオイルを一緒に使ってみてください。
鎮静作用で有名なラベンダーはもちろん、ジャスミンやシダーウッドのように鎮静と高揚の両面の作用が期待できるアロマオイルもおすすめです。
また、ベルガモットにはうつ症状を緩和する作用が含まれているため、気分の落ち込みが強い時にはこれも一緒に使ってみると良いでしょう。
6.眠れないときにおすすめのアロマオイル
気分の落ち込みだけでなく、緊張で神経が張り詰めているようなときには不眠の症状が表れることもあります。
そんなときには、先ほどのように鎮静と高揚の両面の作用があるアロマオイルを選ぶと、心のバランスをしっかりと取ってくれます。
穏やかな香りで心を静めて、あなたを眠りに導いてくれるような香りを選んでいきましょう。
様々なアロマオイルの中でも特に、オレンジスイートはリラックス作用が高く、不安な気持ちを解消して気分を明るくしてくれるため、よく眠れるようになったという声も聞かれます。
気持ちが高ぶっていたり、神経が張り詰めているようなときには、鎮静作用と精神強壮作用の両方が期待できるサンダルウッドもおすすめです。
また、ローズやゼラニウムには高い鎮静作用とともに、女性特有のホルモンに似た作用も含まれているため、ホルモンバランスの乱れから不眠になっているときにはおすすめのアロマオイルです。
7.女性特有の不調におすすめのアロマオイル
女性には、女性ホルモンのバランスにより、月経前にイライラしたり浮腫みがあるなど「月経前症候群(PMS)」と呼ばれる不調が起こることがあります。
そうした不調をアロマオイルを使って整えるには、女性ホルモンに似た作用が含まれるアロマオイルでホルモンの分泌を促したり、ホルモンバランスを整える作用のあるアロマオイルを選ぶと良いでしょう。
また、鎮痛作用があるアロマオイルも合わせて使うことで、月経痛などの緩和も期待できます。
女性ホルモンであるエストロゲンに似た作用が含まれており、その分泌を増やす作用があるアロマオイルとしておすすめなのが、ローズやゼラニウムです。
フローラル系の優しい香りのアロマオイルは、情緒の安定を促すとともに肌の調子も整えてくれます。
更に、グレープフルールのアロマオイルには、自律神経を整える作用の他、浮腫みを改善してくれる作用もあるので、女性特有の不調におすすめのアロマオイルです。
8.花粉症緩和などにおすすめのアロマオイル
花粉症やアレルギー性鼻炎などの不調を感じたときも、アロマオイルでその緩和を試みてみてください。
風邪予防におすすめのアロマオイルでもお伝えしたティートリーやユーカリは、花粉症などの緩和にも大きな期待ができるアロマオイルです。
特にユーカリには、強力な殺菌作用と抗ウイルス作用、抗炎症作用や解熱作用があるほか、去痰作用もあるため、呼吸器系の炎症改善におすすめなのです。
また、ペパーミントも消毒作用があり、呼吸器にも良い働きがあるため、鼻詰まりなどの解消におすすめのアロマオイルだと言えるでしょう。
9.認知症緩和におすすめのアロマオイル
近年、65歳以上の高齢者の5人に1人が発症していると言われている認知症。
その認知症の予防にある特定のアロマオイルが効果ありだと、某大学の認知症研究の結果で発表されて以来、とても有名になったアロマオイルが4種類あります。
レモンとローズマリー、ラベンダーとオレンジスイートです。
レモンとローズマリーは1:2の割合にブレンドして、午前中に2時間程度その香りを嗅ぐと良いとされています。
レモンにはリフレッシュ作用があり、ローズマリーには記憶力や集中力を高める作用があるとされており、実際に某大学の認知症研究で一番効果があったと言われるブレンドです。
午前中にその香りを嗅ぐことで、脳に活性作用を与えます。
夜はラベンダーとオレンジスイートを2:1の割合でブレンドし、その香りを就寝2時間前から嗅ぐようにします。
心をリラックスさせるとともに不眠解消の作用があるアロマオイルで脳に鎮静作用を与えることが目的です。
こうして、朝と夜に活性と鎮静を脳に対して交互に与えることで、脳が刺激されて認知症予防につながると言われています。
このアロマオイルの使い方は、認知症を発症している人ではなく、認知症になっていない「認知症予備軍」の人に対してより高い効果が期待できるそうです。
気になる人がいたら、ぜひやってみてはいかがでしょうか。
一家にひとつ!これだけは置いておいてほしい一押しアロマオイル
ここまで、アロマオイルが持つ作用や困っている症状に合わせておすすめのアロマオイルをご紹介してきましたが…
現役アロマセラピストである筆者も、実際にホームケアなどで活用している万能アロマオイルを2種類お伝えしておきます。
最初に使ってみるアロマオイルでお悩みの方がいましたら、ぜひ一家にひとつ!この2種類からご準備してみてください。
1.ラベンダー
ラベンダーは、地中海沿岸が原産のシソ科の植物です。
紫色の小さく可愛い花とリラックス作用が高い香りは「アロマと言えばラベンダー」と言わしめるほど有名なものです。
ラベンダーの語源は、ラテン語で「洗う」という意味の「ラワレ」に由来するとされています。
その昔、ヨーロッパではラベンダーの薬効にいち早く気づいており、洗濯物に虫がつかないように仕上げにラベンダーオイルを使っていたことが命名につながっていると言われています。
ラベンダーという植物はたくさんの品種があり、ラベンダーの交配種である「ラバンジン」などもアロマオイルとして活用されていますが、ここでお伝えするラベンダーは「真正ラベンダー」と呼ばれるラベンダーの代表種から抽出したオイルです。
真正ラベンダーのアロマオイルには、高い鎮静作用のほか、抗炎症作用や美肌作用など…心身どちらにも効果が期待できる作用が豊富に含まれています。
ですから、ラベンダーが一家にひとつあるだけで様々なシーンで活用することができるのです。
ストレスによる緊張や不安を和らげるリラックス作用や、副交感神経を優位にする安眠効果、頭痛や肩こりなどの改善が期待できる鎮痛作用など…数え上げてもキリがありません。
中でも特に優れているのが、皮膚に対しての優れた作用です。
ラベンダーには、抗炎症作用だけでなく皮膚組織再生作用もあるため、軽いやけどや日焼けなどの改善に役立ちます。
美肌作用にも優れているため、くすみやシミ・シワなどのエイジングケアにも有効なのです。
ラベンダーは、ホームケア用アロマオイルの代表格として、ぜひ一家にひとつ置いておいてくださいね。
2.ティートリー
ティートリーは、オーストラリア原産のフトモモ科の小高木です。
この植物は、オーストラリアの先住民であるアボリジニが薬草として大切に使用してきたと言われている他、イギリスの探検家であるキャプテンクックがこの葉を煎じてお茶の代わりとしたことから「ティートリー(茶の木)」と呼ばれるようになったともいわれています。
免疫調整作用が含まれているだけでなく、抗ウイルス作用、抗菌・抗真菌作用が豊富に含まれており、最近特にウイルス性疾患の感染対策に期待があるとして注目されています。
また、抗炎症作用や強壮作用にも優れているため、日常的に起こるトラブルの緩和に最も使えるアロマオイルであると言えるでしょう。
香りは樹木系のスッキリとした香りで、リフレッシュしたいときにおすすめです。
また、先ほどもお伝えしたように抗ウイルス作用や抗菌作用・抗真菌作用が豊富に含まれていることから、様々な感染症の対策や花粉症対策にもその効果が期待できます。
ホームケアから感染対策まで幅広く活用することのできるティートリーのアロマオイルも、ぜひ一家にひとつは置いておいて欲しいアロマオイルなのです。
アロマオイルの使い方
ここまでの内容で、どんなアロマオイルがおすすめなのかを理解していただけたのではないでしょうか。
しかし、そんな素晴らしい数々のアロマオイルも、きちんと使っていかなくては意味がありません。
実際にどのようにしてアロマオイルを毎日の暮らしの中で使っていけば良いのでしょうか?
その正しい使い方を、はっきりと理解していない人も多いと聞きます。
そこで最後の項目では、アロマオイルの具体的な使い方と、アロマを使う時の注意点などをお伝えしていきましょう。
アロマを使う時の注意点
実際にアロマオイルを使ってアロマテラピーを楽しむ前に、アロマオイルを使う時に注意すべき点をいくつかお伝えしておきます。
しっかりと覚えて、安心安全にアロマテラピーを楽しんでいきましょう。
1.アロマオイル原液を直接肌に塗らないこと
日本国内には数多くのアロマ関連団体が存在していますが、その多くが「アロマオイルは原液を植物油などで1%の濃度に希釈して使用する」ことを推奨しています。
先ほどもお伝えしたように、アロマオイルは植物の有効成分が高濃度に凝縮して含まれているので、原液のまま使用するのはとても危険です。
そのため、アロマオイルは必ず何かで希釈して使用するようにしましょう。
アロマオイルを薄める素材のことを「基材」と言いますが、基材には植物油や無水エタノールなどのアルコール類、天然塩や無香料のジェル基材などがあります。
こうした基材にアロマオイルを希釈すると、直接肌に塗ったりすることもできるので、アロマオイルと一緒に基材をそろえておくこともおすすめしておきます。
2.アロマオイルを飲用しないこと
海外のアロマテラピーは、国によって「薬」としてアロマオイルを処方しているところもあります。
そうした場所で使用されているアロマオイルは、飲用できるように調整されたアロマオイルです。
しかし、日本国内で販売されているアロマオイルは飲用目的ではないため、飲んでしまうと粘膜を痛めてしまうなどの恐れがあります。
ですから、アロマオイルは原則として飲用しないようにしましょう。
また、同じ理由から目や鼻などの粘膜部分には直接アロマオイルを塗らないようにしてくださいね。
3.アロマオイルの保管の仕方について
アロマオイルには、空気中に蒸発する「揮発性」があります。
また、火の傍に近づけると引火してしまう「可燃性」もあるため、大量にアロマオイルを保有するときには消防署に届出が必要になるほどです。
そうしたことから、アロマオイルは高温多湿を避けて冷暗所で保管することを心がけるほか、キャップをきちんと閉めて火の傍に近づけないようにしましょう。
更に、誤飲防止の観点から子どもやペットの手の届かない場所に置いて保管するようにしましょう。
4.妊婦・高齢者・乳幼児と既往歴のある人に対する使用について
妊娠中の妊婦さんや高齢者の方も、アロマオイルを使ってアロマテラピーを楽しみたいと思われるでしょう。
その際、香りを嗅ぐことを目的とした「芳香浴」であれば一般の人と同じように使用することができますが、アロマオイルを希釈して肌に塗るような使用方法の場合には、その使い方に注意が必要になります。
まず妊婦さんの場合、妊娠初期のアロマテラピーは芳香浴のみ、妊娠中期は一般の人の半分の濃度であればアロマオイルを使ってマッサージなどを受けることができます。
高齢者の方も同じように、一般の方の半分の濃度であればアロマオイルを希釈して肌に塗るような使用方法を取ることができます。
乳幼児の場合にも、同じように注意が必要です。
3歳未満の乳幼児は芳香浴のみ、3歳以上の子どもには一般の方の10分の1の濃度からであれば、アロマオイルを希釈して肌に塗るような使用方法を取ることができます。
高血圧やてんかんなどの既往歴を持っている人は、使えるアロマオイルに制限があります。
アロマオイルに含まれる作用の中には、やはり刺激が強いものもあるので、高血圧などの疾患を悪化させる恐れがあるのです。
既往歴を持っている人でアロマオイルを使ってみたいと思っている人は、ぜひ専門のショップで店員さんに相談してみてくださいね。
5.光毒性と感作反応
アロマオイルの成分の中には、決して私たちの身体に対して良いことをもたらしてくれるばかりではない作用もあります。
レモンやグレープフルーツなど、柑橘系の果皮から抽出するアロマオイルには、紫外線に当たると赤みやかぶれを引き起こす恐れのある「光毒性」という作用が含まれています。
他にも、一部のアロマオイルの中には肌が弱い人にとっては刺激が強い成分が含まれていることがあり、アレルギー反応の一種である「感作反応」を起こすこともあるのです。
もしこうした反応が心配な人は、しっかり使用する前に「パッチテスト」を行ってから使うと安心でしょう。
また、光毒性が含まれるアロマオイルを使う時には、芳香浴のみに留めておくということも覚えておくと良いですね。
6.合成オイルは使わないこと
別の項目でも少し触れましたが、アロマオイルと称して販売されているものの中には合成香料やアルコールが混ぜられている「合成オイル」があります。
こうした合成オイルは、原則としてアロマテラピーでは使用しないようにしてください。
アロマオイルを選ぶ時には、先ほどの項目でもお伝えしている「選び方のポイント」を参考にして、きちんと天然100%のアロマオイルを選びましょう。
基本的なアロマテラピーの楽しみ方
アロマオイルを実際に使う時の注意点が分かったところで、基本的なアロマテラピーの楽しみ方をお伝えしていきます。
アロマテラピーには、基本的な楽しみ方として3つの楽しみ方があります。
1.芳香浴法
アロマテラピーの芳香浴法とは、アロマポットやアロマディフューザー(芳香拡散器)を使って空間に広がる香りを楽しむ方法です。
アロマオイルの香り成分に含まれる様々な作用が、あなたの心身に良い作用を与えてくれます。
この方法は、老若男女を問わず手軽にアロマテラピーを楽しむ方法として一番生活に取り入れやすい方法です。
2.沐浴法
アロマテラピーの沐浴法とは、アロマオイルを直接お湯に落としたり、植物油や天然塩にアロマオイルを混ぜて入浴剤として使うことで香りを楽しむ方法です。
この方法は、入浴時のお湯にアロマオイルの作用が含まれ、湯船につかった身体の皮膚を通してその作用が体内に入り、全身をめぐります。
そのため、芳香浴法よりもさらに一歩良い作用を得られる楽しみ方だと言えるでしょう。
手浴や足浴にも効果的な方法です。
3.トリートメント法
アロマテラピーのトリートメント法とは、アロマオイルを植物油で希釈して皮膚に塗布し、癒しの感覚を与える方法です。
一般的に「アロママッサージ」と言われているものが、このトリートメント法に当たります。
日本国内において、アロマテラピーはあくまでリラクゼーションの一環であるという位置づけなので、実は「アロママッサージ」という言葉は誤りであり、正しくは「アロマトリートメント」と呼びます。
この方法は、沐浴法よりもさらにダイレクトにアロマオイルに含まれる成分が皮膚から体内に吸収されていくため、他の方法よりもより良い効果がもたらされると言われています。
専用グッズを使わないアロマテラピーの楽しみ方
このように基本的なアロマテラピーの楽しみ方について理解したうえで、アロマ専用グッズが無くてもしっかり楽しめるアロマオイルの使い方をご紹介しておきましょう。
ここで言う「アロマ専用グッズ」というのは、アロマキャンドルやアロマストーン、アロマポットやアロマディフューザーのことを指しますが、いずれもアロマテラピーのためには数千円で購入しなくてはなりません。
もちろん、そうしたアロマ専用グッズを活用すれば、よりスムーズにアロマテラピーの世界へ足を踏み入れることができるでしょう。
ですが、実際に筆者はそうした専用グッズを使わなくてもアロマテラピーは誰もが楽しむことができるものだと、毎日の暮らしの中で実感しています。
そうした具体的な楽しみ方について、詳しくお伝えしていくことにしましょう。
1.ハンカチやティッシュを使う方法
アロマオイルで芳香浴をするには、アロマポットやアロマディフューザーが無いと…と思っている人は多いでしょう。
しかし実際には、ハンカチやティッシュペーパーさえあればアロマオイルの香りを十分楽しむことができます。
ハンカチやティッシュ、キッチンペーパーなどを準備してお好みのアロマオイルを数滴垂らしましょう。
それを枕元や自身のデスクなどにおいておけば、手軽に芳香浴を楽しむことができるのです。
昼間、仕事中にデスク周りに置くならペパーミントなどの香り、夜の枕元にはオレンジスイートの香りなどがおすすめです。
手軽な方法ではありますが、ハンカチで行う時には多少シミが残っても良いハンカチを使いましょう。
2.マグカップを使う方法
マグカップに熱湯を注ぎ、そこにアロマオイルを垂らして香り成分を鼻や口から直接取り入れる方法を「吸入法」と呼びます。
この方法も、専用グッズがなくても手軽に楽しめるアロマテラピーのひとつです。
花粉症で鼻が詰まっていたり、風邪気味でのどに痰が絡んでいるときなどには、この吸入法がおすすめです。
ただし、蒸気を吸う時には目を閉じてから顔をマグカップに近づけるようにしてください。
目を開けたままにすると、香り成分の刺激により目を傷める恐れがありますから、注意して行うようにしましょう。
3.手作りコスメやアロマクラフトに使う方法
いつも使っている化粧水や石?などが、自分の好きな香りだったら…どんなに気持ちが華やかになるでしょう。
そこで、アロマオイルを使って自分自身のための手作りコスメやアロマクラフトを作ってみましょう。
アロマオイルには、肌に対して良い作用もたくさん含まれていますので、きっとあなた好みの手作りコスメが作れるはずですよ。
・材料(50ml容器分)
精製水45ml、グリセリン5ml、アロマオイル6?8滴、容器(50ml)
※精製水とグリセリンは、薬局やドラッグストアで購入できます。
・作り方
1.清潔な容器にグリセリンを入れます。
2.アロマオイルを6~8滴加え、容器を軽く振って混ぜます。
3.精製水45mlを加え、容器のふたを閉めてよく振って混ぜたら完成です。
このように、とても手軽に手作りオーガニックコスメを作ることができます。
保存料などが入っていないものなので、保管は冷蔵庫で行い、約2週間ほどで使い切るようにしてください。
同じ分量でグリセリンを無水エタノールに変えるとルームスプレーが作れます。
あなたの気分やシチュエーションに合わせて香りや成分を選び、お好みのアロマクラフトで楽しみましょう。
4.タオルを使う方法
毎日の暮らしの中で蓄積する肩こりや腰痛、眼精疲労や片頭痛、生理痛など…気になる痛みや身体の不調もアロマテラピーで和らげることができます。
身体の不調に対して良いとされる作用が含まれたアロマオイルを使って、タオルを使用した湿布法を試してみてください。
足の捻挫や打ち身、筋肉痛のような急性期の痛みや不調には、冷水を使った冷湿布がおすすめですし、肩こりや腰痛、眼精疲労など慢性の不調にはオン湿布がおすすめです。
それぞれ、水またはお湯の中にアロマオイルを数滴入れて混ぜ、その中でタオルを濡らして絞り患部に当てます。
タオルの冷たさ、また温かさとともにアロマオイルの香り成分が体内に吸収され、不調が緩和されていくのです。
まとめ
一般的に「アロマテラピー」や「アロマオイル」という言葉を聞いても、専用のグッズがないと使えないと思い込んでいたり、その使用方法も難しいと感じている人は少なくないようです。
しかし、植物由来の天然アロマオイルを用いたアロマテラピーは、様々なシーンで活用できる芳香療法です。
専用のグッズが無くても手軽に毎日の暮らしの中に取り入れることができますし、毎日アロマオイルの良い香りとともに暮らしていけることで生活そのものにも潤いが生まれることでしょう。
アロマテラピーは、決して難しい世界ではありません。
ただ、その素晴らしい香りを毎日嗅いでいるだけでも十分にアロマオイルが持っている良い作用が得られるのです。
ですから、ぜひあなたも「アロマオイル」を生活にどんどん取り入れて、日々の暮らしに役立ててくださいね。