社会生活において、人と意見が合わなかったり、気が合わなかったりすることはありませんか?
好きな人がいて、その人を振り向かせたいけれども、何かシックリ来ないと言う事はありませんか?
どうすれば他者と意見を合せたり、自分に同意させ、自分の思い通りにする事ができるのでしょうか。
心理学では、そういう時には『同調行動』というものを行います。
同調行動は、同調効果とも言い、これを用いる事で他者を自分と近い意識にする事が出来ます。つまり、相手に親近感や共有性を感じさせる事が出来ると言う事です。
そこで今回は同調行動や、同調効果がどんな効果をもたらすのかについて説明すると同時に、どんな風にすれば同調行動になるのか、同調効果を得られるかについて説明します。
流行は同調効果の最大の効果
同調効果とは、皆が右を向いていると自分も右を向かなければならないと言う意識にさせる効果です。
これを最大限に発揮しているのが『流行』と言うものです。
流行は『みんな』がしていると言った事に作用されたり、公のメディアや権威のある人間が発信する情報に乗ってしまう事で発生します。
そこには、個々の趣味嗜好はあまり発揮されませんし、意味も持ちません。
皆がやっているから、皆が言うから、信用出来るメディアが言うからと言う事で起きるのです。
これは『赤信号、皆で渡れば怖くない』と言った傾向と同義と言えます。
多くの人が最先端だと思っている事は、それで利益を得る一部の人間によって作られているのです。
言ってみれば、流行とは常に操作されているものであると言っても過言ではありません。
昨日まで『古い』と思われた事も、皆がやれば今日から『新しい』事になってしまうのです。
ここに真実は必要ない訳です。
これはある種、印象操作とも言え、悪用すればこれほど恐いものはありません。
しかし、上手に取り入れれば人との交流をスムーズに出来るものです。
同調行動の方法
同調行動は何もそれほど難しいことではありません。
要は、相手と同じ事をすれば良いだけです。
心理学で言うミラーリング効果ともほぼ同義です。自分が相手の写し鏡なるのです。
更に、より深い同調効果を得る為には、ある種催眠の効果を狙う必要もあります。
催眠効果と言っても、難しく考える必要はありません。
ほんの少しの工夫で、相手の潜在意識に働きかけるだけです。
その方法は、実に簡単で少し耳を澄まして、相手の息遣いなどを聞き、それに合わせて呼吸をしたり、歩く時に同じ歩幅や同じ速度で歩いたりするだけで良いのです。
赤ちゃんを寝かしつける時に、呼吸を合せて自分の呼吸を徐々に睡眠の状態に合わせていくと、赤ちゃんは簡単に寝てしまいます。それと同じ効果を狙う訳です。
これだけで、人は同調効果を感じてしまうのです。
また、飲食店などに入ったら同じモノを注文したり、食べるスピードやタイミングを合わせたりするだけで効果は出ます。
仕草にも同じ事が言えます。
相手が脚を組んだりするタイミングを合わせて自分も脚を組んだりするだけで良いのです。
他者に好印象を持たれる
多くの人は、自分の趣味嗜好に関して常に肯定的です。自分の趣味嗜好を否定する人は、まずいないと言えるでしょう。
表層上でも構いませんので、その趣味嗜好に同調すると相手の印象が変わります。
例えば、異性の交際でも同じ趣味を持っていると上手くいくと言うのは良く聞く話です。これは正に同調効果に他なりません。人はそれだけで共同意識、同志だと思ってしまうのです。
共有意識を持てば大抵の人はその人に好意を持つものです。人の好き嫌いとはそれほど単純なものでもあるのです。
他者をコントロールし易くなる
好意は許容に繋がります。
同調行動で、相手から信頼や好印象を持たれれば、それだけで相手があなたに対する許容範囲を勝手に広げてくれるのです。
人は嫌いな人の言う事は認めたがりませんし、許容する範囲も極めて狭いと言えます。
これは心理学で言う『バンドワゴン効果』にも似ています。
バンドワゴン効果は、多くの人が好きなもの、自分が好きなものは無条件に『良い』と決めつけてしまう心理です。
例えば、あなたに好きなアーティストがいたとします。
そのアーティストは多くの人に支持されてもいます。すると、好きイコール良い、上手いになってしまうのです。
例えば、そのアーティストが歌手だったとします。
その場合、無条件に歌が上手い人になってしまうのです。例え真実は下手であっても、気持ちにバイアスが掛っているので冷静なジャッジは出来なくなると言うものです。
同調行動によって好意を得られれば得られる程、その相手はあなたを『正しい』とジャッジする様になるのです。
他者の評価が高くなる
同調行動で好意を得る事が出来れば、その相手からは非常に高い評価を得る事が出来ます。
これが同じコミュニティに属する場合、かなりの有益性があると言えます。
同調効果で1人でも多くの人を取りこんでおけば、大抵の事は思い通りにする事が出来ます。
日本は基本的に民主主義で、多数決で物事を決定する価値観があります。
マイノリティは多くの場合、受け容れられる事はありません。
同調行動で他者の支持を得ておけば、常に多数決の場では有利に働くと言う事です。
1人の賛同者を得れば後は雪崩式
同調効果で自分に好意を持つ賛同者を得る事が出来れば、後は勝手に賛同者が増えます。
特に、『イエス誘導法』なども併用して用いるとその効果は倍増します。
イエス誘導法とは、イエスと言わざるを得ない質問を繰り返し、常に相手からイエスを引き出す事で、その相手はその後何事も否定しづらくなるのです。
この方法を用いるには、相手の否定をしない事が鍵になってきます。
賛同しながら違う答えに導いていく事がポイントです。
受け答えの最初は常に肯定から入るようにしましょう。
そうすることで、自分の考えと違う答えに導かれても人は気付きにくくなるのです。
恋愛に同調行動を持ちこんで意中の人をものにする
ここまでは、一般的な人付き合いでの同調行動と、同調効果について話してきましたが、これはそのまま恋愛にも当てはめる事が出来ます。
同調効果がもたらすものは、心理学的に色々あります。
例えば、先述したミラーリング効果や、後はハロー効果などにも通じてきます。
同調行動をすると、意中の異性は自分の事を無視出来なくなります。
それが好き、嫌いなどの感情かどうかを考える間もなく、相手は常にあなたの事を考えてしまいます。
心理学的に言うと、考える時間と比例して思いは募っていくものなのです。
また、考えることイコール好きなのでは? と言う感情も持ち易いのです。
そもそも好きかどうかと言うのは幻想で勘違いでもあるのです。幻想だからこそ嫌いにもなる訳です。
そうでなければ一度好きになったものを、余程の事が無い限り、嫌いになったりはしないものです。
ゆえに『勘違いをさせる=好きにさせる』と言う事に繋がって来るのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
同調行動がもたらすものは、実に大きいものです。
仕事に運用すれば、流行を作る事さえ出来てしまうものです。
人は結局、他者と同じである事にすがりつきたがるものなのです。
人が何と言おうと自分を貫き通すと言う人は、表向きそうは言っていても、結局は、実行出来るものでは中々ないのです。
同調効果とは、言ってしまえば右向け右の精神を表現しているのです。
人と同じである事が人間の最大の安心感に繋がっていくのです。
人と衝突して、孤立してまで、誰も自分でありたいと願う人はいませんし、同調行動、効果の中にある人はそうしている事に気付きません。
良く若い人が、思春期に、自分の好きな格好や自分の個性が云々と言いながら、結局流行に流され、人と同じ事しか出来ていないのに個性があると思っている状態と同じなのです。
気付かないからこそ、同調効果は功を奏す訳です。